防げる事故から子どもを守りたい!エビデンスに基づき政策提言
政治山 / 2022年7月26日 19時25分
自ら事故を防げない子どもたちを守るために
日本では、「予防できる事故」が1歳以上の子どもの死亡原因の上位を占めていることをご存知でしょうか。幼い子どもたちは自ら事故を予防することはできず、学齢期であっても、たとえば安全な教育施設や公園、遊び場などを自ら調査し、自由に選択することはほぼ不可能です。だからこそ、私たち大人が、社会が、子どもたちを事故から守らねばなりません。
子どもたちを事故から守るための法律や条例、ガイドラインは多く存在しますが、これらが周知されず、あるいは周知されていても遵守されず、重大な事故に遭う子どもが後を絶ちません。また、子どもを取り巻く社会や環境は変化し続けており、法律等の内容の不断の見直しや新たな事態への対応も図っていく必要があります。
私たち地方議員の有志は2019年10月、予防できる事故で大きな傷害を負ったり、命を失ったりする子どもを減らすことを目的に、「子どもの事故予防地方議員連盟」を設立しました。2022年7月現在、全国の地方議員80名以上が会員となっています。
これまでの活動について議員連盟では、「エビデンスに基づく政策提言」を重視しています。会員相互で情報共有や意見交換を行うだけでなく、テーマによっては調査を実施し、その結果を分析してそれぞれの議会での政策提言につなげています。また、医師や研究者、技術士、弁護士等の専門家のみなさんに講師をお願いして知見を学び、専門的な立場からのご助言もいただきながら、活動しています。議員連盟の学びをきっかけとした議会での質問は、設立からの2年間で、役員会で把握できただけでも72回に上りました。
他団体と連携した成果の例として、NPO法人Safe Kids Japanと行った窒息・誤嚥事故の予防活動があります。一般社団法人 日本ピーナッツ協会様へは「子どもへの乾いた豆の提供に関する注意書き」について連名で要望書を提出。その趣旨をご理解いただき、協会に加盟する全事業者へ要望書を送付していただきました。
株式会社でん六様は「4歳未満のお子様には食べさせないでください」とパッケージを変更され、食品新聞等のメディアにて報道されるなど注目を集めました。消費者庁では、「3歳頃までは食べさせないように」としていた注意喚起を「5歳以下」と大幅に年齢を引き上げました。
また、ぶどうによる窒息事故についても、事業者に対し、4歳までは4等分にするよう呼びかけるパッケージへの注意書きの表示を要望し、複数の事業者に対応いただくことができました。
このような活動から、2021年3月、第4回SafeKidsAwardにて、国会議員を巻き込んだ全国的な活動に発展する可能性を評価していただき、特別功労賞を受賞させていただきました。
また、2021年5月には、自民党内で行われた「Children Firstのこども行政の在り方勉強会~こども庁の創設に向けて~」において、議連の取組について「こども庁に地方の視点を」と題して発表を行わせていただきました。
マニフェスト大賞応募の際に期待したこと議員連盟の活動に注目していただけたのは、子どもの事故予防に目的を限定し、専門的に時間をかけて調査研究を行い、政策提言につなげてきた地方議員のグループは、私たちが初めてだからではないでしょうか。時に、「子ども政策は票にならない」と評されることもあるなかで、議員連盟のメンバーは、子どもたちの命を守りたい、その一心で子どもの事故予防についての調査研究、提案に多くの時間を割き、取り組みを進めてまいりました。
マニフェスト大賞への応募は、地方議員が子どもの事故予防に取り組む意義とこれまでの活動を社会的に評価していただき、現状を総括して今後の活動のモチベーションとし、また、この活動を広く知っていただく機会とすることで、子どもの事故予防に興味を持つ地方議員が増え、私たちの取り組みをより加速できるのではと期待してのことでした。
優秀賞を受賞したことで様々なメリットが優秀賞を受賞したことで、精力的に活動してきたメンバーたちのモチベーションのアップにつながったのはもちろん、新規会員の入会や行政からの注目という点でも、議員連盟にとって非常に大きなメリットがありました。
マニフェスト大賞応募時には75名であった会員数は、受賞後の約9カ月の間で86名に増え、直接勧誘による入会がほとんどで、新入会員が増えにくくなっていた状況から、議員連盟のホームページの会員募集から自主的な入会申し込みがあるようになりました。また、自治体の職員から「議員の所属する議員連盟が大きな賞をとったそうですね」と声をかけられた議員もあり、行政職員に対し、子どもの事故予防政策をアピールするという点においても効果があったと感じています。
私たちの活動を評価していただき、優秀政策提言賞を受賞できたことは、大変ありがたく思うと同時に、受賞に恥じぬ活動をしていかねばと身の引き締まる思いです。また、最優秀賞やグランプリを逃したことには、良い意味での悔しさもあり、まさにマニフェスト大賞の趣旨「善政競争」の良さを実感しています。他の優秀賞受賞者の発表を聞くことも、大変大きな刺激となりました。
来春、こども家庭庁が設置されることが決定し、こども政策の議論が本格化する中で、子どもの事故予防のリスクアセスメントの考え方や、社会全体で子どもをどのように守っていくのかという大きなテーマについても、議論が活発化することを期待します。
私たちは、「防げる事故から子どもを守りたい」と願う市民や専門家のみなさんと連携しながら、市民に身近な地方自治体の議員という立場で、党派を超えて調査研究し、エビデンスに基づいた政策提言を続けてまいります。そして、次に応募する時には、最優秀賞やグランプリを受賞できるよう、議員連盟メンバー一同、切磋琢磨しながら子どもの事故予防に取り組んでまいります!
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