別人?選挙ポスター修正どこまで許される?
政治山 / 2016年6月30日 11時50分
街中で見かける政治家のポスター。最近は、肌ツヤがよく、皺もほとんどない、綺麗に整った髪型の写真ばかりです。写真と実物の差に思わず「別人?」とつぶやいてしまうほど違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。
厳しい公選法、ポスターの内容にはおとがめなし
日本の選挙規制は世界一厳しいとも言われます。公示(告示)前に選挙運その動をすると摘発されます。選挙期間中も、運動員への報酬やポスター・はがきの枚数などに厳しい規定があり、戸別訪問も一般人がメールを使って知人に投票依頼することもできません。
これらは「べからず法」と揶揄される公職選挙法の規定によりますが、肝心のポスターやはがきの内容については、特におとがめがありません。もちろん、候補者の経歴詐称や虚偽事項記載は禁じられていますが、内容は原則自由なので、写真を使うか否かも自由です。写真をいくら加工しても、数十年前のものであっても規制する条文がありません。
憲法が保障する「表現の自由」を尊重しているのかもしれませんが、フォトショップをはじめとする画像編集ソフトが進化した現在、写真加工はピザから美女を作り出せるレベルまで向上しています。似ても似つかない本人写真に釣られて投票する有権者もいるのではないでしょうか。公選法がハード面ばかりにこだわり、ソフト面に無頓着なのはなぜでしょう。
(参考)ピザから美女が作られた画像の逆再生動画
https://www.youtube.com/watch?v=Hnvoz91k8hc
公選法改正は簡単ではない
松田公太・参議院議員がブログでそのあたりの解説をしています。
-◇-
この規制をつくるのは、公職選挙法の改正が必要になり、インターネット選挙解禁に携わった経験からすると、非常に大変なのがわかります。(公職選挙法は、原則「全政党」のコンセンサスがないと変えるべきではないという慣習が国会にはあります)。
松田公太オフィシャルブログより
http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12012527813.html
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公選法改正には時間や根回しが必要で、一朝一夕には変えられないようです。現実に対応していない法律が、現実を規制するというのは、手段と目的が逆転しているようにも見えます。
選挙公報の場合、自治体の選挙管理委員会によっては「候補者の上半身、無帽、無背景の写真、3カ月以内に撮影」などと規定しています。せめてこの程度の努力目標があってもいい気がします。松田議員も、法改正に先んじてガイドラインを作ることを提言していますが、目立った動きは起きていません。
人は見た目が9割?
「美しすぎる議員」「イケメン議員」として話題を呼べば、注目を浴びることは間違いありません。新書「人は見た目が9割」がベストセラーになったのも、そのタイトルに共感する人が大勢いる証拠といえるでしょう。政治山調査(読売IS合同調査)でも「投票に行く人の3人に1人が選挙ポスターを重視」しているという結果が出ています。
しかし政治家の本分は政策の中身とその実行力であって、外見ではありません。有権者は、顔写真と素顔が必ずしもイコールでないことを認識し、候補者本人の訴えに耳を傾ける努力が必要といえます。
<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター 上村吉弘>
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