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WOMAN SHIFT~「普通」の女性も議員になれる社会に

政治山 / 2017年1月12日 11時50分

 20~30代の女性の地方議員がどれくらいいるかご存知ですか?

 国際的な競争力をつけるためにも、一億総活躍をすすめるためにも政治の世界-仕組みをつくる場所-での多様性も重要です。

 多様性の第一歩としてわかりやすいのは、まずは性別です。2016年は女性参政権が得られてから70周年の節目の年でした。1945年12月15日に初めて、女性に選挙権と被選挙権を認める衆議院議員選挙法改正法が成立しました。それから70年。女性活躍推進が叫ばれてしばらくですが、政治の世界ではどうでしょうか? 国会の女性議員は衆議院議員で475名中45名で比率が9.5%と先進国最低です。さらに、世界各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数では、日本の順位は調査対象144カ国のうち111位でした。

 地方議員はどうでしょうか?

地方議会における女性議員の割合の推移
内閣府男女共同参画HPより

 女性議員の比率は、特別区議会で27%。全国の平均が12.4%。都道府県議会・町村議会は10%未満となっています。少しずつ増えてはきているものの、人口の半分が女性であることを考えると少ないと言わざるを得ません。

 それでは、世代の多様性はどうでしょうか?

統一地方選挙当選人の年代別割合

 40歳以下は足しても10%に満たないのに対して、50代だけで40%程度まで達しています。50代以上で70%にもなります。

 それでは、この少ない 女性 × 若手議員は・・・?

40歳未満の女性有権者と地方議員の割合

 全人口に対する20~30代の女性の割合が13%に対して、40歳未満の女性議員はたった1%未満しか存在しない現状です。被選挙権が25歳からであることを念頭においてもそれでも少ない割合です。

女性議員が少ないのはなぜ?

 2つ要因が考えられます。まず一つは、女性が政治家にそもそもなろうと思わないこと。なぜなのか?

 1.議員を知らない
 2.かっこいいと思わない
 3.やりがいがわからない
 4.何をやっているかわからない
 5.セカンドキャリアがない
 6.ハードルが高い

 など様々な理由が考えられますが、ハードルが高くてもたくさんの人がなりたいと思う職業があります。それはアイドルです。成功するのは一握り、相当難易度が高いし、華やかに見えても本当に大変だと思われるのですが、希望する人は後を絶ちません。

 そして、もう一つが政治家になっても辞めてしまうことです。20~30代の女性議員の中で2期目の選挙に出なかった人が3割以上います(WOMAN SHIFT調べ。都内)選挙に出て落選したのではなく、自ら選挙に出ないという選択をしました。

 理由は様々であると思いますが、考えられるのは

 1.独特のルール
 2.男性社会
 3.ロールモデルがいない
 4.広い意味での「政治経験」が少ない
 5.清濁併せのむのが苦手

 こういったことがハードルになっているのではないかということ。

 都議会でセクハラやじが話題になったことがありますが、あれを見て、なんて古いんだろうか?と思われた方も多かったのでないでしょうか?たばこ部屋や飲みの席で物事が決まったり、暗黙のルールがあったりと、そのルールを教わる機会が少ない女性にとっては政策を実現するために不利な状況である可能性があります。

「WOMAN SHIFT」の立ち上げ

 そこで、立ち上げたのが、「女性が動かす」という意味の「WOMAN SHIFT」です。ミッションは「政策実現ができる女性議員を増やし、地方議員を女性のキャリアの選択肢の一つにすること」。

 社会を変える・よくする仕事として、NPOや社会起業家は一般的になってきましたが、地方議員・政治家となると「考えたこともなかった」という女性も多く存在します。一方で若者の社会貢献の意識は高いといえます。厚生労働省の「若者の意識に関する調査」によると何らかの形で社会貢献をしたいと考えている15~39歳の若者は70%を超えます。社会をよくする仕事の一つである地方議員(職業とするべきか?という議論もありますが)についても、選択肢の一つとして考えてもいいのではないでしょうか?

 そうはいっても、今より数を減らすわけにはいきません。せっかく選挙というハードルを超えて議員となった女性が、本人が望む以外の理由で議員を辞めるのだとすれば、そこはサポートをしていきたいと考えます。

 現在WOMAN SHIFTが月に1回の勉強会を通じて取り組んでいるのは、次の2つです。

(1)理解される方法を学ぶこと
 場面ごと(会派を決める、一般質問をする、視察、地域活動等)に政策を実現するために心がけていることをワークショップで若手女性議員同士で共有します。暗黙のルール(※)を学ぶ場やツールづくりに取り組みます。
※この暗黙のルールをオールドボーイズネットワークという。長く男性社会だった組織や企業で共有されてきた独特の文化や雰囲気のこと

(2)協働者をつくる・つくる手法を学ぶこと

 ここでは、政策や悩みの共有・相談等、そして協働者のつくり方を知るために、ワークショップで各自治体の政策を共有すると共に意見交換をしています。また、(1)のスキルやコツも同時にワークショップでシェアする場を設定することで、仲間意識を育てています。

政策実現のサポート

「普通」の女性も議員になれる社会に

 いままでも、様々な女性の方々が道を切り開いてくれました。だからこそ、女性議員の数も徐々に増えてきましたし、諸外国に比べて遅いとはいえ、着実に進んできています。おそらく辛い思いもして、歯を食いしばって耐えてきたこともあると思います。強くならざるを得ない場面も多くあったと思います。心から敬意を表します。

 その上で、私たちが今取り組みたいのは「普通」の女性でも政策実現ができるようになること。それらの取り組みが評価され、2016年のマニフェスト大賞で箭内道彦さん審査員特別賞をいただくことができました。

WOMAN SHIFT マニフェスト大賞受賞
WOMAN SHIFT マニフェスト大賞受賞(左から、たぞえ麻友目黒区議、中村延子中野区議、本目さよ台東区議、北川正恭 早稲田大学名誉教授マニフェスト大賞審査委員長、鈴木綾子江東区議、上田ゆきこ文京区議、田畑直子千葉市議、林美希吉川市議)

女性議員はどうやったら増えるのか?

 政治山の「第40回政治山調査」によると、「「国会や地方議会で女性議員が増えるには、どのような施策がもっとも有効だと思いますか?」とたずねたところ、もっとも多かった回答は「無理に増やす必要はない」27.9%でした。女性議員を増やす施策としてもっとも重視されたのは「女性議員が働きやすい環境(制度や設備)を整備する」19.9%で、「女性に一定の議席数を割り当てる(クオータ制の導入)」11.7%と「議席数を男女同数に割り当てる(パリテ方式の導入)」7.0%の合計値を上回りました。形式的に数を増やすよりも、まずは働きやすい環境づくりを優先し、自ずと増えていくことが望ましいと考えている人が少なくないようです。」とあります。

 しかし、残念ながら実際に女性議員が増えない限り、女性議員が働きやすい環境は整いません。例えば、企業では一般的な旧姓使用。議会ではどうでしょうか?議会によって状況は異なりますが、ある自治体議会では、結婚し旧姓を使用するためには議会運営委員会という公式の会議で承認の必要がありました。さらに、その結果は全議員と全理事者(課長職以上の職員)に知らされます。プライベートなことが本人の意志に反して公開されてしまう状況です。

 公職だから仕方がないという方もいるかもしれませんが、近隣自治体では議長に申請をすれば旧姓の仕様が可能というところもあります。また、議会によっては議員同士の懇親会が泊まりで開催されるのが通例となっているところもあります。女性議員がいればそういった習慣がなくなるというわけではないですが、多様な立場やバックグラウンドの議員がいれば、今までのルールが変更されやすくなることは確かです。

 また、出産を経験したことがある議員がいない議会では、細かいところで運用のルールが使いやすいものにはなっていないはずです。

 そもそも、多様な議員がいなければ、今までの通例を変えようというエネルギーが発生しないのです。

WOMAN SHIFTがこれから取り組むこと

 「WOMAN SHIFT」のミッションは「政策実現ができる女性議員を増やし、地方議員を女性のキャリアの選択肢の一つにすること」。

 いままでは、今いる女性議員のサポートをすることで、女性議員を減らさない活動に取り組んできました。今後は、さらに、より積極的に女性議員を増やす活動にも取り組んでいきたいと思います。大学や高校で、超党派複数の女性議員による講演・ワークショップや、webでの発信等、さまざまなことに取り組んでいきます。まずは、「議員というキャリアがあるんだな~」と知ってもらうところから。講演やワークショップのご依頼もお待ちしています!

 女性議員が増えることは、多様な議員がいることへの第一歩であり、多様な議員が、市民の代弁者として議会にいることが、すべての人にとって暮らしやすい社会になると信じています。

<台東区議会議員 本目さよ>

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