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議会は住民自治のプラットフォーム―課題懇談会を開催し、住民が望む新型コロナ対策を提言

政治山 / 2022年8月25日 1時10分

住民や事業者との意見交換を経て、議会の政策提言を市行政の予算へ反映

 令和2(2020)年10月、コロナ禍により、市内でも多くの住民や事業者が生活環境の変化や、経営環境の悪化等の厳しい状況に立たされていました。

 そのような中、兵庫県の西脇市議会では、これまで実施してきた事業の効果や課題、さらには今後必要と思われる新たな事業等に対し、市内の全自治会長と市内の3つの商店会から率直な意見や提案をもらう場を設け、それを基に、市行政へ事業提案を行うことにしました。結果、本提案は、12月の一般会計補正予算および令和3年度予算に大きく反映されることになり、様々な事業を実施することになりました。

課題懇談会(意見交換)

課題懇談会(意見交換)

議会が機能できる政策サイクル、今後のモデルケースに

 西脇市議会では、令和2年10月に市内全8地区・総勢80人にも及ぶ自治会長と課題懇談会(意見交換)を実施し、生活支援や水道料金の免除などの金銭的な支援に加え、新型コロナ感染が疑われる場合の対応やコロナ禍の避難所運営など、地域住民のリアルな声を聴取することができました。

 さらに、総務産業常任委員会において、市内の3つの商店会との意見交換を3回、さらには商店会からのリクエストでもう1回の計4回も実施し、支援による効果や課題など、事業者の声にも耳を傾け、積極的な情報収集に努めました。

 その後、様々なデータ収集と議員間討議を重ねた結果、要望事項を(1)令和2年度12月補正予算で対応すべき事項、(2)令和3年度予算で対応すべき事項、(3)令和3年度検討すべき事項に分類し、最終の提言書をまとめ、令和2年11月に市行政へ政策提言を行いました。

 今までの議会であれば、「引き続きコロナ対策を継続・充実せよ」との提言程度に留まっていたかもしれません。そういった観点から、議員自らが行動し、地域住民や事業者の声を聴取した上でまとめあげた今回の骨太の提言は、類を見ないものと自負しています。

 また、新型コロナ対策については、党や会派から市行政に対して要望するケースは全国で多くあるものの、党や会派の垣根を超えてチーム議会として、住民や事業者との意見交換を経て提言を行ったケースは非常に珍しく、ここまで住民との対話を重視した事例はないのではないでしょうか。

取組みを報告した「議会だより」

取組みを報告した「議会だより」

 さらに、住民に対する周知・報告を徹底すべく、課題懇談会の内容を報告書としてまとめ、ホームページに公開するとともに、市内すべての代表区長・自治会長へ配布を行いました。

 課題懇談会での意見抽出、これを基に調査・検討、さらに事業者との意見交換を行い、政策を形成・提言するサイクルを構築し、議会の政策提言を市行政の予算へ反映させたことは、間違いなく議会、そして議員の自信につながるとともに、今後の取組みへのモデルケースになると考えています。

 まだまだ新型コロナウィルスは猛威を振るい続けています。昨年度に提案した内容の検証と精査、そして次への提案が必要となると考えています。

 住民の願いや意見から、市の課題を抽出し、議員間討議でその解決策を考え、住民の意見を聴きながら、意見集約して議会から提言し、さらにそれを発信することこそ、議会が住民の信頼を得られる唯一の方策だと信じています。またこのような緊急事態下にあっても議会が機能できる政策サイクルの取組みとなっていることが議会の存在感を示せたのではないかとも思います。

たくさんの“気づき”をもらえる場

 マニフェスト大賞には、今回で5回目の応募となり、年々応募されている団体のレベルが上がっているように感じます。そのような中でも西脇市議会の取組みを知ってもらい、少しでもパクっていただければと思い、今回も応募しました。もちろん応募のために何か取組みを行うわけではなく、市を少しでも良くしたいという気持ちから実施したものですが、結果、優秀マニフェスト推進賞<議会部門>を受賞することができました。

西脇市議会 議場

西脇市議会 議場

 今回の取組みを通じ、議会の本気度が住民や行政にしっかり伝わると、様々なモノ・コトが前に進んでいくことを再認識できました。まだまだ市や地域の課題は山積していますが、課題解決に向けて確実に歩を進めていけるよう、これからもチーム議会を意識し邁進していきたいです。

 マニフェスト大賞は議会だけでなく、様々な方が応募されています。自分たちだけで考えてもなかなか答えにたどり着くことができなかったことも、こんな方向からの解決策があるのかとたくさんの“気づき”をもらえる場として重宝しています。

 従来であれば、この課題を解決するためにはどういったプロセスを踏む必要があるのだろうかと、先進事例を探すと思いますが、課題として認識していないことまでは見つけることができません。しかし、このマニフェスト大賞では、こちらが気付いていなかった課題を見つけるきっかけにもなり、さらに多くの優秀な取組みに触れることができます。

 また、マニフェスト大賞に応募することで自身の取組みを改めて見つめなおし、この取組みの目的は果たせているのか、効果的であったのかなど見直すきっかけにもなります。うまくいった点、できなかった点を言語化することでプロセスの中で不足していたことなどを把握し、似た取組みをされているところをパクる。PDCAサイクルの中にマニフェスト大賞を入れ込むことで、自分たちの取組みをさらに磨き上げることができますし、加速させることができると思います。

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