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所沢のエアコン設置、住民投票を“ガス抜き”にしてはならない

政治山 / 2015年2月20日 13時27分

 今月15日、埼玉県所沢市で小中学校へのエアコン設置に関する住民投票が行われました。結果は賛成56,921票、反対30,047票と賛成が反対を上回りましたが、条例には「賛否いずれか過半数の結果が投票資格者総数の3分の1以上に達したときは、その結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない」との定めがあり、示された住民の意思は「尊重」はされるけれども「斟酌」はされないこととなりました。

示された「住民の意思」の行方

 ここでは「尊重」と「斟酌」の言葉の意味について詳述しませんが、市長ならびに市議会の決断に与える影響としては「考慮したが方針は変わらない」といった説明が許容されるのが「尊重」、何がしかの譲歩なり代替案を示さなければならないのが「斟酌」と分けることができます。

 条例によって定められた今回の住民投票には法的拘束力はありませんが、この結果が「考慮した」の一言で済ませられるようなことがあれば、およそ4,000万円を支出して住民投票を実施したことの是非が問われても仕方がないかもしれません。

「斟酌」されるための条件は「9万票以上の獲得」だった

 今回の住民投票における投票資格者総数は278,248人で、投票したのは87,763人、投票率は31.54%でした。この時点で、仮に投票した全員が賛成だったとしても結果が「斟酌」されることのない住民投票だったわけですが、住民の意思が「斟酌」されるためには92,750人以上が賛否いずれかに投票しなければならないと定めた理由は何だったのでしょうか。

 参考までに、2011年4月の市議会議員選挙の投票率は41.18%、同年10月の市長選挙の投票率は34.68%。当時現職だった当麻前市長との激戦を制した藤本市長の得票数は38,655票で有権者数に対する得票率は13.98%でした。

与那国、大阪でも問われる住民参加のあり方

 所沢市に続き、22日には沖縄県与那国町でも住民投票が行われます。こちらは自衛隊基地建設の是非を問うものですが、文字通り町を二分した投票運動が展開されています。投票資格を有するのが中学生以上の住民で、永住外国人にも投票権を認めていることから、注目度の高い住民投票となっています。

 また、5月には大阪都構想の是非を問う住民投票が予定されています。直接的な参政権の行使が耳目を集めるなか、間接民主主義の担い手である地方議員はどのような役割を果たしていくのか。4月の統一地方選挙からも目を離すことができません。

<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー 市ノ澤充>

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