第60回 「Think」だけでなく「Act」し継続した活動を目指す~自主研究グループ『Act SUWA(アクトスワ)』の活動内容と今後の課題
政治山 / 2021年5月26日 10時0分
「人材を変え、組織を変え、地域を変える」ことを目的に自治体職員のリーダーを育成する実践的な研究会「早稲田大学マニフェスト研究所 人材マネジメント部会」受講生による連載コラム。研修で学び得たもの、意識改革や組織変化の実例などを綴っていただきます。
『Act SUWA』とは?諏訪市では2019年に職員有志が自主研修グループ『Act SUWA(アクトスワ)』を立ち上げ、行政サービス向上のための人材・組織づくりを目指して活動しています。
2013年以降、早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会(以下「人マネ部会」)」に参加した部長級から主任級までの職員15人で構成。これまでの研修での学びを継続した活動へとつなげることを目的としています。
『Act SUWA』には、机上で「Think(考える)」だけではなく、実際に「Act(行動)」し継続した活動を目指すという意味が込められています。
これまで月1回程度の全体や小グループでのミーティングに加え、自治体専用ビジネスチャットを利用して情報共有や意見交換を行いながら、具体的な提言に向けて検討を進めてきました。そして、
(1)事業の企画運営や計画策定に活用する市職員の人材バンク「Hanasuwa(ハナスワ)」設置
(2)市が行う事業にクラウドファンディングのガイドラインを作成
地方創生につながる2つの仕組みを構築し、2020年9月に市長に提案を行い、10月から仮運用をスタートする運びとなりました。
市職員の人材バンクは、何でも考えるワーキンググループ「Hanasuwa」と名付けました。職員が得意とする、または興味のある分野や事業へ自主的に登録してもらい、計画策定や事業実施時、該当する分野や事業に登録した職員情報を担当課に提供する仕組みです。
これにより、担当課に属さない職員が計画や事業に参画し、様々な意見・視点が入ることで計画等の実現性を高め、参加職員の人材育成につながります。また、得意とする、または興味のある分野を登録制にすることで汎用性を高めることに期待します。
クラウドファンディングのガイドライン作成は、「予算がないからできません」を「財源を集めるから、この事業に取り組みたいです!!」というように職員の思考を転換し、「わくわく」する気持ちを持って仕事に取り組む意識を醸成することをクラウドファンディングという手段を通じて実現することを目的として作成しました。これにより地域の持つ可能性を再発見し、諏訪市の魅力的な事業を実施することにより、対外的なイメージアップに繋げていきます。また少子高齢化やコロナ禍の厳しい財政状況においても、官民連携によるまちの魅力向上を推進します。
令和3年度は、次の3事業にクラウドファンディングを活用する予定です。
(1)山岳方位盤設置
(2)千本桜再整備
(3)展望台景観整備
最後に令和3年度の新たな提案を紹介します。庁内研修のメニューへ、『Act SUWA』が企画をした「ダイアログ de 提案!!~政策立案研修~」と銘打ち研修を立ち上げます。
人マネ部会で培った「ダイアログ(対話)」というコミュニケーション方法によりもたらされる良好な協働関係、深い気付き及び新たな知見の創造や発見等について、実体験によりその重要性を認識するとともに、職員の政策立案能力等の向上を図ります。
ダイアログを体験することで、自分では気付けなかった新しい考えに気付き、理事者や担当課等と対話をすることでより実践型の政策立案を目指します。
真価が問われるのはこれからこれまでの『Act SUWA』の提案に対して、市長からは「若い職員が意欲をもって主体的に取り組む活動には大きな可能性があり、今後も活動に期待したい」といった言葉とともに、議会からも若い職員の能動的活動に高い評価をいただいております。
しかし、まだ提案や計画の段階で、真価が問われるのはこれからです。提案を行ったという行動に対しては評価をいただきましたが、内容自体に課題がない訳でもないことも併せて指摘されています。そうした課題を解決に導くため、私たちにはダイアログという手段と、仲間がいることを強みとして、まだまだ手探り状態でありますが、失敗を恐れず常に当事者意識を持って、より良い仕組みとなるようブラッシュアップを図っていきたいと考えています。
また、『Act SUWA』メンバーだけでは、人材・組織の変革という大きな課題を解決することはできません。
これまでラジオや新聞等を活用したメディアへの活動の周知や、SNSでの情報発信、また、“ちょこっとダイアログ”と題し、参加者に気軽に新たな楽しい気付きの場を体験してもらうなどの取り組みをしていますが、共有できる仲間を増やす=「巻き込み」も大きな課題であります。
今後は、様々な職員を巻き込む仕組み作りも積極的に行っていきたいと考えています。
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