【解説】第2期トランプ政権スタートで石破首相はどう向き合う?政治ジャーナリスト・青山和弘氏が詳しく
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2025年1月22日 19時49分
(スタジオ解説)
(徳増 ないる キャスター)
第2期トランプ政権がスタートしました。石破首相は、どうトランプ大統領と向き合っていくのでしょうか、高山さん。
(高山 基彦 キャスター)
石破総理はトランプ大統領の就任演説について…『「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」そのものだったと思ういままで選挙戦においてトランプ氏が語ってきたこと、それがそのまま演説になったという感じが強くした』と印象を語り、また、日米首脳会談については、「それほど時間はかからず日にちは決まる」と話しました。
Q.青山さん、会談はいつになりそう?
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
これは2月上旬で検討されているんです。すぐ決まると言っているということですから、このあたりで決まってくると思うのですが、問題は、やはり、そこで何ができるかといういことですね。
(津川祥吾 アンカー)
Q.この政府のトップレベル、高いレベル同士の会談、まあ、顔合わせの会談というようなこともあると思いますが、基本的には、それぞれが狙いがありますよね。石破さんは何を狙うのか、また、トランプさんは、この会談に何を狙っていくと思いますか?
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
石破さんはですね、もちろんトランプさんと初めての会談ですから、まずは個人的な人間関係を築いて、やはり対中国というのがトランプさんにとっても目的として大きいわけですから、日本もやはり中国をけん制するという意味では、いっしょに協力できますね…という意味でお互い信頼関係を築くというのが定石なんですね。石破さんもそう考えている。一方で、私が石破さんに取材しても、トランプさんがどう出てくるのか、何を狙っているのかというのは、まだ分からないようなんですね。とにかく、「出方を見極めたい」としか言わないのです、石破さんは。では何か情報があるのかなと思うと、やはりトランプさんは、そのあたりはよくわかっているという見方もある一方で、やはり石破さんに対してかなり高圧的にでてくるのではないかという情報も、日本政府内にはあって、やはり「出たとこ勝負」のようなところがあるというのが、この日米首脳会談、今回は非常に緊張感があると思います。
(高山 基彦 キャスター)
そして、気になるのが今後の日米関係なのですけれども、関税だけでなく、VTRにもあった「安全保障」についても注目されています。
トランプ大統領はNATО加盟国に対し、GDPに占める国防費の割合を加盟国が目標としている「2%ではなく5%に引き上げるべき」との考えを示すなど同盟国に、より多くの負担を求めたいようです。また、日本も2027年までに防衛費をGDP比の2%まで引き上げることを決めていますが、キヤノングローバル戦略研究所の峯村さんによると、トランプ氏の側近の中には「それでは遅い」という声が上がっていて、防衛費増加への圧力が強まると予想しています。
(津川祥吾 アンカー)
Q.青山さん、防衛費を…各国ですね、しっかりと増やしなさいというのは確かにNATО各国に言っていますから、日本に言ってくる可能性も十分あると思うのですが、このお金の問題だけではなくて、前政権、バイデン政権のやっていることを否定するというやりかたで、ちょっと気になることがたくさんあるのですが…、例えば防衛関係でいくと、日米の防衛装備品を共同で開発して、調達しようという会議が、2年ほど前から始まっているのですが、これを始めたのが岸田さんとバイデンさんなんですね。で、この会議を、まさか、トランプさんがひっくり返す…こんなことってあるのですかね?
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
これは、十分、考えられると思います。この就任式も…、私、ちょうど12年前の就任式も、まさに現場で取材していたのですが、あんなに大統領令を書いて、ペンをバンバン支持者に投げるとか…別の国かと思うような状況ですね。で、何をやったかというと、バイデンさんがやってきたことを否定するということですよね。ですから、バイデンさんと結んだ日米の約束事などというのは、いくらでもひっくり返してくる可能性がある。そして、峯村さん(キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員)がおっしゃていたように、防衛費の圧力、増加の圧力は、これ、強まる可能性がある。一方で、お金だけではなくて、「日本も自衛隊をもっと前に出すんだ」と、「アメリカと一体となってやってくれ」と。いま、統合作戦司令部というのを日米でつくるというのを決めたのですが、例えば、韓国軍はアメリカの指揮下にも入るのですね。日本の自衛隊も、それぐらいを要求される可能性もあるのではないか。非常にトランプさんが、特に安全保障面では、同盟国に対しては厳しい目線を持っていますから、そのあたりどこまでつり上げてくるのか、ここはまだ出方が読めないところでもあるんです。
(津川祥吾 アンカー)
Q.そういったところに対して、石破さん、石破内閣としては、どういった対応を求められる形になりますかね?
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
石破さんも「出たとこ勝負」になるのは仕方ない部分はあるのですけれども、やはり、場当たり的に、対処療法でやっていくとですね、これは、どうしても引きずられて行ってしまうんです。やはり、まず、日本としての軸を、相手が何を言ってきても、まず、ここだけは守らなければいけない、ここは譲ってもいい…という軸を、まず、石破さんの中に、きっちり決めていく必要があると思います。そのうえで、しっかり交渉に臨んで…、あと、石破さんとしても、トランプさんに何か提示する…やはり“玉”というんですか、打ち出していくものを、やはり持っていかなければいけない。ただ「状況を見極めます」という受け身だけではですね、やはり安倍さんは、実際、トランプさんと関係を築いて、自分の方から、同盟がいかに大切か、Win Winというのが大事か…という説明をした。そのために、やはり石破さんも何か材料を持っていく、こうした攻めの姿勢も、今、必要だと思います。
(津川祥吾 アンカー)
これは、トランプさんに限らずだと思うのですが、外交相手としてですね、足腰がしっかりしているかどうか…と常に見られますよね。特に、日本でいうと、石破さんは、今、国会の中でも非常に弱い立場にある…こういったところも、外交上も非常に厳しいところになりそうですね。
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
私も、外務省の関係者と話すと、トランプさんの癖としては、その…勝者か敗者かを見極める癖があると、この人は勝者なのか、 Winnerなのか Loserなのか。石破さんは選挙で過半数を取れなかった。そういったところで足元を見られると、非常に強気に出てくる可能性もある。このあたりも懸念しているんです。例えば、首脳会談の後、ふたり並んで共同会見ができるのかどうか、こういったところから焦点になるという状況があってですね、やはりこの石破外交というのは、のっけから正念場ということが言えるのではないかと思います。
(徳増 ないる キャスター)
日本の外交が、今後どうなるのか注目していきます。
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