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選挙期間中に候補者が辞退したら、期日前に投じた票はどうなるのか

政治山 / 2016年7月21日 17時30分

 真夏の炎天下や身も凍る厳冬期の選挙は、街頭演説だけでなく、選挙カーで窓を全開にしながらの移動も候補者の体力を惜しみなく奪います。

 どんなに厳しい環境下でも大勢の有権者を前にすれば、緊張感と高揚感でアドレナリンが分泌され、体力以上のパフォーマンスでその場は乗り切れるかもしれませんが、体調の異変に気付かず、投票日を待たずに亡くなった候補者も過去にはいます。

炎天下

ハプニング解散後、選挙期間中に大平首相が他界

 1980年5月、内閣不信任決議案の思いがけない可決により“ハプニング解散”をした大平正芳首相(1910-1980)は、公示日の5月30日、新宿での街頭演説で第一声を行った直後に気分が悪くなり緊急入院。初夏の過ごしやすい時期ではありましたが、政局によるストレスもあって体調に異変を来したとみられ、6月12日に亡くなりました。

 大平首相自身も衆院選の候補者だったわけですが、選挙期間中に候補者が死亡した場合、選挙はどうなってしまうのでしょうか?

候補者が死亡したら“補充立候補”

 公職選挙法に補充立候補の規定があります。選挙期間中に候補者が死亡したり立候補を取りやめたりした場合、人数に制限なく新たな立候補が認められます。候補者の関係者である必要はなく、誰でも立候補できます。

 立候補の期限は投票日の3日前(町村長または町村議会議員選挙の場合は2日前)です。期限が過ぎて、首長選挙の候補者が1人の場合は、投票日を5日延期して、延期後の投票日3日前(町村の場合は2日前)まで補充立候補をすることができます。

 衆院選小選挙区の場合、政党が選挙期間中に除名や離党その他の事由により所属する者でなくなった旨の届けが提出されて立候補の届け出が却下された場合も、補充立候補が可能です。

欠けた候補者への期日前投票は無効票に

 候補者を補充しなければ無投票となる場合もあることから、有権者の意思表示の機会を保障するのがこの制度の狙いです。一方で、欠けた候補者が期日前投票で得た票は無効になるという問題点も指摘されています。

熱中症

後継者と目される補充候補は強い?

 大平首相が死去した際、娘婿の森田一氏が補充立候補して初当選しました。

 このほかに、2007年長崎市長選の期間中に射殺された伊藤一長市長の補充候補として選挙戦に臨んだ同市職員の田上富久氏と娘婿の横尾誠氏(田上氏が当選)、1956年の群馬県知事選挙において投票日の3日前に急死した竹腰徳蔵・前衆院議員の補充候補として立候補した実弟の竹腰俊蔵氏(当選)の例など、確認できる衆院選や知事選、市長選で7例あります。

 後継者と目される補充候補は“弔い合戦”の色彩を帯びるため準備期間がない不利はありますが、有権者の共感は得やすいようです。

被選挙権がないのに立候補した場合は却下

 候補者が欠けるのではなく、被選挙権がない者が出馬していた場合はどうなるのでしょうか。この場合、立候補の届け出は却下されます。もちろん、補充立候補はありません。昨年4月、千葉県議選に立候補した元八千代市長が10年間の公民権停止期間中であるとして却下され、候補者が6人から5人になった例があります。

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