静岡の女性議員ネットワーク「なないろの風キャラバン『HOW TO女性議員』女性議員のトリセツ講座」を開催中!
政治山 / 2016年10月11日 17時30分
政府は「女性活躍の推進」をかかげていますが、政治の世界では女性議員(国会議員)の割合は11.60%で世界147位、平均の20.52%を大きく下回り先進国では最下位となっています。政治の世界では、何が女性の活躍を妨げているのでしょうか。静岡県内で女性の政治参画を目指して議員ネットワーク「なないろの風」を設立した、浜松市議会議員の鈴木恵氏にご寄稿いただきました。
女性議員を増やす会「なないろの風」を設立
女性議員を増やす会「なないろの風」は、静岡県内の女性の政治参画をより強く推進するために、政治活動に携わる女性の同士が意見交換、情報交換をする場をもうけ、ゆるやかな連帯を築き、一緒に考え、行動していこうと2014年7月に設立しました。市民とともに女性の政治参画を進めるために、考え、行動していくことを目的としています。
静岡県議会の女性議員の割合は4.3%
真の地方分権、実行力のある地方自治を推進するためには、多様な視点の参画と市民生活に根ざし、生活者とともに行動する政治を実践する市民派議員が必要です。なかでも、生活者の目線から行政をチェックし、政策を提示できる女性議員の存在が欠かせないと考えます。しかしながら、静岡県内の議会における女性議員の割合は、県議会4.3%、市議会13.0%、町議会10.7%(2016年4月現在)でどちらも全国平均より下回っています。国は、2020年までに、政治の世界や企業などで指導的地位に女性が占める割合を30%にしようと目標を立てていますが、静岡県においてはまだまだほど遠い数字です。
市民派、なかでも女性議員を増やしたいと思い、行動する県民をいかに増やし、女性議員を増やすか、また、議員とともに活動する市民の力をどのように結集させるかが静岡県の地域自治における大きな課題であると私たちは考えています。「女性議員を増やす」というところから静岡県における自治を考え、真の地方分権、実行力のある地方自治を目指していきたいと考え、「なないろの風」を設立させました。
現在、無所属市民派の現職10人と元職2人からなる12人で構成されていて、ゆるやかな集まりとなっています。以下がメンバーです。秋山博子(焼津市議会議員)、芦川和美(磐田市議会議員)、大塚邦子(吉田町議会議員、議長)、小沢映子(富士市議会議員)、川崎和子(磐田市議会議員)、窪野愛子(掛川市議会議員)、倉部光世(菊川市議会議員)、近藤千鶴(元芝川町議員)、鈴木恵(浜松市議会議員)、戸塚久美子(元静岡県議会議員)、野村諒子(三島市議会議員)、山下富美子(沼津市議会議員)。代表は1年ごとの持ち回りで、現在は富士市議会議員の小沢映子です。
「なないろの風」のメンバー
市民派女性議員は、地域の支援を得ることがほとんどないために、立候補することが大変だけでなく、議員になった後も大変です。ロールモデルは身近におらず、日々どう対応したらいいかの相談先にも苦労します。
そこで、なないろの風では、それぞれの議会活動でぶつかる課題について、インターネットを活用し、日常的に情報交換、意見交換をしています。また、丸1日かけてそれぞれ取り組んできたテーマや地域の課題について報告しあう合宿をしたり、お互いの自治体で特徴的な施策や施設などを視察したり、フィンランドの社会政策や地方自治などについての勉強会を開いています。
若者と女性で「地方政治」を語ろう!開催!
地方政治は生活、環境、子育てなど日常的なものを扱いますが、議論をする場である地方議会には中高年の男性が多く、若者や女性たちが代表されていません。そこで、2015年1月に、若者となないろの風メンバーとの「地方政治」について公開にて語りあう場を実現させました。若者には、「静岡わかもの党」(*1)から3人に参加していただき、「今の地方政治にどう思っている?」「若者は地方政治、議員に何を求めている?」「若者の心を動かす訴え方、教えて」などを語りあいました。
若者たちから「地方政治が身近に感じる機会が少ない」「ツィッターやフェイスブックを選挙前だけ一生懸命やっているように感じる」などの厳しい意見をいただきました。メンバーからは「議会でどんな議論があったのか、何が決まったのかが市民に伝わっていない。情報発信の方法を工夫する必要がある」「政治の力で行政を変えるため、若者側からもアプローチしてほしい」と呼びかけました。
イベントの様子
(*1)「静岡わかもの党」は、若者の声をもっと社会に届けたい!」「政治や選挙に、もっと興味を持ってほしい!」という思いで活動を2013年5月に設立。正式な政党ではなく、任意団体。若者の政治意欲を促進するような活動を展開中。
なないろの風キャラバン2016『HOW TO女性議員』ぜったい知っておきたい女性議員のトリセツ講座を開催中!
2017年春にはミニ統一地方選挙が予定されています。改選組のメンバーの当選だけでなく、女性議員ゼロや少数議会をなくしていきたいと、県内キャラバンを企画しました。10月から1月にかけてなないろの風メンバーが県内5カ所に出向き、それぞれの活動状況を知らせ、市民、特に女性の地域に密着した政治、選挙への関心を促し、対話の場を設け、これからの地域課題の解決方法や市民参加などにむけた女性議員の生かし方についてともに考えてもらうようにしています。一方通行にせず、参加者の声を聞き、問いかけ、ともに考える場を心がけています。
先日、菊川市で1回目のキャラバンが終了しました。子育て中の女性を含めて20人近く集まりました。メンバーの女性議員6人から立候補したきっかけや選挙の体験談などを話しました。「議会で男女共同参画社会の推進を促した」「中止していた子育て教室に注目し、再検討を求めた」などの議会活動を報告しました。参加者からは、PTA役員についての意見や問題提起、子育て支援についての事例報告など、楽しく活発な意見交換ができました。
キャラバンを通じて、静岡県内に女性議員への信頼を高め、女性候補への投票を促したい、女性議員空白地域を減らせるよう、立候補しよう、したいと思う気持ちを持ってもらい後押ししたい、身近な課題への関心を高め、市民、女性に地方政治や議会への声の届け方、手法を伝えたいと考えています。
浜松市でも女性議員のネットワークが生まれた
浜松市議会は2015年の統一地方選挙で、それまで46人中3人だった女性議員が一挙に9人と3倍に増えました。そこで女性議員の視点を市政にさらに生かしたいと、女性議員全員が会派を超えて「浜松女性議員の会」を発足させました。年齢は20代から60代と幅広く、女性のライフスタイルを網羅するようなメンバー構成となっています。これまで、メンバー同士、市長や女性管理職との懇談、議会事務局を呼んでの勉強会などを重ねてきました。
先日は、全員で本庁舎のトイレや乳幼児対応スペースについてチェックをしました。そして、「多目的トイレにある開閉ボタンの使用方法の表示がない」「授乳室が狭い」「子供連れの来庁者が多いのに待合スペースがない」などの現状の課題を改善するよう、副市長に直接提言をしました。副市長から「すぐに対応できることは対応する」との声をいただきました。
静岡県内、浜松市内の女性議員のネットワークの動きが、市民に政治を身近なものとして捉えてもらうきっかけや女性や若者の政治参加につながる動機になることを大いに期待しています。
女性議員を増やす会「なないろの風」FBページ
https://www.facebook.com/nanaironokaze/
<浜松市議会議員 鈴木恵>
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