『高校生が見た地方議員の日常』座談会(後編)
政治山 / 2019年1月18日 10時0分
本企画は、NPO法人I-CAS様のご協力のもとインターンに参加した高校生と、その受け入れを行った各議会の最年少地方議員との座談会を通じて、その一端を明らかにしようという試みの後編です。若者の投票率低下が問題視されている今、「有権者」のボーダーラインにいる高校生の視点を知ることは、これからの政治を考える上で必要不可欠なのではないでしょうか。前編とはまた違った視点を、各インターンの活動を通して知ることができた後編の内容をお届けいたします。
- 本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは議員の皆さんが、どうして地方議員になったのかを教えてください。
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川崎市で市議会議員を務めています、重冨と申します。よろしくお願いします。僕は26歳の時に当選をして、11月で30歳になりました。最初のきっかけは、信用・信頼できる政治家っていないなと思い、大学3年生のときに議員になろうと思い立ちました。3年半お金を貯めるために塾に就職して仕事をし、それで議員になりました。
実は、大学では政治の勉強は全然しておらず、飛行機の勉強をしていました。なので、鳥人間コンテストにパイロットと設計として出たという経歴があります。
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豊島区で区議会議員しています、藤澤愛子と申します。89年4月生まれなので、私も26歳になってすぐ当選しました。私もあと少しで30歳になります。私は初めて投票に行った時そこまで政治に関心がない層で、適当に投票してしまったんです。
でもこのままじゃいけないなって思って。ただ今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしいので、自分でどうにかしようと思い、大学4年生のときにドットジェイピーというところでインターンをしました。それでそのまま就職したいと思って。内定先を蹴って、そこに秘書として就職しました。やっているうちにだんだん、自分も目指したいなあというふうに思ってきて立候補しました。
実は私まだ豊島区に住んで5年目です(笑)。経済的なこともあり、選挙の約1年前に引っ越しました。出身は豊島区ではないし、土地勘がない地域も中にはありましたが、活動しているうちに豊島区でやりたい気持ち、恩返ししたい気持ちが強く湧いてきたので立候補しました。
- 落下傘でもちゃんと、有権者が見てくれたってすごいですよね。ちなみに当然3カ月前にはちゃんと居住していましたよね?(笑)
- はい、もちろん居住用件は満たしていますし、豊島区が大好きですよ!
-
それじゃあ全く問題なしですね!何の話をしているかと言うと、地方議員選挙は、3カ月間そこに居住していないとだめなんです。住民票を移しても、居住実態がないと、だめになったりもします。若い人って移動するじゃないですか。外から引っ越してきて、すごくその地域のことが好きになったんだけど、選挙は2カ月後ですってなったら出られないわけです。ここは注意が必要ですね。
それでは、高校生の方にいきましょうか。じゃあ大友くんお願いします。
- 大友陸央と申します。埼玉の栄東高校に通っていますが、出身は栃木です。今選挙で選ばれて生徒会役員をやっています。議員の先生方がやられているような、挨拶まわりとかをして当選しました。みんなから「これ頼むよ!」「お願いします!」みたいな、陳情のようなお願いをされることもあって。大変な仕事だけどやりがいはあるなあと、そういう選ばれる者としての議員さんの仕事もだいぶわかってきたなという感じがします。
- 何票くらい取ったの?
- 何票くらい取ったかっていうのは言われてなかったんですけど、6人立候補して4人当選でした。ちなみに生徒の数は全員で1,200人です。
- 町村の議員ぐらい取ってるかもしれないね。ちなみに千代田区の区議は500票くらいで当選します。
- 「大友」って漢字も早く習うからいいよね、小学生でも書ける。
- さすが重冨さん、有権者の気持ち考えていますね。「りくお」はひらがなでいいもんね。では次に北出さん、よろしくお願いします。
- 北出優音です。神奈川県の、森村学園っていうところに通っています。実は、私は帰国子女で、小学2~6年まで、ハワイにいました。帰ってきて4年経つんですけど、なかなか日本語がうまく使えなくて、困っています。
- 十分うまいよ。なんの違和感もない。北出さんともう一人のインターン生も、帰国子女だったんだよ。もう一人はニューヨークだったかな。
- では、なぜ地方議員インターンに参加しようと思ったのか、動機について聞かせてもらってもいいですか?北出さんから。
- そもそも、議員がどういうことをしているのかニュースとかもそんなに見ないので、わからなくて。でも、2年後に選挙権が得られるのに、全然わからないいのは投票するときも困るなと思って、参加しました。
- 僕はもともと、政治に関心があって、国会とかはけっこう見ていたんですけど、逆に地方議員の方ってあまり報道されることがないし、実際どういうことをしているのかなと気になっていることもあったので、今回参加させていただきました。
- インターンを通じて気づいたことはありましたか?
- とても細かいところまで考えているなと。私自身があまり細かいことを考えるのが好きじゃないので、すごいなって思いました。例えば、バスの時刻表とかも、常に把握していて。あとは、実際現場に行って、どういう状態なのかを把握していたのがびっくりしました。
- なるほど、地方議員の視点が得られたかもしれないですね。大友くんは地方議員の実際の仕事を見て、仕事の内容はよくわかりましたか?
- すごくよくわかりました。インターン2日目が地元の方の陳情受け取りで、予算要望だったんですけど、いろいろな方の一つひとつの声に真摯に耳を傾けていらっしゃって、やっぱり地域にちゃんと根ざして、地域をより良くしているんだなあっていうのを今まで以上に強く感じました。
- 会派で聞いた予算要望だね。もうずっと朝から晩まで、がんばって聞いてくれて。班とかにも分かれずに全員で聞くので、十数団体。お昼の時間もほぼなくて、急いで食べてもらいました。
- インターンでどういうことやったか具体的に教えてください。
-
1年間を凝縮したかのような3日間を体験してもらう、ある意味作為的に作られたプログラムにしました。初日は委員会に挙げられた陳情の審査をする日で、その日はバス陳情だったのかな、「バスを通して」みたいな話でした。
2日目は行政が出している情報を加工して、その傾向として何年間でどうなっているとかをつかもうということで、ただひたすら数字を打ち込んでもらい、最後にグラフを作ってもらいました。ちょうど2人が国際関係に興味がある人だったので、市内に住んでいる外国人の方、在住者の国別の数字とか、ビザ別のものを集計してもらいました。
3日目に今度は現場に行こうということで、ごみ焼却場を見に。川崎市はゴミ焼却場が海の方にあるんだけど、津波が来たときにどうなるか問題というのがあって、ギリギリ浸水しないラインになっているんだけど、本当にギリギリで。それって本当か?と思ってそれをみんなで見に行きました。
- なるほど。北出さんが細かいと言ったのがわかりますね。一般的に議員って粗くておおざっぱなイメージじゃないですか。でも重冨さんは細かい考え方をするし、理系なんですよね。意外性があったっていうのはわかる気がする。データをまとめたっていうのは、データに基づいて政策作っているんだっていうことを体験できるっていう、すごいですよね。
- そう、データをまとめるだけでもダメだし、現場を見るだけでもダメだから、どっちもやろうという。
- 北出さんは今後の重冨さんの活動に注目して追っかけていくと、やった作業がどういった形で結実するのか見えるはず。ちなみに、データに基づいて議会質問を考える議員ってどのくらいいます?
- 1割くらいはいるのかな。6~7人?会派はバラバラで、各会派にそういう人がいる。ただそれが、会派の質問に生かされているかどうかっていうと、そこまでではなくて、あくまでも一般質問、個人の質問で、そういう特色がみられるかな、とは思う。
- なるほど。じゃあ全体の議会の議論の質を見たらデータに基づいて言っているのはごく一部なんですね。基本は陳情や自分の感覚でやっている人が多いって感じですか。
-
もしくは、データを検証しろっていうタイプの議員が僕の感覚としては多い。検証した上で「Aじゃないの?」っていう人はそんなにいないかも。「AかBかわかんないから、市役所ちゃんと検証してよ」っていう感じかな。それがめんどくさいので僕は自分でやる。
議員にもデータで傾向を見る議員もいれば、情に厚いタイプの人もいて、本当にさまざま。それは別に良い悪いというよりは、そういう人が選ばれているというだけの話だから、いろんなタイプを見たほうがいいかもね。
-
私も高校生にいろいろ見せてあげたいなというふうには思ったのですが、委員会とかが開催されている時期じゃなくて。1日目とかは議会の見学したり、議場を見たり。全部説明して、そのあと私の事務作業、自分が区政報告とか送っているのを全部封詰めしてもらいました。
次の日に予算要望があるので、それのチェックなど準備を全部手伝ってもらったりしました。また、総支部でイベントをやったときの写真を、支援者に1軒ずつ合計20軒ぐらい一緒に歩いてもらって。写真届けることだけが目的なわけではなくて、いろんな地域の人を巡って、いろんな意見聞いたりしているのを見てもらいました。2日目は予算要望を朝から晩まで聞いてもらいました。
- 朝から晩までと言うと、何時間ぐらいですか?
- 朝8時半から夕方4時半くらいまで、もう30分交代で次から次へと来ていたので、2人は中にいてもらって、1人は誘導する係をローテーションでやってもらいました。お金の話とか普通に飛び交っていましたね。こういう予算を次につけてほしいっていう話も全部聞いてもらったし、資料とかはさすがに全部渡せなかったので、話聞くだけになっちゃったけど。いろんな団体からの要望を聞けたんじゃないかなって思います。
-
なるほど。それはすごいですね。藤澤さんのインターンで見られた団体の予算要望から生まれる政策の作り方と、重冨さんのデータから調べて作る政策の作り方と2通りの政策の形成過程が見えて面白いですね。もちろん3日間だから、議員の仕事の一部なんだけど、それでも結構濃いところを見えたんじゃないかと思いますね。2つのインターンの内容をシェアしたいですね。
ちなみに一番印象に残った要望ってなんでしたか?
- ひとつ覚えているのが、実は父が歯科医師なので、歯科医師会の方が来ていたのはすごく覚えています。父がお願いしたいことだとか、災害時の時とかの話をよくしているのですが、それと同じような話を予算要望出されていて。似ているところがあるなと思いました。確か災害時の医療器具の話だったと思います。
- そういうのって、どういう基準で優先順位を決めているんですか?
-
一応、うち4つの委員会があるんですけど、「総務」「区民厚生」「都市整備」「こども文教」っていうのに分かれているので、もらった要望を全部割り振るんですよ。で、部会っていって、そこの先生たち何人かで話し合って、そこでやりとりして、その後またみんなで話し合い、予算をつけられるかどうかっていうのを全部話し合います。
そこから予算要望書に写して、落とし込んでいって、それを区長と話すっていう感じですね。目の前で議員同士で話はしにくいので、あくまでも要望を聞く場という感じです。アドバイスくらいはしたりします。
- 川崎も同じ感じですか?
- 会派でやっていますね。会派に対して要望が来る感じです。でも僕会派入ってないからさ。一人会派です。
- 対極的で面白いですね。一人会派ということは、重冨さん個人を頼って来る方ってことですよね。
-
そうですね。要するに、各会派にずっと言っているけど、とりあえず重冨にも言っとくかみたいな人もいるし、各会派には言いづらいから、こっちに言ってくる人もいる。でも予算つけてほしいというのは基本的にないなあ、俺のところには。ちょっと話聞いてよ、みたいな。個人からの話が多いです。
要するに団体は団体に興味があると俺は思っていて、団体が議員個人に興味を示すってまずないかなと。住民個人の場合、議員個人に対しての要望はありえるかなと。
-
そうすると、議会の中にいろいろなタイプの議員がいることが必要な気がしますよね。チャネルというか。そうしないと、全部が同じチャネルだったら、行けなくなっちゃいますもんね。多様性が大切ですね。皆さんのお話を聞いて、なんとなくどんなインターンをしたかイメージが湧いてきました。
次に高校生に聞きたいんですけど、インターンする前に政治についてのイメージってどういうものがありましたか?地方、国とか関係なく。政治って言われたらこんなイメージだったみたいな。北出さん。
- はい、特にイメージすることはなくて、どういうものなのかわからなかったので、やってみようかなって感じで。ハワイに居たころは、政治とか関係ない小学生だったので、全然何も知らなかったです。
- ハワイはハワイ州だから、州議会がありますよね。州議会の議事堂を見に行ったことが実はあるんですよ。ハワイに旅行行った時に、どうしても見たくて。ガラス張りだったんでのぞけました。ハワイってすごく自由なんですよね。断りなしに知事室も入れたし。
- マジかよ!(笑)セキュリティ大丈夫か!すごいな!面白いな!
- そういえばハワイは結構日系人が多いんですよ。2世とか3世とか。あとベトナム戦争の時にハワイに移り住んだって人もいて。ハワイ生まれはあんまりいなくて、日本人もけっこういました。私が住んでいたところはあんまりいなかったんですけど。
- じゃあ政治に対して接点がなかった中で、今回インターンをして変わりましたか?イメージが具体化できました?
- はい。どういう活動しているかもよくわからなかったので、今回参加してわかりました。
- どう思います?政治家って。重冨さんの例でいいですけど、そういう仕事をやっている議員を見て、どう感じました?
- 自分はあんまり細かいことをするのが嫌いなので、すごいなと思って。自分はちょっとできないかなと(笑)
- でも細かさが必ずしも必要な訳ではないよ。いろんなタイプの議員がいますから。僕が正解ということではない。
- そうですね!では大友君はどうですか?
-
政治のイメージは、実は学校の最寄り駅がすごく選挙の激戦区なので、選挙のたびにすごくいろんな人が演説に来るんです。選挙の時期だなって、必死なんだなって。そういう感じで見ていました。
あと国会とかを見ていても、ちゃんとやっている議員もいるけど、なんか寝ている人もいるような気がするぞ、みたいな。国民のために頑張っている人もいれば、そうでもない人もいるんじゃないのかっていう。いい面がある反面ちょっと懐疑的な部分がどうしてもありました。
それが今回現場を見てみて、地元の方の声を真摯に聞く姿や、ポスティングした時も暑い中地元の方を一人ひとり回っていく姿を見て、市民の方のためにすごく必死に頑張っているんだなって、前の悪いイメージがだいぶなくなりました。
- 大友君はマニアだから、より深いところに突っ込んだね(笑)。その状態を見て、逆に違和感やこうしたらいいというようなことはありました?
- 議場にちょっと立ち入りにくいっていうのはあった気がします。やっぱり議場が、そういう市民が入れるところと、離れているところにあるから、もう少し開かれた感じに行政がしてくれると市民が参加しやすいんじゃないかなって。
- おお。素晴らしい。開かれた議会にするべき、と言う指摘が高校生から出るなんて。ちなみに、今回の議場とハワイの議場だとやっぱり違った?解放感とか。
- ハワイはとにかく議場がガラス張りだったんです。外から見られるようになっていて。とてもオシャレな形なんです。開放的な感じでのぞこうと思えばのぞけるし。けっこう日本って市役所の上の方にあるじゃないですか。立ち入りにくいところが少し。ハワイは一番下にあるんですよ。エントランスのところにあったから、そういう感じだとすごく参加しやすいのかなって実感しました。
- それあるよ、建築に思想は入ると思う。世界中の国の体制と議事堂の形状の相関についての研究もあるらしいですね。
- うちもガラス張りにはなっているんですけど、人が通ると集中できないってブラインド閉めちゃいます。
- もったいない…。では、地方議員という仕事に魅力は感じましたか?北出さんは魅力は感じた?
- 魅力は感じたんですけど、自分はやりたくないなって思いました(笑)
- 重冨さんが細かいことやらせすぎたせいですね(笑)大友君はどうでした?
-
魅力は感じました。政治家というとやっぱり国会議員に目がいっちゃうんですけど。地方議員の仕事を改めて見ると、やっぱり地方議員も、国会議員と変わらないぐらい大事な仕事しているなっていう、すごく魅力は感じました。
国会議員って選挙区も広いし、大きい団体の人の意見を多く聞いているところがあるんですけど、地方議員の方ってやっぱり個人個人の意見をちゃんと汲み取ってやっているからやっぱりそれは重要だなっていうのをすごく感じました。
- なるほど、顔が見えるもんね、有権者の。ちなみにやるなら国会議員と地方議員どっちがいい?
- どっちもやりたいですね。やるとしたらステップアップしていきたいなと。
- 高1でもう政治家を意識するっていうのは、すごいね。じゃあ、北出さんは、どういう環境ならやりたくなりそうですか?
- 自由になるといいなと思います。ハワイに住んでいた時は日本と違って、すべてがゆったりしていたので。ゆったりした感じだったらやりたいなって思います。
- そういうやっぱり、気軽に関われる議会があって、いろんな関わり方があってもいいのかもしれないね。大友くんは今の環境でも議員をやってみたい感じかな?
- 今の環境でもやりたいですけど、やっぱり拘束される時間が…お休みがなかなか取れない、市民の厳しい目があると藤澤先生がおっしゃっていたので。やっぱりそういうふうに自由にできる時間とかが、もう少しあってもいいんじゃないかなって。
- 制度がそうなったとしても、やっぱり有権者の目があって、議員はこうあるべきみたいなものがある限り、やっぱりその辺を変えるのは難しそうですよね。
- 全然休むけどね。だって、要するに、成果が出ればいいじゃんって感じだから。
- たしかに休んでも何かはするわけですしね。例えばどこかに旅行に行く中で、何か発見があって、それが何かの気づきになって政策に役立てられるわけだから。むしろ休みがあってないようなもんだよね、議員さんってね。
- 逆にいうと、休みがないということでやりたいという人が減るのはかなりの損失だし、僕は正しくないと思っている。「議員も休んだほうがいい」という有権者に支持をされればいい。議員は週7で働いてほしいという人は、そういう人に入れればいいわけだから、僕は別に休んでいいと思う。
- 今、議会があるのは年間90日。その90日だけ議会に行けばいいわけで、別に働けという規定があるわけではない。自主的にやっているわけ。その時にもちろんビジネスをしてもいいと思う。いろんなスタイルがあってもいい。
- うん、いい。その90日で成果を出すためには確実にその裏で、当然調査をしなければいけないし、人の話を聞かないといけないわけだけど、なんかそんなにスーパー拘束されているって思われるのは逆にもったいないなって思っちゃう。
- たしかに。選挙が関係しているだろうね。選挙にどういう影響を及ぼすかで動いている議員って多くないですか?議会の中の仕事って、ぶっちゃけ選挙であまり見えないわけですよ。90日だけほんとに議員としての仕事をしても、選挙ではあまりプラスにならないという現実があると思うんですね。だからその90日以外の部分は選挙をイメージして動くようにならざるを得ないというか、なるのが現実なのかなと思います。
- いい悪いではなくて、それが今の仕組みですよね。
-
うん。それは悪くない。むしろ選挙で選ばれるってことは、それだけいい仕事やっているってことです。たぶん。パソコンに向かってずっとデータを解析して、いいアウトプットを出しても、たぶん選挙では落ちちゃうんですね。でもそれは要するに、候補者もちゃんと有権者を見られていないわけです。
データも必要だけど有権者と対話をしていく。この2つが組み込まれるから選挙に有利になるわけで。選挙を意識するという仕組みは、意外と僕はいいものだと思うんですね。ただ、選挙だけの人も多いような気がしていて。祭りに行けばとにかくいいみたいな、集会に顔を出すだけの人がいるわけですよ。
- よく写真だけ撮って帰られる議員さんもいらっしゃいますよね。
- うん。でも、そういうことだけに最適化されているのも良くないと僕は思うのですが。お2人の90日以外の過ごし方を聞いてもいいですか?
- 川崎の場合は、基本的に週1回は閉会中も委員会があるんです。場合によっては2日間、木金と曜日は決まっているので。活動のリズムとしてイメージしやすい。だから当然、木金の委員会っていうのは請願と陳情であるとか、あとは所管事務の報告とかを受けるわけなんだけど、それ以外の、平日で言えば3日間っていうのは自由なわけで。その3日間で僕は基本的には、一般質問の準備をしたり、予算審査の準備をしたりとかっていうのをする。
- 私も閉会中、特別委員会とかはあったりするんですけど、特に日にちが決まっているわけではないので、ちょっとリズムは作りづらいです。それ以外は私も会派に所属しているので、その会派の仕事やみんなで次の審査に向けての勉強会を。一人じゃ逆にできなくて、みんなでやって共有しなきゃいけないので、その時間は拘束されてしまうのはありますね。あとはもう、地元歩いて定例会ごとに活動レポート作って回っています。
- それだったらできるもんね。ところで、最近の高校生は新聞は見るの?
- 見ないです、見るとしてもラインニュースが多いかも。そもそもニュースにみんな関心がないです。インスタが一番流行っています。ツイッターも見ますが、インスタの方が多いですね。
- 情報の摂取の仕方が、今までの有権者と変わってきていますね。たぶん接する情報が違ってきているので、そうすると若い世代が見ている世界と、お年寄りが見ている世界が変わってきそうですね。
- インスタで政治のことあげるのもちょっと…インスタやツイッター、全部使っているけど、どうやってこの世代に伝えていくかちょっと悩んでいるとこですね。
- ここでじゃあ政治リテラシーの高そうな大友くんは、何をつかって情報を摂取しているの?
-
自分は家で新聞を読んでいます。地方の新聞と全国紙。あとはラインでいろんな新聞登録したり、アカウントのある国政政党は全部登録したり。ひとつの考えに偏ってみちゃうと、やはりひとつの見方でしか見ることができないので。いろんな意見が欲しいから、自分とは違う考えの人でもこう思っているんだなとか、自分と同じ考えの人でもここが違うんだなとか、そういうのを知るためにいろいろと情報収集しています。
新聞もなるべく読むようにしています。新聞だとバーっとみるんですけどラインニュースだと見たいニュースしか見ないから、ニュース番組を30分見ると見たくないニュースも一通り流れを知れるから、スポーツになった瞬間チャンネルを変えるみたいな。スポーツとかエンタメとかあんまり興味がなくて…。
- どうしてそうなったの?
- ちょっと前まではそういうのが好きだったんですけど、だんだん興味がなくなってきて、国会をみてみたらこんな面白いんだって、自分に興味のあることを話していたから、じゃあ委員会も見てみようとか思っていたら、だんだん政治の世界に興味を持ちました。
- そういうさ、自分とは違う考えた方を見なきゃいけないって意識して、いろんな情報源にあたるのはどうしてそうなったの?
- 学校の先生に、社会の先生にやっぱりひとつの考え方に偏っちゃうとそっちに暴走しゃうからって公民で教わって、自分とは違う考えのことも知らなくちゃいけないなって、やっぱりいろんな考えの人もいるからちゃんと見ないといけないなって。
- 学校がちゃんと機能していますね。政経か公民あたりで教わるの?
- 中学校の頃の公民でメディアリテラシーを。
- いまメディアリテラシーやるんだね。教育重要だね、なるほどなぁ。もちろんスマホ持ってるよね?
- 持っていますが、新聞も読んでいます。まあ読まない日もありますが。もちろんテレビも見ます。だいたい、国会の話だと手が止まったりしますね。
- 国会ネタなんだ。
- あとは国際ネタとか社説とか、産経新聞か読売新聞か何かに一時期全紙の社説が載っていたことがあって。ああ同じ新聞でもこんなに言っていることが違うんだって、それがまずすごく面白かったのが政治に興味を持ったきっかけかもしれません。
- それぞれ理想の社会とか理想の政治ってあるんですか?
- やっぱりすべての人が幸せに暮らせる、多数決だからって少数派を見捨てちゃいけないっていうのが一番重要だと思います。
- 家族ともそういう話をするの?
- お母さんもそういう話しますね、家族も結構そういう話が好きなので…。
- やっぱり環境だね。ちなみに、インターンでいろいろあったけど、どこが印象に残っている?
- やっぱり外を歩いてポスティングしたことですかね。
- 外面的に政治を見ていた中で、生身を見られたのは面白かったんじゃないかな。
- それはすごくあります、やっぱりそれまで議員さんと関わったことってなかったので。政治に血が通った瞬間でした。
- 北出さんは?3日間でなにが一番興味深かった?
- やっぱ3日目ですかね、見に行ったやつ。
- やっぱフィールドワークって印象に残るんだね。行ってよかったなあ。
- よかったですね!じゃあそろそろまとめに入りますか。いろんな変化を踏まえて同年代の人に伝えたいことってありますか?もしくは友だちに行ったよって話した?
- 行ったよとは言ったんですけど、あんまり盛り上がることはなく…。結構エンタメ系とか好きな子が多いのでそういう話しても「へー」くらいでおしまいだった。話すとしたら外に行ったやつですかね。
- 僕の場合は、やっぱりみんなが思っているより政治は面白い、若い議員も活動してことをもっと知ってほしい。
- 自分の中での変化はどう?気づきとか発見とか。
- なんかやっぱり日本人ってちゃんとしているイメージだったのですが、これをやったことで、そんなにきちっとしてない人もいるんだなって分かりました。
- やっぱり政治に血が通ったなっていう。やっぱり生の人と触れ合うとちょっと見方が変わりました。
- なるほど!また前編とは違う話が聞けて良かったです。インターンに行く議員によって見え方は変わってくるのかもしれないけれど、生の政治に触れることによって自分事に政治が変わることがインターンの醍醐味であり、意義なのかもしれないね。本日はありがとうございました!
<参加議員プロフィール>
●重冨たつや(川崎市議会議員)
1988年川崎市育ち。首都大学東京システムデザイン学部航空宇宙工学コース卒。塾講師を経て26歳で初当選、現在1期目。まちづくり委員。地域政党あしたのかわさき共同代表。政策提案時には必ず数字で詰め寄り、「議員が言ったからやる」ではなく、「納得したからやる」と思ってもらえる政策提言を心がけている。道路・公園などの公共空間活用、教育施策全般に熱意を持って取り組んでいる。剣道初段。鳥人間(設計・コックピット制作・パイロット)。
●藤澤愛子(豊島区議会議員)
1988年川崎生まれ。法政大学法学部卒業。衆議院議員秘書を経た後、2015年豊島区議会議員選挙に豊島区議会議員では歴代最年少で初当選を果たす。子ども文京委員会副委員長。「それぞれの立場に立って考える」ことを重視し、現在の幸せはもとより、何が本当に必要なのか、将来を見据えて全世代が住みやすい豊島区を作るため、地域経済・まちづくりに尽力。地域を歩き、地域の声を実現できるよう日々努めている。
<ファシリテータープロフィール>
●仁木崇嗣(一般社団法人ユースデモクラシー推進機構代表理事)
1986年奈良県生まれ。デジタルハリウッド大学院修了。同メディアサイエンス研究所研究員。地域デザイン学会参与。NPO法人全世代理事。陸上自衛隊少年工科学校卒業後、航空学校を経て、一般幹部候補生合格を機に退職。ベンチャー企業勤務を経て、23歳で独立。デザイン&ICTを活用した公共部門のロジスティックスを支える事業を展開し、選挙支援の実績は延べ100件を超える。YDPA設立者として、若者と未来世代のための政治の実現を目指し活動中。2017年、ForbesJAPAN「日本を元気にする88人」選考委員会ボードメンバーに選出。
<共同企画団体紹介>
●一般社団法人ユースデモクラシー推進機構
一般社団法人ユースデモクラシー推進機構は、日本に自由と民主主義を実装した先人の志に思いを馳せ、デジタル時代への適応を意識しながら、様々なプレイヤーとのコラボレーションや実践的プロジェクトを通して若い政治家らを多面的に支援し、有権者が信頼できる“若者と未来世代のための政治“の実現を目指し活動を行っている非営利徹底型の一般社団法人です。
http://youth-democracy.org/
●NPO法人I-CAS
議員インターンシップを提供するI-CAS(アイカス)は若者世代の政治意識向上を目的に活動するNPO法人です。地方自治体議員への議員インターンシップを通して地域密着、議員密着の政治家体験が可能。公務員志望の方にもおすすめで、高校生から参加できるインターンシッププログラムもあります。また、参加者と担当スタッフの距離が近く、手厚いフォロー体制が自慢です。
http://i-cas.org/
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