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一般会計の4倍、400兆円を超える特別会計とは

政治山 / 2016年3月24日 12時0分

一般会計とは別建ての特別会計

 現在、参議院予算委員会で審議中の来年度一般会計予算案は総額96兆7218億円で、「4年連続で最大を更新」と報道されました。予算委員会で審議される予算案の大部分は一般会計予算についてです。一方、一般会計とは別建ての特別会計について報道されることはあまりありません。

 来年度予算の特別会計歳出総額は403.9兆円で、一般会計の4倍に上ります。会計間相互の取引額などの重複計上額等を除いた純計額は201.5兆円です。大きく報じられない特別会計予算ですが、規模的には一般会計予算総額をも上回る規模です。

予算

個々の事業の収支を明確にする必要

 ではなぜ、同じ予算なのに、一般会計と特別会計を切り離すのでしょう?

 国や地方公共団体の会計は、すべての歳入や歳出を単一の会計で経理する「単一予算主義の原則」に基づいています。ところが、この原則に固執すると、かえって個々の事業の収支損益や資金管理などが不明となり、好ましくない場合があります。

 一例として、水道事業を挙げます。各水道局は水道料金収入で運営されていますが、もし水道料金を税収として合算してしまえば、水道を提供するためのコストが分からなくなり、ひいては適切な水道料金も分からなくなります。こうした特定事業を一般会計とは切り離して会計しているのが特別会計です。

「母屋でおかゆをすすっているときに、離れですき焼きを食べている」

 国の予算については財政法第13条第2項に、地方公共団体の予算については地方自治法第209条第2項に、「特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」に特別会計を設置できるとしています。

平成28年度特別会計予算の種類

1.交付税及び譲与税配付金特別会計
2.地震再保険特別会計
3.国債整理基金特別会計
4.外国為替資金特別会計
5.財政投融資特別会計
6.エネルギー対策特別会計
7.労働保険特別会計
8.年金特別会計
9.食料安定供給特別会計
10.国有林野事業債務管理特別会計
11.貿易再保険特別会計
12.特許特別会計
13.自動車安全特別会計
14.東日本大震災復興特別会計

 現在、国の特別会計は別表の14種類ありますが、戦前には最大60、戦後も最大45もあった時期があります。ここ10年で見直しが進んでかなり整理された特別会計ですが、昨年9月に亡くなった塩川正十郎元議員が財務相時代の2003年2月に「母屋でおかゆをすすっているときに、離れですき焼きを食べている」と答弁した言葉は、今でも語り草になっています。一般会計で節約しているのに特別会計で浪費していることを絶妙に例えています。

 一応の審議はあるものの、「用途が限られている」ため一般会計と比べて充分な議論は行われません。余ったお金を他に回せないので、予算を使い切ろうとする傾向もあり、「国民の監視が行き届きにくい」と指摘する声は今でもあります。

<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター 上村吉弘>

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