都ファ離党から2カ月―「政局だけ、理論だけはダメ!今こそ、ホンモノの地域政党を!」
政治山 / 2017年12月8日 11時50分
平成29年11月12日 ローカルガバナンス学会主催・地域政党サミット共催
「「地域創生」時代のガバナンス~地域民主主義と地域政党~ in山梨」開催にあたって
■予定調和議会の打破を
「大儀なき解散」と批判を受けた先の衆議院議員選挙の結果は、悲惨なものでした。悲惨なのは、大量落選した希望の党の候補者らのことではなく、旧態依然とした、与野党を超えた永田町の「コップの中の争い」による国政の機能不全によって、生活課題が先送りされて割を食う、私たち国民・地域住民です。
私は、自身が職場でマタハラを経験し、息子が待機児童になったことから、07年女性初無所属で江戸川区議会議員となり、今日に至ります。当選して見た議会は、自公という所謂「首長与党」、改革“風味”の民主党、反対のための反対の共産党が支援母体(既得権益団体・宗教団体・労働組合)の代理ロボットとして、予定調和の「役割」を演じている、「住民不在」の三文オペラそのもの。積み上げた事実、根拠を示して斬り込み、議会を震撼させ、役所を動かす「ニュータイプ」議員の私は「異質」「異端」「異分子」と受け止められました。しかし、同様の改革派議員は必ずいるだろう!と確信、10年来の勉強会を実施しつながった議員の輪が地域政党「自由を守る会」の土台となっています。
■「地域政党サミット」誕生の背景
今般、全国津々浦々から100余名もの地方議員らの参加があり、同じ問題意識を持つ議員がいると意を強くしています。
私たちが設立した地域政党「自由を守る会」は、地域課題と住民が置き去りにされる政局を憂い、前回衆院解散直前の14年11月21日に発足。さらに、その翌年の統一地法選挙にむけ、神戸志民党かしのたかひと代表、京都党村山祥栄代表とともに15年3月24日に北川正恭元三重県知事に顧問を快諾いただき、地域政党サミット(地域政党連絡協議会)を設立。
すでに、地域政党として先行したおおさか維新の会が、一世を風靡していましたが、我々の中では国政政党・既成政党と一線を画し、地域創生に軸足をもつ地域政党を創っていきたいという強い思いがあったのです。
山梨サミット パネルディスカッション
■地域政党が小池知事誕生の原動力に。そして…
順調に活動を重ねてきた16年の夏。東京都政では、舛添知事が辞任、突如として自民党の小池百合子衆議院議員が名乗りをあげ、旧知の私へ支援の要請が入りました。自公は増田寛也・元岩手県知事を、民主党と維新の党が合流したばかりの民進党は左派系ジャーナリストの鳥越俊太郎氏を擁立。小池氏には、まったく支援団体も組織も得られない中、自由を守る会メンバーと、ネクスト草加メンバーを中心に、8自治体のポスターを引き受け、議員の命といえる公選はがきに7万枚も協力をしたのでした。
にも関わらず、知事選後当時の都民ファーストの会代表(野田数東京都知事特別秘書=特別職公務員が兼任)から、再三再四にわたり恫喝に近い強要を受け、「自由を守る会」は、本年4月3日に解党手続きを強いられたのでした。
それと並行し「希望の塾」が開講され、一気に“地域政党”都民ファーストの会誕生の流れとなってまいります。私は、現職女性都議会議員で唯一小池知事を応援した者ですから、都民や有権者からはその組織の中枢を担うと期待されたものです。ところが、真っ先に「排除」され、気がつけば、労働組合と政策協定を結び、増田氏や鳥越氏を応援した、自民・民進の現職、元職議員があれよあれよと公認を得ていきました。
結局、これって都議会の議事堂の民進党から都民ファーストの会への席替えではないの?
これが「地域政党」なの?
と、疑念が芽生えました。再選後も、共に「ファーストペンギン」と呼ばれた、音喜多駿都議も含め一切の党・会派の役職に就くこともありませんでした。さらに、許し得ない事態・状況が発生します。なんと、昨日まで行政部門の顧問を務めていた元環境官僚小島敏郎氏が突如都民ファースト会派政調会事務総長に就任。山内晃政調会長(自民出身)が「与党はすべきではない」と委員会での資料要求と、各定例会ごとの文書質問を禁止したのです。これでは到底「古い議会を新しく」なんてできない。「三文オペラ」が続くだけだ、と離党を決意。民放3局同時に全国に生中継された10月5日の離党記者会見となった次第です。
■首長主導型地域政党の限界
地域政党「自由を守る会」は、この記者会見の翌日再結成を果たし、11月12日葛飾区議選では、当会候補2名全員無事当選。都民ファーストの会は5名擁立、4人落選の惨敗という結果となりました。地域住民・有権者は「地域政党」の真贋を静かに見定めている証左となりました。
そして、投票日当日、葛飾区から一路山梨へ。地域政党研究の草分けであられる江藤俊昭山梨大学教授、ローカルガバナンス学会、チームやまなしの皆様と連携したこの企画は、理論を裏付けとした新たな地域政治の実践・実績を真の地域政党が実現する第一歩となる学術的「夢の競演」でありました。
北川正恭地域政党サミット顧問の基調講演では地域政党にあっては「理論なき実践は暴挙。実践なき理論は空虚」という名言が飛び出し、膝を打ちました。「地域政党とは!?」と観念論で議論ばかりしていても、落選してしまっては意味がありません。とはいえ、地方自治、地方議会も理解せず、ましてや国政政局と連動したムーブメントのツールとして地域政党を「悪用」しては、地域政党だったはずのおおさか維新の会や都民ファーストの会が急な解散の中、地域不在で国政政党と拙速な連動をして有権者の厳しい審判(維新52候補擁立41人落選、希望235候補擁立185人落選)が下ったようなこととなりかねません。
山梨サミットで発言する上田令子都議
■地域民主主義を実現する地域政党
江藤教授は、「首長会派の融合」か「反首長の批判」だけの機関競争にあたり、二元代表制のなかで会派、地域政党はどう動いていくべきかの課題を投げかけました。
おおさか維新も都民ファーストも、国と対峙するための首長主導型の“地域政党”であったことは議論を待ちません。それは、95年地方分権推進法制定以来の過渡期に登場した新しい地域政治の形であることは、私も大きく評価するものであります。しかしながら、いつしか手段が目的化し、その結果が先の衆院選であり、葛飾区議選であったのではないでしょうか?
行政の地方分権が進む中、少子高齢化や過疎の問題など複雑化する地域課題にあって、今こそ地方議会において、中央政治からの分権が求められているのです。
私は、真の地域政党とは、中央政治を補完する「なんちゃって地域政党」ではなく、それがための首長を送り出すなんの志もないイエスマン議員を擁する組織でもなく、地域民主主義を実現するため個々の議員が自由に議会活動をし、それを支え、選挙でも確実に当選するサポートをしていく存在であるべきと考えるものです。
融合か批判かの機関競争から地域住民最優先、地域創生のための善政競争をめざす、新たな地域政治を創造し育むのが地域政党と、地域政党サミットなのです。今般参加いただいた複数の地域政党からサミット参加希望を受けております。19年に迫る統一地方選挙にむけて、各地の地域政党と、地域政党サミットに大きなご期待をお寄せください。
<地域政党「自由を守る会」代表 上田令子>
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