「気づき」からの産物
政治山 / 2016年3月1日 11時0分
私は2014年度、早稲田大学マニフェスト研究所(以下、マニ研)の人材マネジメント部会(以下、人マネ)に参加し、2015年度は長野会場の運営委員として関わらせていただきました。
小諸市は2006年の人マネ発足時から参加し、今年度で10周年というメモリアルイヤーを人マネと共有しているものの、この間組織としてあまり変化が見られないという、人マネの足を引っ張るような状況があります。
係長研修
小諸市にあった感情的な問題
なぜそのような状況になっているのか、当然マネとも(人マネ参加者)にも原因はありますが、一番の原因は「早稲田アレルギー」であり、それは変革の途中で目的・目標・ありたい姿を見失ってしまったことと、感情の問題によるものだと考えています。
1つの例として「選挙の開票事務改革」があります。10年ほど前にマニ研から提唱され実践し、「日本一早い」と言われるほど結果を出したのはいいけれど、本来は「意識改革や事務改善、経費削減のため」であったものが、途中から「何のためにやるのか」が方向転換され、上層部は「時間短縮ありき・順位ありき」になっていきました。その上、失敗した際の、上層部の怒りの感情むき出しな叱責、それにより職員は嫌悪感が発生し「やらされ感」満載になりました。
その結果、提唱したマニ研が悪いという「とばっちり」につながります。また、そのころ、若手職員が早稲田大学に研修に行くようになり(人マネ参加もその1つですが)、そこもつながっているように見られ、研修参加者もほかの職員から「とばっちり」を受けます。この感情的な「とばっちり」が小諸市にある「早稲田アレルギー」の所以(ゆえん)です。
小諸市で人マネ提唱による変革が難しい土壌である状況をご理解いただけますでしょうか……。
そんな中ではありますが、感化されやすくまじめ気質の私(これはドミナントロジック【思い込み】?)は、人マネに参加し言われた「自分が変わること」や「組織変革」について、一緒に参加したマネともと熱く語りあい、共に考えてきました。幹事団の皆さんからのアドバイスをいただきながら、「学んだことを自分だけのものにしてはいけない」という強い思いから、職場のマネともと共に人材育成の観点での職員研修の実施につなげることができました。
マネとも長野会場同窓会(平成27年3月)
自ら考え実践する研修
こうした小諸市の現状から、対象を「早稲田アレルギー」の無い(薄い)係長と若手職員に絞りました。忙しい総務課職員に協力するという形で企画運営全般を仕切り、オフィシャルな研修として2014年に1回、2015年に3回実施しました。
歴代マネともと協力し行ったこの研修では、係長にはダイアログによる参加者間の気づきや情報の共有と、現在の財政状況から個別に「ありたい姿」に向かって係長として何をすべきか、また、若手職員には職員として何ができるか、「自分にできること」という課題を出して、定期的に振り返りを行いました。若手職員には「知らないということを知る」という良いきっかけにもなり、アンケート結果からも物の見方・考え方は伝わったと思います。
この研修以降、目に見えて変化のあった職員もおり、企画運営に携わった私たちにも多くの学びを与えてもらえた研修でした。自ら考え実践する研修を今後も継続して実施していきたいと思いました。
若手職員研修
どんなカレーを、誰のためにつくるのか
人マネでもそうでしたが、研修を通じて改めて、ありたい姿の明確化と詳細な現状分析がどれだけ重要なことか気づくことができました。
私は料理が好きなのでカレー作りに例えるならば、どんなカレーを作るか(ありたい姿)、調理にかけられる時間やお金、本人の調理技術(現状)などによって、買う材料や調理方法(取り組み)が変わる。プラス、それが「誰のためのカレー」か、という視点で考える。幼児に激辛カレーを食べさせるわけにはいかないですから。
さらに大事なのはPDCA(Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Act(改善))サイクルの「CA」の部分。食べてみてどうだったか、味だけでなく完成までの過程を検証し分析する。材料や調味料などはどうだったか。美味しくするにはどこをどう変えればいいか。次に作るときはこうしようと決めて作る。そしてその繰り返しにより深まる味…。
私はつい「現状+取り組み=ありたい姿」的な数式で簡単に考えてしまいます。ですが、何事も現状を深掘りした上でのありたい姿は「誰のため」の取り組みか、というように考えると、「より良いものにするにはどうすればいいか」と考えを深めていけるのではないでしょうか。
ただし、考えを深めるためには、一人ではなく複数人による「対話」と「気づき」、「視点」が重要だと人マネで学びました。
係長研修
忙しい中でどれだけ楽しみながら頑張れるか
人マネ参加は私にとって大きな転換期となり、自分史では「第三次自分革命」と呼んでいます(笑)。
2年間の人マネでの学びによって私が一番変わったことは、「気づき」を増やすためにいろいろな物事に対して「意識」しようとしていることです。言い換えれば何に対しても「興味を持つ」ということでしょうか。
また、人マネでは「立ち位置を変える」と称されていますが、常に「視点を変えて物事を見る」ということを強く心がけるようになりました。
取り組みたいことがまだまだたくさんあり、優先順位付けをしながら進めていきたいと考えていますが、今一番の課題は自分のモチベーション維持です。忙しい中でどれだけできるか、頑張れるか、楽しみながら継続できるか。人マネ長野会場のマネとも、運営委員の皆さんは気持ちの熱い方が多く、モチベーション維持につながる取り組みを毎年、同窓会として開催しています。その流れに乗って、これからも多くの仲間を“マネ込んで(巻き込んで)”頑張っていければと思います。
長野県小諸市 総務部財政課 財政係長 大井芳知さん
◇ ◇
自治体職員のスキルアップ研究会「早稲田大学マニフェスト研究所 人材マネジメント部会」研究生による連載コラムです。研修で学び得たもの、意識改革や組織変化の実例などを綴ります。
<長野県小諸市 総務部財政課 財政係長 大井芳知>
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
粗大ごみから出た現金を職場懇親会に流用、黙認した処理施設係長を懲戒処分
読売新聞 / 2024年6月29日 15時48分
-
小諸市とDX推進に関する連携協定を締結
PR TIMES / 2024年6月26日 12時45分
-
あなたの取り組み、可能性は無限大!日本最大の政策コンテストに是非、ご応募・ご参加を!
政治山 / 2024年6月20日 16時46分
-
日本人の「自由」へのこだわりとは?...ジョージア大使が考える「共通点」と「相違点」
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月13日 13時45分
-
ライフネット生命 早稲田大学における提携講座開講のお知らせ
PR TIMES / 2024年6月10日 16時15分
ランキング
-
1同居を断られ83歳母の右腹部を包丁で突き刺した疑い、56歳の自称会社員逮捕…三重・四日市
読売新聞 / 2024年6月30日 22時46分
-
2裏金事件、自民御法川氏が土下座 国対委員長代理、秋田会合で謝罪
共同通信 / 2024年6月30日 19時52分
-
3安倍氏三回忌で法要=岸田首相「志引き継ぐ」
時事通信 / 2024年6月30日 18時58分
-
4花岡事件から79年で慰霊式 日中関係者ら200人参列 秋田・大館
毎日新聞 / 2024年6月30日 18時22分
-
5自民・二階俊博元幹事長「取り違えたんではないだろうが、総裁選挙の幕開けというか、スタートが早すぎたね」動き活発な自民総裁選の行方に見解示す
MBSニュース / 2024年6月30日 23時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)