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【異例】常識覆す「副業」すし職人…その驚きの裏側とは?(静岡・下田市)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年12月3日 10時7分

Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

“副業職人”がすしを握る!新たに誕生した常識を覆すすし店!その驚きの裏側に迫ります!

豊かな海産物が魅力の下田に新しいすし店がオープンしました。

店員「いらっしゃいませ!」

カウンターは満席!!その目の前で次々とすしが握られます

店員「キンメの炙りです」

来店客「う~んおいしい!」

下田名物・キンメダイからマグロや銀だら、さらには、珍しい生のコハダまで極上のすしネタが全品なんと1貫300円!!

その秘密は…

「カウンターに立つ職人さんが副業の職人さんである」

なんと、ここの職人は本職は会社員だったり別の仕事をしていたりする“副業型”のすし職人。

しかし、厳しいイメージがある寿司の世界でそんなことが可能なのでしょうか。

2日のevery.lifeは、休日に副業ですし職人!?常識を覆す新たなすしシステムの秘密に迫ります。

山と海の豊かな自然に恵まれ、名物のキンメダイをはじめ、海の幸も豊富な下田。

ここで創業88年になる「美松」は地魚の握りやキンメの煮つけなど下田の海の幸を味わうことができるすし店です。

植松隆二さん・33歳はこの店の4代目

東京のすし店やホテルなどで10年以上修業し、3年前に実家である「美松」に帰ってきました

父と一緒に店ですしを握る一方で先月8日に一風変わったすし店をオープンさせました。

その名も「寿しらぼ三〇二」

この店はただの支店ではなく、これまでにない驚きのチャレンジが詰め込まれているのです。それは…

(美松4代目・植松隆二さん)

「カウンターに立つ職人さんが見習いの職人さんであって、本業を別にもっている副業の職人さんである」

見習いで、副業の職人が客にすしを提供するという常識を覆すスタイル。一体なぜ、このようなすし店をオープンさせたのでしょうか?

(美松4代目・植松隆二さん)

「港町として知られる下田の中におすし屋さんがすごく減少している ピーク時の3分の1くらいになっている おすし屋さんがなくなってしまう 下田のおすし屋さんを維持したい」

下田市では40年前には18軒ほどあったすし店が、2024年現在はわずか6軒が残るのみ。

さらに多くの職人が60代以上のため今後、さらなる減少が見込まれるのです。

海産物が豊富で観光客もたくさん訪れるのに、すしを握る人がいない状況はピンチ。 ということで、

まずは握る専門の人を確保することにしたのです。

(美松4代目・植松隆二さん)

「イベントやすしを握る体験をやってみると思っていた以上に評判がもよかったので、その中の何人かは自分で勉強してトレーニングをする人がいて、そういう人たちと一緒に何かかたちにできないかと思って始めました」

これまですし職人になるためには長い修業が常識で、最近ではすし職人の育成学校も登場したもののそれでも少なくとも数か月かかり高額な授業料も必要でした。

しかし、「寿しらぼ三〇二」はわずか3日間のにぎりの研修だけで、客の前ですしを握ることができるようになるのです。

その秘密はすしを“握る”ことに特化している点にあります

ネタの仕入れから、カット、シャリの準備など“握る”以外はすべて植松さんが行うため、材料は本格すし店と同じで、ここの副業職人はそれを使いすしを“握る”だけなのです

ネタは一流ですが、これまでの常識から言えば“素人が握っている”ということで通常の3分の1の価格1貫300円で楽しむことができます。

30年来の本家「美松」の常連客は…

(来店客)

Q:ここのおすしを食べてどうですか?

「おいしい!おさかなの硬さが全然違う 回転ずしじゃないけど気軽に入って食べられる 気にもせずこられそう」

すしツウをも唸らせる握りを提供したのは本業はビールメーカーの営業という小西章吾さん

(小西章吾さん)

「最初職人になろうとは思っていなかった 海外によく行っていたときにゲストハウスで日本人なので寿司を握ってほしいといわれ、期待に応えられなかったので握れるようになりたいと」

そんな小西さん、お客さんの前で握るのはまだ今日で3回目だといいます

「これはなんですか?」「これスギだっけ?」「これは?」「こっちがね…銀だら 銀だら生の銀だらで珍しい」

握りに特化した訓練のため、魚の種類を覚えたり捌いたりするのはまだ練習中。

それでもお客さんと話しながら寿司を握る“副業のすし職人”に魅力を感じているようです。

(小西章吾さん)

「(お客さんの)反応が見られるのが楽しいですね 握っておいしいと言ってもらえると もちろん仕込みはやってもらっているんですけど、接客していて楽しいです」

こちらの店は現在は週末のみの営業で15人ほどいる“副業のすし職人”がシフト制ですしを握っています。

職人の中には、下田で暮らす女性の姿も…

(濱口梨絵さん)

「濱口です。普段はコテージのオーナーをやってます」「そうなんですね」

すしを握り始めて2か月ほどだという濱口梨絵さん握り方はまだちょっとぎこちない感じも…

手袋をつけているのはシャリが手につかないための工夫で、短期間でお客さんの前に立つための裏技。

しかし、まだ慣れない濱口さんの握りを食べたお客さんは…

(来店客)

「すごくおいしいです つかむとボロボロっと崩れるのかなと思ったけど大丈夫でした」

濱口さんに今後の目標を聞いてみると…

(濱口さん)

コテージやっているので、そこで(すしの)ケータリングプランもできるかなって思ってる がんばって修業して実現できたらいいなと思っています」

すし職人に憧れ現在、研修中なのが植松陽介さん

シャリの押さえ方がうまくいかないようで…

(植松陽介さん)

「そこは添えているだけ そうか!これでギュッとやっちゃっているんだそうです は~~」

「本業は音楽をやっていますStoryやハピネスを歌っているAIさんのバックコーラスを時々やらせてもらっています」

3年前、下田に移住したという植松さん。SNSでこの「寿しらぼ」の存在を知り興味をもったそうです

(植松陽介さん)

「魚もすしも大好きだったので、すし職人ということがすでにハードルが高かったので、まさかこんな身近で教えてくださる人がいるなんて有難すぎて直接お店に行ってお願いしました」

植松さんのデビューも近いようです。

ところで、これまで創業88年の暖簾を守り続けてきた「美松」3代目植松さんの父・幹男さんはこの取り組みをどう思っているのでしょうか?

(美松3代目・植松幹男さん)

「昔と違って修業というものが変わってきたのでいろいろな形でもいいんじゃないかと思って認めている どんどん新しいことをやっていけばいいかなと」

この常識破りの“副業のすし職人”しかし今後、下田の観光を盛り上げる大きな力になるかもしれません。

(美松4代目・植松隆二さん)

「ゆくゆくはケータリング(出張すし)に行ってもらいたいと思っていて、民泊や貸別荘など食事のついていないゲストハウスも増えているので、飲食店が減っていく中、観光客に対して下田のものを食べたいという需要に応えていきたい」

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