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「談話」は個人見解―閣議決定を経て公式見解へ

政治山 / 2015年8月7日 20時30分

 現在、安倍首相による戦後70年談話が発表されるか否か、その内容について様々な憶測が飛び交う状況となっています。では、そもそも政府が発表する談話とはどのような意味を持つのでしょうか、その位置づけから整理してみましょう。

 政府発表談話(以下、談話)は、基本的には首相や官房長官などの一個人の見解を示すものです。国会審議を経たものではなく、法的拘束力があるものではありません。戦後○○年などの節目の年に発表されてきた内閣総理大臣や官房長官の認識という程度のものです。

 この談話が拘束力の観点から一定の意味を持つケースとしては閣議決定される場合があり、談話自体というよりも閣議決定の効果によって意味を持つと解釈できます(閣議決定された談話を後の内閣が取り消したり修正したりすることもできます)。

 さらに、政府の公式声明ということになれば、政府としての正式な意思表示となるため、国内的・国際的にも大きなインパクトを持つことになります。

 では、このような首相談話が注目される状況となっているのは、なぜでしょうか。

 戦後50年・60年などの節目の年に首相談話が提示されてきましたが、同内容は時の首相の歴史認識を表すものとして注目されています。

 首相の個人的な見解である談話ですが、多様な歴史観を有する国民の存在を前提とするわが国において、行政府の長としての見解を示した過去の談話については、国内で異論を唱える声も大きなものとなっています。

 また、日本は敗戦国として首相談話で示される歴史認識に、一定の制約を受けてきた状況があります。そのため、安倍首相が新たに21世紀にふさわしい未来志向の談話を発表するということから内外の関心は高まっています。

 特に安倍首相が上記の制約を乗り越えた内容を発表することを念頭に、安倍首相を歴史修正主義者と見なす海外の動向を考慮し、戦後70年談話を敢えて発表することの意味について、日本国民が得られる利益を明確に示すことができるのか、その手腕が問われる状況となっています。

<早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉>

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