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白票にも政治を動かす力はあるのか

政治山 / 2015年10月20日 11時30分

 来夏の参院選で選挙権年齢が18歳以上に引き下げられますが、若者の選挙に対する無関心は年々広がっています。総務省が作成している年代別投票率の推移では、全世代で右肩下がりの投票率ですが、40年前に比べて、年代別の投票率の差が徐々に開いていることが見てとれます。

衆議院議員総選挙における年代別投票率(抽出)の推移(総務省のページから引用)
衆議院議員総選挙における年代別投票率(抽出)の推移(総務省のページから引用)

 「投票したい候補が選挙区にいないから」という意見もよく聞きますが、こんなときは白票を投じるという選択肢もあります。ここでは、「棄権も白票も変わらない」と思っている方に、白票の持つ意外な力を解説します。

議員は選挙に行く人のために政策を語る

 少子高齢化社会で若年層が少なくなる中で、投票率の格差まで大きくなると、候補者はより影響力の強い年齢層が望む政策を重視するようになります。政策は影響力のある世代に傾いていくのが選挙に命運をかける議員のインセンティブ(動機)になります。

 例えば社会保険分野では、将来に過度な負担をかけないための制度設計をどうするかで年齢層によって考え方が大きく変わります。自分が現役の時は負担を少なく、受給する時に手厚い保護を受けたいという思いは、どの世代でも共通です。また、憲法改正についても年齢層が若くなるに従って肯定的な意見が多くなる傾向にあります。

 若い方々が棄権すれば、政治は相対的に若者向けの政策から遠ざかっていきます。とはいえ、「投票には行きたい。しかし、投票したい候補者がいない」という方も多いでしょう。国政レベルならともかく、都道府県議選、更には市区町村議選ともなると、候補者の顔も分からない。どんな人かも分からないのに、いい加減な投票はできない。

棄権か。白票か。

 どっちも同じだから、行くのをやめよう。それが多くの棄権者の考え方かもしれません。しかし、両者には似て非なる性質の違いがあります。どちらも、積極的な意思表示をしない点では同じですが、後者には消極的な意思表示の効果が期待できるのです。

白票は投票率にカウントされる

 白票は、候補者の得票率にはカウントされませんが、投票率にはカウントされます。多くの若者が白票を投じ、投票率が上昇したらどうなるでしょうか?

 候補者は「若者向けの政策もケアしなくてはいけない」と考えることが期待できます。また、白票は無効票になりますから、無効票の増加は浮動票や無党派層が増えているとそれぞれの後援会が分析し、より緊張感のある政策論争につながることも期待できます。

ゆくゆくは候補者差し替えにつながる?

 さらに、投票率が高い割には得票率が低い場合、各党や選対本部は候補者に実力がないと見て、後々の候補者選定にも影響を与えるかもしれません。

 決してポジティブな投票行動とは言えませんが、どうしても投票したい候補者がいないとき、棄権するよりは多少なりとも影響力がある。その程度の意味はありそうです。

<フリーライター 上村吉弘>

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