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乳児を連れて議場に、子育て世代の地方議員のホンネとは―WOMAN SHIFT座談会・前編

政治山 / 2018年1月24日 13時0分

 「政策実現ができる女性議員を増やすため」の活動をしている若手女性議員のネットワークWOMAN SHIFTでは、熊本市議会で乳児を議場に連れて入るというニュースをきっかけに、座談会を開催しました。目的は熊本市の事例の是非を考えることではなく、どうしたら私たち子育て世代が議会で働きやすくなるのか?子育てと議員という職務の両立がしやすくなるのか、当事者・プレ当事者が集まって話しました。

※議員に産前産後休業はありませんが、議会の全国標準会議規則の欠席の事由に「出産」が盛り込まれ、多くの議会で「出産」を理由に議会を欠席することができるようになりました。ただし、日数などは決まっていない議会も多く、「出産」を欠席事由に盛り込むかどうかや報酬をどうするか?欠席の場合の日数なども議会ごとに決める、もしくは決められていない状態です。

一般的な労働基準法における産前産後休業は、産前6週間は本人が希望をすれば取得ができ、産後は6週間は絶対休ませる必要があり、産後6週から8週は医師の許可がでれば仕事をすることが可能です。育児休業はその後産前産後休業が終わってから子どもが1歳になるまで、保育園に入れないなどの理由があれば2歳まで延長することが可能です。

■【参加メンバー】自己紹介

●南雲ゆうこ(板橋区・無所属)
3月に出産して長男8カ月になりました。熊本の市議さんと同じくらいなので、モヤモヤしています。産休に関しては、公務員と同じに産前6週産後8週、まだ保育園に預けずに家族の協力でやっています。0か100じゃなくて(いい意味で)曖昧にやってきたのに、熊本のニュースでいきなり答えを突きつけられたような感じです。

●有里まほ(豊島区・自民党)
子どもは5歳と1歳5カ月。2人目について、産前は切迫早産で7月に産んだが、5月から出られない状況でも採決のタイミングでは出席しています。その後入院。産後は議会があったとしたら1カ月。育休はとっていません。

●鈴木ひろみ(新宿区・無所属)
子ども2人、長女3歳、次女1歳。議員任期中に産んでいます。産休はとりました。職員の規定を適用。2人目は切迫で2カ月入院しています。退院をした時は産休に入るタイミングということでそのまま産前休業にはいりました。産前が長かった。議会のオリパラの委員長をやっていたので、委員長をやりながら産休をとりました。

●中村延子(中野区・立憲民主党)
子どもはまだ産んでいません。これからの重要課題と思っており、建設的な議論ができればと思います。

●森たかゆき(中野区・立憲民主党)
子ども3歳。任期中に妻が産んでいます。生まれた時が委員会視察の最終日で、委員長に許可を得て帰宅して出産に立ち会いました。

10月生まれで、4月に保育園、小規模保育園に入った。産休は取っていませんが、育休は1日単位でとったりしています。0歳で選挙だったので、昼間に帰って2時間くらい面倒みて再度外に出るとかやっていた。「女性だけ」の問題になってしまうと解決しないと思ったので、今回参加をしました。

●子籠(こごもり)敏人(あきる野市・自民党)
子どもの年齢は9カ月の女の子です。育休とかはとくにとっていません。出産のときは立ち会う予定だったんですけど、予算委員会のときでしかも副委員長だったので、休憩のたびにみんなに「産まれたのか!?」と聞かれました。ちょうど委員会が終える直前に産まれて、委員会閉じるときに産まれましたって言ったら、みんな祝福してくれました。そこから病院に走っていって面会ギリギリに滑り込んで5分くらいだけ娘に会って帰りました。

今日参加した理由はいい機会だなと思って。議会としてどうしたらいいんだろう?と。熊本の事例は、議会のルール的にはやり方として駄目だけど、いいボールが投げられたと捉えています。僕は議会の中で一歩でも半歩でも形にしていくことにこだわっているんですけど、今日参加させてもらって、自分もできることからいろんな意見やアイディアを形にしていきたいと思います。ちなみに自分のこれまでの議会活動の中では、会議規則の改正で欠席の理由に「出産」をいれるというのを議会改革推進委員会の委員長のときにやらせてもらいました。そのあと、あきる野市議会では長期欠席した人には報酬を減額するという特例条例も作ってますが、出産は除外してあります。(新宿区も同様)3カ月で2割減、半年で3割っていうルールです。

参加メンバー
参加メンバー(後列左からWOMAN SHIFT代表 本目 台東区議、有里 豊島区議、森 中野区議、子籠 あきる野市議、前列左から南雲 板橋区議、鈴木 新宿区議、中村 中野区議)

社会的インパクトは大

――熊本市議会、率直にどう思いましたか?

【鈴木】 調べれば調べるほど、熊本の事例は、女性が子どもをみなきゃいけないとか保育園に入れてはならないとか本人が縛っている(母乳育児とか)。「母子分離という論点」と「議会人としてどうなのか」の2つがある。議会規則でOKになったら子どもを連れて行くのが当然と思われて連れていかない人への非難も出るのではないか。ただでさえ、保育園に預けて泣かれて辛い。議員の仕事は子ども連れてでもできると思われると保育園に入所できなくなるのではないかと懸念している。

【南雲】 議員活動をしている中で、子育てが中途半端になってしまっているのではと思っていたところに、この報道に関するコメントでいろいろと言われてしまった。

【森】 報道は見ないようにしていた。見たら傷つくから。自分が当事者で自分で白黒はっきりつけられない所にバッサリ言う人がいて。

――0か100かじゃなくてどこなんだろうというところで揺れてる感じですね。

【森】 熊本というか、子育てと仕事の両立。議会ってどうなのか、そして議会のルールが一般に知られていない。沖縄の対応(※沖縄県北谷町の議会。畳のある議員控え室を保育スペースとして開放することを了承し、宮里議員は子育て支援のファミリーサポート制度を利用)が素晴らしいと言われているのが、それは議会の進め方が知られていないからだなと思った。議員としてはそこが気になった。

――控室に子どもを連れて行くのがこんなに難易度が高いのか?と不安になりました。実際はどうですか?

【森】 なんとなく我々もやっています。

【鈴木】 正式には(やっていいか)聞いたことが無い。どの議員さんからも事務局からも文句を言われたことがない。熊本市議会の場合、子連れ視察がOK(シッターを同伴)ってすごい進んでるなと。

【有里】 国会との違いが気になりました。国会近くにある保育園(認証保育園なので議員に優先権はないが)に議員は預けられるし、秘書さんたちも預けられる。議員会館には個人の控え室があって、控え室に行けば秘書さんたちもいる。せっかく同じ報道をするんだから、国会は先に法案もできていて、地方議会はそれぞれの議会に任せているだけ。

【中村】 私はあの報道をお昼食べながら、なんじゃこりゃと見てて、第一印象はパフォーマンスだなと。こんなこと自分だったら絶対にしないし、この人大丈夫かなと。このニュースがびっくりするほど話題にはなって、社会的な影響は大きいなと思った。

――自分がもし本会議場に連れていく可能性があるとしたらどんな時か、どうするか。

【鈴木】 みんな小さい子のことを想定しているけど、私は実際に委員会室に連れて行ったことがある。委員会を傍聴しました。小学校くらいに時に病児や学級閉鎖の時はありうる。実際連れてくる人もいる。

【有里】 まず、自分が議場や委員会室に連れて行くことはない。夫は海外出張が多いので、日本を不在にしがち。両親もお店やっているから、必死に病児保育を探すとか、遠くても祖父母を頼るとか。でも、理事者との打ち合わせに一緒に連れて行くことはあります。

――正式な場と非公式な場は分けて考えるとどうですか?正式な場=本会議や委員会 非公式な場=役所の人との打ち合わせや会派の会議など。

【南雲】 やるなら会派の幹事長に聞いて、議長とか事務局に相談します。今度、控え室にファミリーサポートを呼んでみようと思っている(実際に後日実施したとのこと)。

【森】 私は想像しづらいですね。この後、待機児童になったとしても、本会議という期間なら友達に預けてなんとかなると思います。ありうるとすると、急な本会議が火あって、妻がいないか、両親も倒れてとか、それが重なるレアケースだなと。

座談会の様子

――皆さんの話を総合すると、本会議に連れて行くのはよっぽどのことということですね。結婚・妊娠・出産・子育てで悩んだことについて教えてください。

【森】 保育園に入れるか?ではなくて、いれるかどうか?自分の中では保育園には点数とかで入れるかどうかで決めようと思っていたのだけど、議員がいれるのはどうか?という雰囲気もうちの区ではある。

【南雲】 議会の中で子育て政策の話をしているときに、母子一緒じゃないと!とか母乳で育てないと!とか発言される方もいて結構傷つく。それを「今の発言ですけど、訂正してください!とか撤回してください!」とかいうこともあります。それはそれでそういう役割なのでいいんですけど、結構辛い・・・。

【有里】 もうひとり産んだらいいよて、言われます。私たちもいっぱい産んだから、いっぱいいたほうが楽しいって!大変だけど。大丈夫だから!産める!!って。女性議員の先輩方が言ってくれる。子育て頑張ってるわね!もう1人くらい若いんだから頑張りなさい!って。感じでエールはもらえます。

 妊娠8カ月のときに、本会議が深夜2時まで続いてたときに、時間が押し迫っていて、暫時休憩のまま夜中になってしまったことがありました。私はつわりが最後まであったので、部屋の匂いがだんだん後半になってくるとこもってくるじゃないですか?それも辛かったです。

 その後、切迫早産になっちゃって、切迫になっても入院措置にならなければ入院になる前の絶対安静のところは議会に出ないといけない。委員会と議会には出席してあとは家で自宅安静というのがまわりへの説明にすごく困って。この切迫早産の状態であれば、会社とかだったら法律があるから適用できるんだけど、議員は労働者じゃないから適用できないって言われました。議員に対しての取り決めもありません。委員会では数として採決が必要なときには出ないといけなくて。だからこそ、全部休みますとはできませんでした。

 特に議長を決めるときの議会だったので、とても重要な議会でした私自身も出席するべきと、思ってはいたけど、でもその状況で破水したら、今の状況だと危ないけれども救急車対応できないことがほとんどだよとお医者さんからも言われていて、早産で子どもに影響が出てしまったらどうしよう?ととても不安でした。ルールとして休めたらありがたかったです。

【鈴木】 私は産休中の活動の制限。これはいろんな議会の人たちから相談も受けることなんですけど、例えば議会は産休を取りますっていって、休んでいます。私の場合、産休中でも事務所機能は開けていて、秘書さんを自分で雇っていたので、休んではいますけど最大限区民のみなさんに迷惑がかからないようにしていると。ただ、出欠を伴うものについては、迷惑がかからないように、議会も出欠という意味では休みます、と線を引いちゃってました。

(特権ではない前例を…後編へ続く)
https://seijiyama.jp/article/news/nws20180124-2.html

<WOMAN SHIFT>

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