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公金流用は永田町の常識?―舛添知事疑惑

政治山 / 2016年5月17日 11時50分

 「会議費用」名目で「家族旅行」をしていたと批判されている舛添要一・東京都知事。家族がいる部屋で会議を行っていたと苦しい弁明をした上で、収支報告書の訂正と支出の一部について返金する意向を示しました。公金が含まれる政治資金の私的流用を非難されていますが、公金の私的流用は「跡が付かずに行える仕組みがある」という声もあります。

文通費と立法事務費は届け出不要の「第2の給与」

 政治団体による資金の流れは、収支報告書に記載することが政治資金規正法で義務付けられています。

 一方で、議員一人あたり月額100万円が支給される文書通信交通滞在費(文通費)については、使途の公開が義務付けられていません。文通費は、政治活動を報告するための郵便料金や電話料金、電車賃やタクシー料金などに充てるために公金から支出される経費ですが、追跡する仕組みがないため、私的流用をしても分かりません。また、立法にかかる諸経費である月額65万円の立法事務費(各会派に支給)も公開義務はありません。

 これらの自由に使える月額165万円は「第2の給与」とも言われ、国会議員の年収は、約2200万円の歳費と合わせて実質4000万円以上とも言われます。

会見で釈明に追われる舛添知事(THE PAGEがYouTubeに公開している記者会見の動画より)
会見で釈明に追われる舛添知事(THE PAGEがYouTubeに公開している記者会見の動画より)

野々村被告の“号泣”で進んだ領収書添付の義務

 地方議員の政務活動費は、国会議員の文通費や立法事務費に相当します。地方自治法では、政務活動費の収支を議長に報告するよう規定しています。この規定により2014年、元兵庫県議の野々村竜太郎被告が政務活動費を詐取したとして、有名な“号泣”記者会見が行われました。

 領収書添付については各自治体の判断に委ねられていますが、野々村被告の“事件”を契機に添付を義務付ける地方議会が増えました。

問われる国会議員の良識

 一方、国会でも同事件を機に文通費の使途を公開する動きがありましたが継続審議で流れ、現在は一部の政党が自主的に公開しているだけです。

 野々村被告はその後詐欺罪などに問われ、懲役3年が求刑され、7月6日に判決が言い渡される予定です。地方議会に収支公開の流れを作った野々村被告の事件と同様に、舛添知事の今回の報道が果たして、国会をただす教訓となるのかどうか。

 国会議員の良識が問われています。

<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター 上村吉弘>

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