各党キャッチフレーズ、3年前と比較して何が変わったか
政治山 / 2016年7月4日 17時30分
参院選での各党の公約キャッチフレーズを、前回2013年参院選での公約と比較すると、この3年間の社会の変化が反映されていることが分かります。前回と今回の参院選ともにキャッチフレーズを出している政党の新旧キャッチフレーズを比較してみました。
自民 2013「実感を、その手に」⇒2016「この道を。力強く、前へ。」
自民党は前回の「実感を、その手に」から、「この道を。力強く、前へ。」に変化しました。2013年7月と言えば、第2次安倍政権誕生から半年余り。公示日の2013年7月4日の日経平均株価終値は15,437円で右肩上がりでした。政権交代が確実視された2012年12月4日の衆院選公示日の終値9,432円から6,000円余りも値上がりし、「アベノミクス」はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
それだけに、自民党も「実感を、その手に」と、景気上昇を強調してアベノミクス成功を高らかにPRしていました。ちなみに、安倍首相がNY証券取引所で「Buy my Abenomics」と演説したのは、選挙から2カ月後の9月でした。
今回は、公示日6月22日の日経平均株価終値が16,065円と、前回公示日の価格よりも600円程度上昇しています。しかし、消費マインドは「あべこべ」と言っていいでしょう。景気が上昇し続けていた前回に比べ、今回は年初から株価が下落基調をたどり、アベノミクスに対する風当たりもきつくなっています。消費増税も延期を発表し、実質賃金や成長率も伸び悩んでいます。
「この道を。力強く、前へ。」というメッセージに、アベノミクスを信じて前進しようと呼びかける自民党の思いが見えてきます。
民進(民主) 2013「暮らしを守る力になる」⇒2016「人からはじまる経済再生。」
民進党は前回の参院選では絶好調のアベノミクスに対して、前政権と比較されることを避けたかったのか、経済に関するワードがなく、漠然としたフレーズでした。今回、消費増税の延期や株価下落基調などを受けて、経済再生という言葉を用いて安倍政権に対する対決姿勢を前回よりも明確に打ち出した点に変化が見られます。
公明 2013「安定は、希望です」⇒2016「希望が、ゆきわたる国へ。」
公明党は前回と今回が連作のようなキャッチフレーズになっています。つなげると「安定は、希望です。希望が、ゆきわたる国へ。」となり、次回のフレーズが早くも気になります。
共産 2013「『国民が主人公』の新しい政治を」⇒2016「力あわせ、未来ひらく」
共産党は前回、安倍政権が良くも悪くも「決められる政治」として次々と法案可決していく点に着目し、「国民が主人公」という言葉で政権に疑問符を突き付けました。前回の「新しい政治を」に続けて、今回も「未来ひらく」と、将来に向けた言葉を使い、政権選択の色合いをにじませています。
おおさか維新(日本維新) 2013「逃げずに真正面から」⇒2016「古い政治を壊す。新しい政治を創る。」
おおさか維新の会は前回、日本維新の会として「国民に耳の痛いことも言うべきことはきちんと言う」との意図で「逃げずに真正面から」との決意表明のようなキャッチフレーズを作りました。党内でも逃げずに丁々発止の議論をした結果なのか、共同代表だった石原慎太郎氏らが袂を分かち、「維新の党」を経て現在に至りました。
党内刷新を繰り返した3年間とも言えますが、今回のフレーズ「古い政治を壊す。新しい政治を創る。」は、党の歴史にも重なります。
一方、石原慎太郎氏らのグループは次世代の党を結党しましたが、石原氏の衆院比例での落選などもあって党勢は低迷し昨年末、「日本のこころを大切にする党」と改名しました。今回、公約集にキャッチフレーズはありませんが、捲土重来を期して15人の候補を擁立しています。
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