長かった道のり、そしてマネ友との出会い!後に続け後輩たち
政治山 / 2015年12月24日 13時0分
人の出会い
1985年に和束町役場に奉職し、私は1990年から幸運にも「実務研修生」として2年間京都府出向のチャンスを得ることができました。本来なら経験できない京都府職員の方々、関係省庁職員、府内自治体職員との業務を通じたお付き合い+α……そんな出会いに恵まれた私は、組織の大小だけでなく、立場の違いや思いの違いを目の当たりにしました。「わが町和束はこれでいいの?」「前例踏襲じゃない?」「具体的な実情を伝えずして、本当に自分たちの思いが伝わっている?」など自問自答をした日々を思い出します。
「美味しいお茶の入れ方」ワークショップを庁内で実施
馬場は“異端児”
実務研修(京都府出向)を終了し和束町に戻った私は、職員同士が自由に意見を言え、いつも新たなことについて議論できる風土づくりができないかと考えていました。また、研修時に知り合った方々から多種多様の情報をいただき、「和束町では無理」と簡単に判断するのではなく、何か新しい取り組みができないかと思うようになりました。
しかし、職場の仲間に説明するもののまったく理解が得られず、上司からは「馬場君は、国や京都府が行うような事案を和束町でしようとしている。ここは和束町なので無理だ!!」と研修かぶれした“異端児”扱い。悶々とした日々が続くものの、若さだけで突っ走ったあのころは、「周りの協力・理解が得られないなら自分でやればいい」と、尖った考え方で日々行動していたように思います。
庁内で実施した職員ダイアログ(対話)の様子
私を変えた一言
そんなとげとげしい考えの日々の中、中学時代の校長先生から当時京都精華大教授(前滋賀県知事)嘉田由紀子さんを紹介され、「無いものをねだるより、あるものを探し磨きなさい」というエールのような言葉いただきました。新しいことや無いものを取り入れようとするのではなく、あるものに磨きをかけた方が身近な人々は理解しやすい。その刺激は、私が知り合いお付き合いをする組織外の人的ネットワークの方々から、周囲(同僚等)に与えてもらうことで、気づきにつながるということでした。
北川先生との出会いと早稲田大学との連携
北川正恭先生との出会いは、私が所属するNPO法人「自治創出プラットフォーム京都もやいなおしの会」メンバーと一緒に参加した、滋賀県内自治体職員勉強会での講演でした。
butterfly effect(北京で一羽の蝶々がはばたくと、ニューヨークでハリケーンが生じる)は、私にとって新たな気づきと自分への反省でした。周囲を巻き込む動き方をしないと組織は変わらない。でも、1人が何かをしないと周囲は動かないし気付かないということです。
あえて動こうとしない組織
早稲田大学との連携を始め、北川先生が教べんを執られていた公共経営大学院夏期合宿が和束町で開催されるようになりました。そこでは院生たちが約1週間滞在し、和束の町づくりについて提案いただくものの、「動かない組織」というより職員が「あえて動こうとしない」ことから、参加した院生からは「このアウェー感が耐えられない」とまで言われたこともありました。
早大大学院生による政策発表会の様子
「和束町職員でダイアログをしたい」。できることだけを夢に描き、あきらめることなくマニフェスト研究所などの支援を得ながら、和束町全職員ヒアリングの実施、職員研修としての半ば強制的とも取られかねない意識改革ワークショップ等を実施し、特に勤続年数の若い職員への刺激を与えました。
人マネ和束町第1期生 誕生
2014年には初めて和束町から3人が、第9期人材マネジメント部会へ参加しました。まだまだこの時点では、「和束町が人材育成にこれだけの多額な予算を充てるのは前例がない」という「理解なき言葉」を受けてどこかモチベーションが下がりつつも、「まずは組織を変えてやる」とポジティブ感いっぱいでの参加となりました。
職員によるクリーンアップ活動
後に続け後輩たち
わが町がここまで来るには、ほぼ20年の月日を要しましたが、決して無駄にした時間ではなく、費やした時間だけ思い入れも大きいものです。特に私が自負するのは、わが町に対する思いにぶれがなかったこと。目先の結果を出すことだけに翻弄されることなく、紆余曲折しながらも諦めずに継続したことが周りを動かし理解を得て、今につながったのだと受け止めています。後輩たちには、人マネに参加することや、庁内ワークショップ・自主勉強会を恒常的にとらえるのではなく、「次の世代に何を送るのか」「そのためには今何が必要なのか」「どんな行動を取るべきなのか」を常に考え取り組んでほしいと思います。
まだまだ自分自身が成長したい
人マネに参加する職員の思いはすべてが前向きではなく、意外とネガティブな方も多くおられますが、回を重ねていくごとに前向きな発言が多くなり、いろんな気づきを受けておられると感じます。どんな場面でも自分の考えが伝えられ、人の考えをしっかり聞き判断できるよう、まだまだ自分自身が成長したいと考えています。これも人が人と巡り会ったきっかけから生まれたご縁だと感謝し、また一歩前に進みます。
京都府和束町 農村振興課主幹 馬場正実さん
◇ ◇
自治体職員のスキルアップ研究会「早稲田大学マニフェスト研究所 人材マネジメント部会」研究生による連載コラムです。研修で学び得たもの、意識改革や組織変化の実例などを綴ります。
<京都府和束町 農村振興課主幹 馬場正実>
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