議員のなり手を育てる「議員養成塾・真選組(しんせんぐみ)」で人材発掘―飯島雅則 佐久市議
政治山 / 2016年12月7日 11時50分
塾参加者3人が立候補を決意
2016年11月28日、「第15回 真選組」において、塾参加者3人から来年4月に行われる佐久市議会議員選挙に立候補する宣言が行われました。3人がほとばしるように語る決意を聞きながら、思わず目頭が熱くなりました。
議員のなり手がいないというのは全国的な傾向ですが、当市でも同様でした。前回の選挙では、定数割れになるのではというほど低調な出足でしたが、やっと一人オーバーでの選挙となりました。「なんとかしなきゃ」という思いで、1年生議員とその仲間たちが立ち上げた素人議員養成塾から3人も・・・。40歳代が1人。50歳代前半が2人。
「真選組」の参加者
「自分のために議員になりたい人はお断り」
思い返せば、第1回目を開催したのは2年半前の2014年4月17日でした。真剣に選挙を考える会として、「真選組」と名付けました。過去、小池百合子都知事主宰の「希望の塾」のように、著名な首長や政党による政治家養成塾はいくつもありましたが、主宰者の考えに共感しないと、参加することができませんでした。
また、参加費用も高額でした。そこで、立ち上げにあたっては政党やイデオロギーを排し、「自分のために議員になりたい人はお断り」という一点のみを参加条件としました。そして、「議員になろう!」との呼びかけに長野県内各地から39人が参加してくれました。
その後、2カ月に一度のペースで平日夜に開催し、予算書の読み方を勉強したり、「投票用紙に自分の名前を書いて貰うためにはどうすれば良いか」などテーマを決め、ワークショップ形式での話し合いなどを重ねてきました。
専門家の講義も刺激に、幅広く学ぶ
その中では、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟研修会とタイアップし、塾を開いたこともあります。北川正恭(早稲田大学政治経済学術院教授:当時)先生の特別講演や、参加者によるダイアログを行い、県内を中心とした地方議員や市民を中心に、約60人が参加しました。
取材に来てくださった政治ジャーナリストの相川俊英氏に急きょ講師をお願いした事もあります。いきなりのお願いでしたが、快諾いただき、各地の議員不祥事や、どうすれば、議会を変えられる議員になれるかなど、熱意を込めて話してくださいました。いずれも、参加者は大きな刺激をいただけたと思います。
机上の空論ではなく実際の選挙を知る
さて、一般市民が地方議員になろうかな、立候補しようかな、と考えた時、不安に思う事がたくさんあります。具体的には
・選挙、何から始めたら良いんだろう?
・選挙には、いくらかかるんだろう?
・当選しても議員報酬だけで暮らせるだろうか?
・議員になって、どんな仕事をするんだろう?
などなど。議員秘書とか、後援会幹部以外の人はほとんどわからないというのが実情です。これでは怖くて尻込みするのは当たり前です。
市職員であった私が中途退職して立候補を決意したのは、義憤からでした。それまで、議員になろうと考えた事は一度もありませんでした。地盤、看板、カバン無し。突然の事だったので、地域で後援会組織を作る事さえできず、後援会長は職員時代の上司にお願いし、選対事務局長始め、スタッフはフェイスブックで半年前に知り合った他地域の方々でした。
全員が今まで選挙運動など一度も関わった事の無い“ど素人”。一からの手作り選挙だったので、看板はどうする?選挙カーの手配は?ウグイス嬢は?と一つ一つ試行錯誤しながらでした。だからこそ「あの時これをやっておけばよかった」「こんな闘い方もあった」そう反省していることもあります。
塾ではこれらの経験をありのままに話しました。実際にかかった費用も、マイクに付けたガーゼ代から、看板1枚いくらで作ったかまで全てを公表しました。「机上の空論ではなく、実際の選挙活動を元にした勉強だったので、わかりやすく納得できた。不安が安らいだ。」という感想も聞けました。
なり手不足の解消は、今いる議員次第
じつは既に他地域の市議会議員が塾参加者から誕生しています。今回の3人もそうですが、もともと立候補したいという思いを多かれ少なかれ持っていました。塾に参加しなくても立候補したかもしれません。しかし
「真選組に参加して良かった。背中を押して貰えた。参加しなかったら、途中で諦めてしまったかもしれない。」 一様におっしゃって下さいます。
今回、挑戦する3人が来年の春、花を咲かせられるよう、参加者全員でバックアップしていきます。そして、次の選挙にまた次の新しい芽を育てたいと考えています。
こういった取り組みを日本中で行えば、「議員のなり手がいない」という状況は間違いなく打破できると思います。皆さんも「議員養成塾」始めてみませんか?
<佐久市議会議員 飯島雅則>
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