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知事のリコール、その条件とは

政治山 / 2016年5月6日 11時50分

 舛添要一東京都知事が糾弾されています。毎週末14時過ぎに都庁から自身の別荘がある神奈川県湯河原町に公用車で移動し、年間49回、ハイヤーで換算すると往復で約400万円に上る公費を支出していたと4月27日発売の「週刊文春」に報じられています。

都知事にリコールの声

 舛添都知事を巡っては、都有地を保育所に使うのではなく、韓国人学校のために貸し出す意思を表明。また、頻繁に渡航する海外出張でファーストクラスを利用したり宿泊費に1泊19万8000円も使ったりと、都民の生活実態と懸け離れた贅沢三昧をしているとして、リコール(解職請求)の声も出始めました。

 都政が今後どうなるかはともかく、住民が首長をリコールするにはどのような手続きがいるのでしょうか。

舛添要一東京都知事
定例記者会見を行う舛添都知事(4月28日、同氏のフェイスブックページより)

リコールは憲法が保障する権利

 リコールは直接民主制の一つで、公職者を罷免できる制度です。日本国憲法15条1項で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と保障しています。議会に対する解散請求や最高裁判所裁判官に対する国民審査もリコールの一種です。

 地方自治法では、議員や首長、副知事、副市町村長、選挙管理委員、監査委員、公安委員会の委員、教育委員会の委員といった重要な任命職についても、解職請求権を認めています。農業委員、海区漁業調整委員会の委員、土地改良区の総代のリコールも個別法で規定されています。

通常は有権者の3分の1の署名で住民投票に

 住民投票によって首長をリコールする場合、有権者は3分の1以上の署名で解職の是非を問う住民投票を60日以内に行うことができます。投票で過半数の同意があれば、リコールが成立し、首長は失職します。失職した首長は出直し選挙に再出馬できます。

 上記の署名は、人口が多い自治体の場合、「40万を超えるときは、40万を超える数の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上、80万を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上」と地方自治法に明記されています。地方議会の解散にも同様の手続きが必要です。

都のリコール署名には135万超の署名が必要

 東京都の場合、前回都知事選(2014年2月)の総有権者数1068万5343人で計算すると、135万9008筆の署名が必要です。また、署名を集める期間も2カ月以内と決まっており、現実的には非常に高い壁といえます。

 過去に市町村長のリコールが成立した件数は確認できるだけで19件、住民投票を行ったものの過半数の賛成を得られず不成立だったのは4件です。有権者数が圧倒的に多い都道府県知事でのリコール成立事例はありません。

株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター 上村吉弘

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