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条例制定を力に――政策提言できる議会へ

政治山 / 2015年2月4日 11時0分

 小金井市は、11.33平方キロメートルの地域に、11万7465人(外国人を含む)の街です。市内には小金井公園・野川公園・武蔵野公園の3つの都立公園と、玉川上水、野川が流れ、大学が3校あるという緑と水に恵まれ、静かな住宅都市、文教都市です。小金井市議会は24人の定数のうち女性議員数は10人です。

市民の声を市政に届け、政策提言に力を入れて

 市議会議員としての活動は、今年で7期27年目に入ります。長年の議員活動の中で強く感じているのは、市議会が、市長の市政運営の監視役であると同時に、市民の声を代弁する代表であるということで、活発な政策提言を行うことに努めています。

 私立幼稚園保護者補助金の市補助分の増額条例、都市計画税の減税条例などが挙げられます。またほかの会派との共同提案では、より透明力を増すための情報公開条例の改正などなど。紙面の都合上すべて紹介できませんが、数々の条例を提案してきました。提案した条例案が実ることは多くはないですが、それでも市政に対し一石を投じるということでは意味があると考え、あきらめずに提案しています。また小金井市議会では、私の会派だけではなく、ほかの会派も条例提案されます。

 条例提案の方法は3つの方法で提案されています。1つ目は、条例を単独で提案する方法、2つ目は市議会で市民から提出された陳情書等が採択されたにもかかわらず、市長が実行しない場合に提案する方法、3つ目は市民の要望等に基づき、各会派の議員が共同で提案する方法です。この5年間でみると33件の条例が提案されています。

ほとんどの議員が一致し、制定した食育推進基本条例

 最近では、2013年第1回定例会において、食育推進基本条例を提案し、賛成多数で可決されました。この条例制定の経過をご紹介します。

 条例の提案のきっかけは、食育推進審議会の有志の市民から「食育」について市議会でも知ってほしいとの呼びかけがあり、勉強会を2~3カ月に1回の割合で開催しました。この中で、市民の協力のもと小学校での食育の授業が行われていること、小金井市の農業者が「江戸東京野菜」を復活させ、商業と連携されていることを学びました。

 この勉強会を通じて、食育の意味を深く学び、勉強会の集大成として条例を制定し、行政に対しさらに推進を促していくことが必要との方向性が一致し、条例制定に取り組むことになりました。

 まず、保育園、小中学校、福祉施設など200を超える団体・関係機関に、食育の取り組み状況や要望などを聞くアンケート調査を実施。また、条例案の完成前に、市内の関係機関や市民を対象にした共同のシンポジウムを開催。完成にほぼ近い食育推進条例案の意見聴取や意見交換の場をつくりました。シンポジストは、食育推進審議会の会長やJA壮青年部顧問、食育・野菜料理コーディネーター、市議会の代表です。

 さらに、市役所内全体に関わることから、関係各課の意見を聞く場を設けました。158項目の質問や意見をもらい、議員の代表が1つ1つの意見に丁寧に答えました。担当課長との話し合いは大変勉強になり、条例案の理解を深める力になりました。担当課との調整を重ね、ようやく制定にたどり着きました。

(写真)小金井市農業祭での発表の様子

小金井市農業祭での発表の様子(食育推進議員懇談会のブログより)

市民のサポートは条例制定の大きな力

 こうした条例制定の力になったのは、熱意ある市民の市議会へのサポートがあったことです。毎回の勉強会や条例づくりの協議の場に出席してくださり、アドバイスをいただきました。また、ほとんどの議員が趣旨に賛同し、意見や立場の違いを越えて、最後まで協力を惜しまなかったことです。さらに、食育推進の担当課長、議会事務局の力は大変大きいものがありました。各課との調整は、担当課長の力を借りながらでした。

 こうした条例の制定を力に、さらに政策提言できる議会となれるように取り組んでいきます。

(写真)勉強会

条例制定後も勉強会を継続しています(食育推進議員懇談会のブログより)

予算の組み替え動議は、政策提言と財源の根拠を示す前向きの提案

 もう1つの政策提言活動として、私たちの会派は、毎年当初予算についての組み替え動議を欠かさず提出してきました。市民の願いを実現するために、私たちは市議会で政策提言を行いますが、限られた財源の中で何を実現させていくのか、財源根拠を示していくことが必要です。

 そこで、市長から提案があった予算の問題点は何か、また市民から求められている要求で何を重点として実現しなければならないのか、会派内で十分に精査し、提案します。国民健康保険税などにも関わってくる場合は、特別会計の組み替え動議も提案し、政策提言も行うので、時には条例案も準備します。組み替え動議は、各会派の主張が入るので可決されるまでにはなかなか至りません。けれど、提案することで、市の税金の使い方について、別の方法もあるということを示すことは意義があるものだと考えています。

 ただ難点は、私たちが分厚い当初予算書を手にするのは、市議会開会1週間前です。そこからスタートして、どのような組み立てにするのかにはあまりに時間が不足していると感じています。議案の送付の在り方などの改善が求められていると痛感します。

 市長と対等平等に政策論争ができるためには、議会の調査能力の強化が必要です。市議会で何ができるのか、今後も環境の整備に努力していきたいと考えています。

        ◇        ◇

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。

<東京都小金井市議会議員 森戸洋子>

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