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将来を決めている今の政治、関心の薄さを自分事に

政治山 / 2015年6月17日 18時0分

参議院本会議で17日、選挙権が得られる年齢が18歳以上に引き下げられる改正公職選挙法が可決・成立し、来年の参議院選挙から施行される見通しです。「18歳選挙権」の実現は、女性参政権を認めて以来の大きな変革でありますが、これによりすぐに若者の低投票率が改善されるわけではありません。そこで、これまで若者の投票率向上や若年層への有権者教育に取り組んできた皆さんに、「18歳選挙権」の意義や課題などについて寄稿いただきました。今回は、青森県内で若者の投票率向上を目指して活動し、新成人や未成年の模擬投票、ネット政見動画「政治家tube」の撮影・配信などを行っている学生団体「選挙へGO!!」を立ち上げた初代代表 竹内博之さんです。

        ◇

 これまで選挙権年齢が20歳以上としていた公職選挙法が、6月17日の参議院本会議で改正案が可決され、来年(2016年)の参議院選挙から選挙権年齢が18歳に引き下げられることとなった。20代の若者の投票率は、ほかの世代と比べ最も低く、そういった背景からも政治による世代間格差の問題も叫ばれてきた。

 今回の選挙権年齢の引き下げにより、18歳以上の若者が投票できるようになり、投票行動によりこれまで以上に若者の政治への影響力を高めることが期待される。若者の意見や考えをしっかりと政治の場へ届けるためにも、選挙を通じて政治に参加することは重要であり、今一度その意義を若者も含め社会全体で考えていく必要がある。

 そこで今回、若者の選挙投票率向上を目的に立ち上げられた学生団体「選挙へGO!!」の発足の経緯と、これまでの活動内容を振り返りながら、今後の投票率向上策とその意義について探っていきたい。

「選挙へGO!!」の創設メンバー(第7回マニフェスト大賞授賞式で、2012年11月2日)

「選挙へGO!!」の創設メンバー(第7回マニフェスト大賞授賞式で、2012年11月2日)

学生団体「選挙へGO!!」発足の経緯

 私は、前回2011年の統一地方選挙で20歳になり、初めて選挙に行った。20歳になったら選挙に行くことは当たり前だと思っていたが、選挙に対する周りの友だちの反応は予想以上に冷めていて、自分との温度差を感じた。そこですぐに、地元の弘前市選挙管理委員会に20代の投票率を電話で問い合わせたところ、自分と同じ世代の投票率は約3割しかないことを知り、驚いたとともに危機感を感じた。

 今行われている政治が、将来にわたる重要なルールやお金の使い方を決めているのだから、将来を担うはずの私たち若い世代も、積極的な政治参加をしていかなければならないと思った。そこで、同世代に対して選挙の重要性や政治への関心を高める啓発をするため、仲間と共に学生団体「選挙へGO!!」を立ち上げた。

2011年青森県知事選での初めての啓発活動

2011年青森県知事選での初めての啓発活動

若者の投票率向上に向けての実践

 学生団体「選挙へGO!!」では、これまで若い世代に対して、選挙の重要性や政治への関心を高めるべくさまざまな取り組みを行ってきたが、今回は選挙権の引き下げになったことを受け、未成年者へ対しても有効と考えられる活動例を紹介していきたい。

(1)「政治家tube」の撮影・配信
 若者にとって身近なツールであるインターネット上で政治家の政見動画を配信することで、少しでも若者に政治と触れる機会を持ってもらうことを目的に、2012年6月より配信をスタートした。この「政治家tube」では、新聞やテレビといった既存のメディアとは違った観点から、政治家1人ひとりの主張を何回でも見比べることができる。また、地方選挙ではメディアでの報道が少なく、候補者の情報を取得することが難しい中で、ネット配信を介して有権者に情報を提供でき、投票の質向上にも繋がると考えている。撮影した動画は、政治情報サイト「政治山」のサイト内特設ページにて公開されている。

政治家tubeの撮影風景

政治家tubeの撮影風景

(2)中学生・高校生を対象とした「未成年模擬選挙」の実施
 2013年の4月に行われた青森市長選挙に際して、市内の商業施設などで、高校生を対象に実際に発行されている選挙公報を読み比べてもらい、本物の投票箱に投票してもらう体験をしてもらった。未成年にも、立候補している候補者が何を考え、何を訴えているのか見比べてもらい、実際の選挙期間中に投票してもらうことで、政治や選挙をより身近に感じてもらうことを狙った。

 また、同年7月に行われた参議院選挙では、弘前市内のある中学校の授業の中で、模擬選挙を実施した。実施にあたり弘前市選挙管理委員会の協力の下、実際の選挙で使われる記載台、投票箱などを使い、より本物の選挙に近い環境で実施した。選挙公報を見て投票することは中学生には難しいのではないかと考え、投票の前に団体メンバーがファシリテーターとなり、生徒と一緒に今回の選挙の争点などを考えるワークショップを行い、その後に架空の政党ではあるが、実際に投票を体験してもらった。中学生の段階で政治、選挙に触れる機会を作るのと作らないのとでは、有権者となった時の行動も大きく変わってくるはずだ。

投票率の問題を自分事に

 以上の活動は、「選挙へGO!!」でなければできなかったことではなく、選挙管理委員会、学校や教育委員会でもやろうと思えばできるはずだ。社会全体の中で、若者の低投票、政治や社会への関心の薄さを将来に向けての大きな問題としてとらえ、いかにして克服していくかを考えていかなければいけない。この問題に正面から向き合い、知恵を出し合い、行動を起こすことで、少しずつでも社会を良くしていく動きが生まれてくると信じたい。「選挙へGO!!」の後輩たちの活動にも期待している。

<学生団体「選挙へGO!!」初代代表 竹内博之>

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