【賛否】「新野球場」に「陸上競技場」も…浜松市で進行中の“大型公共プロジェクト”の行方やいかに(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2025年1月7日 17時50分
地元・浜松市や経済界が“ドーム型”を要望する静岡県の新野球場計画。それと並行して市が進めているのが陸上競技場の新設計画です。賛否の声が分かれる大型公共工事の行方は?
7日、年頭会見を開いた浜松市の中野市長。
(浜松市 中野 祐介 市長)
「スズキ自動車の業績の拡大、発展とともに地域の産業、経済の発展があったと思っていて」「最大の功績者、功労者である鈴木修相談役の訃報に接して、非常に残念でした」
2024年末、94歳で亡くなった自動車メーカー・スズキの鈴木修元会長をしのびました。
浜松から世界的な自動車メーカーを育て上げたカリスマ経営者は、県内の政財界にも大きな影響力がありました。その鈴木元会長“肝いり”の大型事業が、2025年、大きく進展するかもしれません。それは、県が浜松市に整備する新野球場と、それに並行して浜松市が進める陸上競技場の新設計画です。
そもそも、新野球場計画が浮上したのは今から11年前…鈴木修元会長ら浜松経済界の要望を受けて、川勝前知事が建設の意向を示しました。
そして、2024年、川勝氏が辞職し新たに誕生したのが、浜松市長時代から鈴木元会長の支援を受け「ドーム球場」を要望してきた鈴木康友知事です。浜松市や経済界は、県に対し、野球以外にもさまざまな用途で使える「多目的ドーム型スタジアム」の建設を要望しています。その最大の課題は巨額な建設費。県の試算では収容人数が2万2000人規模のドーム球場の場合、建設費は370億円。資材や人件費の高騰でさらに膨らむとの指摘もあります。県中部・東部を中心にドーム球場への慎重な意見が多いことから、鈴木知事が就任直後に打ち出したのが、浜松市との「協議会」の設置でした。
(鈴木知事)
「県市、あるいは必要に応じて民間を入れた協議体の中で、構想をもう1回練るというのは、私の私見でございますので」「拙速に、ここはですね。決めない方がいいかなと思っています」
県と浜松市の協議会は、1月中に1回目の会合が開かれる予定で、球場周辺を含めた公園全体の構想や球場の規模、さらに県と市の費用負担についても話し合われる予定です。ただ、浜松市の中野市長は、12月「野球場の建設費用」は県が負担するようけん制しました。
(浜松市 中野 祐介 市長)
「野球場、われわれの要望としては多目的ドーム型スタジアムになりますが、その本体については、県でしっかり整備していただき、周辺整備はまちづくりの観点も入るので、われわれも最大限取り組んでいきたい」
新野球場を巡っては、建設予定地が津波の浸水想定区域にあることや、遠州灘海岸のアカウミガメへの影響を懸念する声も上がっています。さらに、浜松駅から車で20分、最寄りのJR高塚駅からも歩いて35分かかる“交通アクセス”も課題です。それでも、浜松市と経済界は「期成同盟会」をつくり、ドーム建設の機運を高めようとしています。12月にはスポーツ政策や専門家らを招いた講演会も開かれ、“どのようなドームにするべきか”地元の熱は高まっています。
(静岡ブルーレヴズ 山谷 拓志 社長)
「浜松らしい音楽ですね。音楽のコンサートが楽しめるスタジアムというコンセプトは今までない。モトクロス、オートバイの街にふさわしいものもできる」
県による野球場の建設を前提に、浜松市が進めているのが「老朽化した市営の浜松球場を解体し新たな陸上競技場を造る」計画です。浜松市は2つの案を示しています。一つは、1万人収容で国内の主な大会は開催できる「第2種」の陸上競技場。建設費は約60億円です。一方、“有力視”されているのが、1万5000人収容で国際大会が開催できる「第1種」の陸上競技場。補助競技場も新たに造る計画で建設費は約120億円です。浜松球場については、いずれにしても「敷地の広さが足りないため残すことができない」と結論付けました。
(浜松市 中野 祐介 市長)
「野球ができる施設を県が整備を進めている一方で、陸上競技場は浜松市内で四ツ池にしかない施設になっているので」「陸上競技場については四ツ池で今求められる基準、ニーズを満たしたものを再整備する。一方で野球場機能については県の整備を待つ」
これに対し、一部の市民団体は浜松球場の存続を求めています。市民団体は独自に設計し「第2種」の陸上競技場にして駐車場を減らせば球場との併存も可能と訴えています。そして「第1種」といわれる“国際規格”の陸上競技場は必要ないと訴えています。
(新球場と浜松百年の計を考える市民の会 福井 晃さん)
「ここで第1種の陸上競技場ができたとしても、非常に利用価値は限られるだろうなと。今の2種の陸上競技場で十分、野球場と併存できる」「いまエコパという第1種の陸上競技場があるわけですから、それを十分使えば済むことではないかと考えています」
県西部には「第1種」の陸上競技場を備えるエコパスタジアムが袋井市にあり、新たに国際規格の陸上競技場を造っても、エコパと競合するのではと懸念しています。さらに、市民団体が訴えるのが「計画が決まるまでのプロセスが不透明」なこと。浜松市に対し、住民投票の実施や公開討論会の開催を求めていて「丁寧に説明してほしい」と訴えています。
(新球場と浜松百年の計を考える市民の会 福井 晃さん)
「結局、今までのプロセスを拾ってみると、どうも暗中模索の点があるんですよね」「どのような意見が出ているかということを、もう少し聞く耳を持っていただきたいなと思いますね」
浜松を舞台に進む「野球場と陸上競技場」の新設計画。多額の税金が投入されることになる大型事業は、2025年どのように進展するのでしょうか。
(スタジオ解説)
(徳増 ないるキャスター)
浜松支局の西尾記者です。議論がなかなか進まない印象がある県の新野球場計画ですが、2025年、注目すべきポイントは?
(西尾 拓哉 記者)
議論が進むかどうかの最大のポイントは「県民の理解を得られるかどうか」です。浜松市と地元経済界が求めている“ドーム球場”の建設費は370億円で、さらに膨らむ可能性もあります。そのため、県中部や東部の県議を中心に「浜松だけに巨額の税金を投入していいのか」と批判の声が上がっている現状です。
(徳増 ないるキャスター)
その県民の理解を得られるために必要なことは?
(西尾 拓哉 記者)
キーワードは「費用負担(分担)」です。県と浜松市は、1月中に「協議会」を開催する方針で、事業手法や費用負担の割合を議論することになります。浜松市は「あくまで県営球場なので建設費は県が負担するべき」と主張していますが、浜松市議会の中には「ドームの実現を優先するべきで、建設費を一部負担することも受け入れるべき」といった声も出ています」
(徳増 ないるキャスター)
県からは、どのような声が聞かれますか?
(西尾 拓哉 記者)
県の幹部を取材しますと、そもそも「市長時代にドームを要望してきた鈴木知事も、浜松市に建設費の負担を求めるのではないか」と話しています。今後の議論の中で、県と浜松市、経済界を含めた民間企業がどう費用を分担するのか?民間企業を交え、どのような事業手法をとるのか?つまり、県税をとれくらい投入するのか見えてこないと県民の理解も進まないといえそうですね」
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