アダムズ方式による定数削減とは?
政治山 / 2016年2月24日 12時30分
安倍首相が、衆院の定数10削減を自民党の方針より前倒しで実施する意向を表明しました。
アダムズ方式の先延ばしを主張する自民党
衆院の議席配分を巡っては、議長の諮問機関「衆院選挙制度に関する調査会」が先月、「アダムズ方式」による定数10削減(小選挙区6、比例代表4)を答申しました。削減先送りの方針だった自民党は首相の意向を受けて10減には賛成したものの、アダムズ方式による配分見直しについては、2020年の大規模国勢調査まで検討を見送る考えを変えていません。
現代の国盗り物語とも呼ばれる選挙。議席配分を巡る綱引きもまた陣取り合戦と言えるかもしれません(写真はイメージです)
アダムズ方式で削減した場合、2010年国勢調査では「7増13減」になります。自民党は「今回の小選挙区6減は緊急是正」として、2015年の簡易調査結果に基づく区割り見直しを元に「0増6減」を主張しています。前者だと増減対象が18都県に及ぶため、現職議員に広範な影響が及ぶ自民党にとって調整が難しいと見られます。
では、調査会が採用するアダムズ方式とは、どんな議席配分方法なのでしょうか。
米第6代大統領アダムズが提唱
米国の第6代大統領アダムズが提唱したとされます。各州の人口を一定数で割り、得られた数字の小数点以下を切り上げて議席数を決める方式で、小さな州に有利とされます。マサチューセッツ州選出の下院議員になったアダムズが、同州の議席を減らさないために考案したと言われ、「切り上げ方式」とも呼ばれます。
日本では「1票の格差」是正のために、同調査会が9種類の議席配分方式の中から採用。「都道府県の人口をある定数で割って得られた商の小数点以下を切り上げ1議席を加えたものをその自治体の議席数とする」としています。定数が1議席となる都道府県がなくなり、各都道府県の人口比を反映しやすい利点があり、1票の格差は最高裁判例の基準である「2倍未満」をクリアできる見通しとなります。
検討された9種類の議席配分方式は、2つの基数方式(ヘア式最大剰余法、ラウンズ方式)と、7つの除数方式(ドント方式、サンラグ方式、修正サンラグ方式、ヒル方式、ディーン方式、デンマーク方式、アダムズ方式)。2010年国勢調査人口を基に試算した場合、自治体数の影響が最少なのは7増13減のアダムズ方式で、最大なのは24増30減のドント方式になります。
<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター 上村吉弘>
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