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大臣適齢期、想い募れば大臣病に

政治山 / 2015年10月27日 12時0分

 新政権誕生や内閣改造の際に、大臣適齢期(入閣適齢期)なる珍名な言葉がメディアに登場します。衆院議員であれば当選5期、参院議員であれば当選3期が目安とされます。3年3カ月の民主党政権があったために、自民党内には適齢期の議員が溜まり、現在該当者は71人に上るようです。適齢期の議員は「大臣(入閣)待機組」「大臣(入閣)待望組」と言われ、己の力量を省みず大臣ポストを求める議員は「大臣病」とも言われます。

首相官邸ホームページの閣僚名簿
首相官邸ホームページの閣僚名簿(この画像はサイトのスクリーンショットです)

改造するほど政権は弱体化?

 小選挙区制になって以降、派閥政治が鳴りを潜め、相対的に総理の権限が増したために、各派閥が出す推薦名簿に縛られなくなったことも順送り人事が停滞している一因と思われます。「女性が輝く社会」を最重要課題の一つとする安倍政権では、女性閣僚も3人は置きたいところ。TPP交渉や消費増税、マイナンバーなどの重要政策を抱える所管大臣についてはそう簡単に代えるわけにもいきません。

 そうなると、残されたイスは限られます。内閣改造は、新閣僚への期待から一時的に政権支持率は上がりますが、安倍政権では新閣僚のスキャンダルが報じられることも少なくありません。「お友達内閣」と揶揄(やゆ)された第1次安倍内閣の頃から入閣候補者の身辺を調査する「身体検査」が甘いと言われており、今回の第3次安倍改造内閣でもすでに様々な報道が噴出しています。

 かつて7年8カ月の長期政権を維持した佐藤栄作首相は、巧みな人事で内閣改造を繰り返しましたが、「改造をするほど総理の権力は下がり、解散をするほど上がる」との名言も残しています。

大臣になったがために落選した?議員も

 適齢期の議員が大臣病に罹るのは、当選を重ねながら要職に就けないと後援会にも顔向けできないからです。どんな大臣であれ、短期間でも大臣を経験すれば「元国務大臣」の肩書きを選挙ポスターやチラシに書くことができます。大臣を輩出した選挙区民にとっても誇りであり、地元紙に「県内選出○人目の快挙」などと大きく報じられます。

 しかし最近はスキャンダルを追及され文字通り短期間で事実上の更迭となる大臣も少なくありません。一議員のままであればスルーされた醜聞が、大臣になったために蒸し返されたり収支報告書を精査されたりと、次の再選すらも危ぶまれるリスクが高いことを顧みる議員は、入閣の喜びが大きいせいか、あまりいないようです。大臣さえ拝命していなければ「将来の首相候補」のままであった議員や、落選して市井の人になった元議員は今ごろ、トラウマとしての大臣病に罹っているかもしれません。

<フリーライター 上村吉弘>

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