多摩川河川敷の咬傷事故と動物虐待はなぜ止められないのか―塩村あやか都議
政治山 / 2016年12月13日 17時30分
2020年の東京オリンピック・パラリンピックや築地市場の豊洲移転など、都議会はかつてないほどの注目を集めていますが、都民の日々の暮らしは続き、地域の課題も山積しています。今回は、多摩川河川敷の犬の問題について、塩村あやか都議の取り組みをご紹介します。
問題を大きくした東京都福祉保健局
都議会の一般質問で取り上げました。多摩川河川敷にホームレスがログハウスを作り、その中に多くの純血種とそれらの子から生まれたmix犬が20匹近く押し込められており、時々外出をしては(狂犬病予防法違反状態で)多くの咬傷事故を引き起こしていた件です。
都が改善を約束したのが、大きな大きな成果です。これまで都は一貫して問題を認めませんでしたので、連日午前様になるまで証拠収集や法律調査をした甲斐がありました。
苦情を受け、現場に足を運んだ時の犬の状態
これまでの都の主張は、
(1)ホームレスであれ、所有権が発生をしているので保護できない。
(2)河川敷の不法占有状態でも、河川法が邪魔をして何もできない。
(3)狂犬病予防法違反? 狂犬病予防法の事務は調布市の責任です。
(4)狂犬病予防法違反で抑留? 厚生労働省の昭和21年の通知で立ち入れません。
と、この状態でした。
放置している間に被害は拡大
私は反論を重ねて、ようやく都の「市がやるべき、国がやるべき、都は何もできない」という欺瞞を多くの住民や愛護団体さん、弁護士と崩すことができました。
(1)所有権が発生しているので、保護できない。
そうでしょうね。しかし、使える法律はたくさんあります。
(2)河川法で何もできない。
河川法が邪魔をして、ログハウスを取り壊したり中に入って保護できないとのことですが、「狂犬病予防法違反」であれば、多くの事故が発生をしているので、その場にすぐに行けば狂犬病予防法の追跡で捕獲が可能です。それをしていないことが、大問題なのです。
都は平成27年から26回現地に行ったと答弁をしましたが、つまり、2年で26回であれば、月に1回です。それでは確かに都のいうとおり「現場で捕獲できない」ペースだったということでしょう(呆れ)…。
(3)市の責任?
狂犬病予防法は市の責任か?登録事務は確かに市の責任ですが、市が主張するとおり「ホームレスの方の犬を登録はできません」。ですので、違反状態で咬傷事故を頻発させた場合には、都の狂犬病予防員が捕獲をしなくてはいけません。
(4)犬の抑留は「厚労省の昭和21年の通知で立ち入れない」との強弁。
咬傷事故が多発しているので、住民などから訴えがあれば都は対策をとることが必要でした。これまでの長い期間があれば、狂犬病予防法第6条を使い、抑留という名目で保護ができたはずです。
しかし「行った時には小屋の中にいて捕獲できなかった」と私に言っていましたが、現地の方々の声を聞くと「犬が出ているときには『中に入れ』と指導をしていました」とのこと(都の説明と食い違いますね)。
こうしたことを繰り返しているうちに、被害者は増えて(団体さんが6月に訴えてきたのは8名、その後の事故での被害届出は3名)しまったのです。
引き出した答弁、一刻も早い行動を
都が「ログハウスに立ち入って保護できない理由は、『厚労省が昭和21年の通知で入ってはいけないと通知を出している』からです」と言ってきました。その後、私や政務スタッフが直接厚労省に問い合わせたときの返答は「住居への立ち入りは最低限にすべきという通知であり、住居への立ち入りはそうであるが、その他への立ち入りは土地所有者への許可を得ることを求めています」とのことでした。
つまり、「土地所有者とは国交省である」ということであり、「都が12月5日までに国交省に『咬傷事故を何度も起こした犬たちが河川敷にいるので、国交省所有のため立ち入り権限を与えてほしい』と許可を得るために問い合わせたのか」ということになります。
ちなみに、厚労省いわく「土地所有者へ許可を求める運用通知は昭和29年に出ています」とのこと。
とどのつまり!!
「昭和21年と29年の通知が生きているから立ち入れません」と強弁をした都の職員(狂犬病予防員でもあった)は、最初の21年の通知のみを私に示し、29年の通知内容を隠していたということなります。その結果、事故を起こし、犬は劣悪状態の中で虐待をされるということが続いています。
都は今回の個別の事例を私が質問通告を行うまでは国にしていなかったこと、また、通知の内容を隠し、恣意的に運用をしていました。強い憤りを隠しえません。都は国土交省に対して、「立ち入り許可」を得て、早急に犬たちを抑留という名目で保護をすることができるはずです。強く要望をします。
本会議では
(1)東京都が問題を認識し、改善をする約束する答弁!
都が「問題解決に至っていない」と(ようやく)認識したと答弁をしました。
(2)解決に向けて、人員を増やし対応をすると答弁。
この答弁を引き出すまでに、嘘を暴くための証拠を集め、多くの現地の方やボランティアさん、弁護士にも協力をいただきました。
解決まであと少しです。与党も動き出したと聞いています。みんなで行政を動かしていきましょう。
※この記事は、塩村あやか都議のブログ記事(2016年12月12日)を編集部にて再構成したものです。ご快諾いただいた塩村都議に感謝いたします。
<東京都議会議員 塩村あやか>
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