【注目】臨時国会召集で「103万円の壁」「政治改革」など衆院選後初の本格論戦の場…議論の行方は
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年11月29日 17時12分
28日、召集された臨時国会。衆議院選挙後、初めての本格的な論戦の場となり「103万円の壁」や「政治改革」についての議論に注目が集まっています。
少数与党となり、厳しい政権運営が求められる石破総理ですが、28日、臨時国会の前に「各党の意見を丁寧に承る」と野党に呼びかけました。
(石破首相)
「選挙結果を踏まえて、自公というものを基本としながら、各党のご意見国民各層のご意見、そういうものを丁寧に承りながら国会運営していきたい」
国会での論戦を前に、与野党の緊張感が高まるなか、早速アクションを起こしたのが衆院選で台風の目となった国民民主党です。28日、いわゆる「年収103万円の壁」を引き上げる法案を衆議院に単独で提出しました。
(国民民主党 玉木代表)
「選挙で21議席以上になって、単独で衆議院に提出する最初の法案になりますので、よろしくお取り計らいをお願いします」
国民民主党が提出した法案では、基礎控除の最高控除額と給与所得控除の最低控除額の合計額を、現在の103万円から178万円まで引き上げることを盛り込んでいます。また、16歳未満の子どもに対する扶養控除である「年少扶養控除」の復活や、学生アルバイトなどの「働き控え」を招いているとされる「特定扶養控除」の上限額を引き上げるなどとしています。
一方、野党第一党である立憲民主党の野田代表は…。
(立憲民主党 野田代表)
「自公を過半数割れに追い込むことができた。その結果、どういうことが起こるのかを、国会活動を通じて国民の皆様にお示しをしていきたい。自公にプラスアルファの野党を巻き込む、そんなやり方じゃ絶対駄目だ」
同じ野党から“けん制”される国民民主党ですが、玉木代表は「我々は野党」と、改めて党の立場を強調しました。
(国民民主党 玉木代表)
「一部メディアで、国民民主党は野党離れという見出しが躍っていましたが、我々は野党です。野党から離れていないし、与党にも近寄っていません。これまで申し上げた通り、各党等距離、あえていえば国民の皆さんに近距離です」
そして、29日午前、天皇陛下をお迎えして。開会式が開かれました。
(天皇陛下)
「国会が当面する内外の諸問題に対処するにあたり、国権の最高機関としてその使命を十分に果たし、国民の信託にこたえる事を切に希望します」
29日、午後3時から行われた石破首相の所信表明演説。冒頭、「丁寧」「真摯」「謙虚」といった言葉を並べ、”野党との協調姿勢”をアピールしました。
(石破首相)
「先般の選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第一党として、公明党との連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真しに謙虚に国民の皆様の安心と安全を守るべく取り組んでいきます」
その後に示された経済政策の中で、国民民主党が主張する「103万円の壁」について引き上げる方針を示しました。
(石破首相)
「国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じてもらえるためには、現在や将来の賃金、所得が増えていくことが重要です。そのことを最重要課題として、国民の安心、安全と持続的な成長に向けた総合経済対策を策定いたしました」「党派を超えて優れた対策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってまいりました。いわゆる103万円の壁については、令和7年度税制
改正の中で議論し引き上げます」「この経済対策をできるだけ早くお届けできるよう、速やかに補正予算を国会に提出します」
「103万円の壁」の引き上げをめぐっては、地方自治体の税収減を懸念する声も上がっていますが、その点についての言及はありませんでした。
そして、政治とカネの問題については、「政策活動費の廃止」や「政治資金をチェックする「第三者機関の設置」などを挙げました。
(石破首相)
「先の選挙結果は、国民の皆さんからの政治資金問題への叱責だったと受け止めています。政治は国民のものという原点に立ち返り、国民に向き合いながら政治改革に取り
組んでいきます」「具体的な使途が公開されていない活動費の廃止。必要な監査を行う第三者機関の設置。データベースの構築など諸課題の改革のための議論を進めてまいります」
また、そのほかに、近年社会問題になっている”闇バイト”に関する対策を強化する考えも示されました。
(石破首相)
「いわゆる闇バイトによる強盗詐欺の報道を見ない日はありません。他者への慈しみや堅実な努力など、日本社会で大切にされてきた道徳観を揺るがしかねないもの。こうした犯罪を許してはなりません。悪質な事件の主体”トク流”の検挙を徹底するための取り組みを推進していきます」
所信表明後、国民民主党の玉木代表は、石破首相が103万円の壁の引き上げを明言したことについて、「第一歩に過ぎない」と話しました。
(国民民主党 玉木代表)
「『令和7年度の税制改正の中で議論し引き上げます』と明言をされたことは、これは第一歩が記されたということで、評価をしたいと思います。ただ、どこまで引き上げるかは、まさにこれからということで、第一歩に過ぎないと思っております」
一方、立憲民主党の野田代表は、「極めてがっかりした」と批判しました。
(立憲民主党 野田代表)
「羅列していた項目についても、本当の抜本的な改革につながるとはとても思えない内容でありました。その点においては、極めてがっかりしたと思っています」
与野党の力関係が変化した国会で、今後、どのような論戦が交わされるのかに注目です。
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