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周辺国に脅かされる日本の海域…領海と接続水域、排他的経済水域の違いは?

政治山 / 2016年8月17日 11時50分

 北朝鮮が8月3日にノドンとみられる中距離弾道ミサイルを発射し、秋田県男鹿半島の西方250キロの排他的経済水域(EEZ)内に落下したと報じられました。また、同月6日には、中国海警局の公船6隻が尖閣諸島周辺の日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入り、中国の漁船およそ230隻がその周辺を航行しているのが確認され、外務省は中国大使に抗議しました。8月以降、中国当局の船は尖閣諸島の接続水域でほぼ連日確認されており、海上保安庁が巡視船で警告を繰り返していますが、すでに3回以上、領海侵入が確認されています。

 隣国の脅威に晒される領海や接続水域、EEZですが、沿岸国である日本には、これらの海域にそもそもどのような権限があるのでしょうか。

領海・EEZ等の模式図
領海・EEZ等の模式図(※国連海洋法条約第7部(公海)の規定はすべて、実線部分に適用される)出典:海上保安庁ホームページ

領海は12海里、接続水域は24海里、排他的経済水域は200海里

 領海、接続水域、EEZとも、領海の基線からの距離で決まっています。領海は12海里(約22.2km)、接続水域は24海里(約44.4km)、EEZは200海里(約370.4km)で、その外側は「公海」として、どこの国からの影響も受けません。

 「領海」は、いわば海の領土であり、瀬戸内海のように陸の内側にある海(内水)は勝手に航行できません。ただし、内水でない領海では、「安全を害さない範囲」で外国船も通航する権利があります。一方、外国船が勝手に漁業をしたり、密輸を企んでいる場合は、沿岸国の法律に基づいて船長らを逮捕する権利があります。

海保や水産庁がEEZ内を日々パトロール

 「接続水域」でも、密輸などの疑いがある船を見つけた場合は、予防的に取り締まることができます。とはいえ、接続水域は領海よりも公海と同じ扱いで、どこの船でも自由に航行できます。一方で、沿岸国は不審な外国船に対し、領海に近づかないように警告したり、監視したりできます。

 領海や接続水域を含む広大な「EEZ」でも、自由な航行ができます。沿岸国の権限としては、漁業資源や鉱物資源などに関して、自国の法律を適用できます。日本では、許可のない外国船の違法操業が行われていないか、海上保安庁や水産庁が、船や飛行機によるパトロールを日々行っています。

 信号に例えれば、不審な侵入が、領海に及んだ場合は逮捕特権を持つ「赤」で、接続水域の場合は予防的に取り締まれる「黄」、EEZの場合は密漁などルールを守らないケースを除いて自由な航行ができる「青」と、大まかにイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。

日本の領海等概念図
領海と接続水域を含む日本のEEZは約447万キロ平方メートルで、世界で8番目に広い面積です(※延長大陸棚とは、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条第2号が規定する海域)出典:海上保安庁ホームページ

密漁、レーダー設置、弾道ミサイル…中国と北朝鮮に侵害されるEEZ

 2014年には、小笠原諸島と伊豆諸島周辺のEEZで、中国の漁船が赤サンゴの密漁に大挙して訪れたため、国会で漁業主権法や、外国人漁業の規制に関する法律の改正案が成立し、密漁行為を厳罰化しました。

 また、中国は東シナ海のガス田開発をめぐり、一方的に建設した16基の構造物の1基にレーダー設備を設置していることが確認され、日本政府は抗議しています。16基の構造物は、日中中間線(日本がEEZの境界線を定める基準と主張する線)付近に設置されていますが、中国は自国の海域であると主張しています。

 北朝鮮の弾道ミサイルは今回初めてEEZ内に落下し、もし日本の漁船や航空機が周辺を運航していた場合、人命に係わる被害を受けていた可能性もあり、公海上に落下していたこれまでのミサイル発射に比べ、切迫した脅威といえます。安倍首相は「我が国の安全保障に対する重大な脅威で、許しがたい暴挙だ」と強い口調で抗議しています。

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