妊産婦のネット投票、まずは国会から―宮川典子衆院議員に聞く
政治山 / 2019年3月1日 10時0分
妊娠・出産のため国会に行くことができず、議決権を行使することができない女性国会議員が、自宅や病院などの遠隔地からインターネット投票できるようにする改革案が、自民党内で検討されている。
2月7日、「衆議院改革実現のためのプロジェクトチーム(萩生田光一座長、以下PT)」の役員会で遠隔投票を認める改革案が了承され、今後は与野党に議論を呼びかけることとなった。同案は、本会議場における記名投票に限り、インターネット回線を通じた通信端末からの投票を認める内容で、本人確認用のIDカードを貸与したうえで本人の姿をモニター監視するなどして不正投票を防ぐこととしている。
この改革案は実現できるものなのか、そしてこれはゴールなのか。推進してきた自民党女性局(三原じゅん子局長)の局長代理を務める、宮川典子衆議院議員に聞いた。
――妊産婦のネット投票を認める改革案をまとめた背景をお聞かせください。
妊産婦である議員の議決権行使は、長年の課題でした。私たち国会議員、例えば代議士と呼ばれる衆議院議員は、文字通り国民の代弁者として有権者の負託を受けて国政を担っています。
近年は若い女性議員も増え、任期中に妊娠・出産を迎える議員も少なくありません。私は盟友である金子恵美さん(前衆議院議員、任期中の2016年2月に切迫早産した)の大変な姿を目にし、ともに悩み、彼女のために何かしてあげられることはないだろうかと深く考えたこともあって、妊産婦を取り囲む環境の整備には固い決意をもって取り組んできました。
女性活躍を推し進める上でも、さまざまな立場、幅広い年代の女性も参加しやすいように、ライフイベントに対応した制度作りが必要なのです。
――PTでは了承されましたが、自民党内の意見はまとまっているのでしょうか。
憲法に定められた「出席」の文言や議会の重みといった視点から、自民党内では慎重な意見も多く、女性局内でも意見は分かれています。しかし現在は、テレビやネットで議会中継もしているし、審議にも参加することが可能になりつつある時代です。それなのに議決権だけ行使できないのは、違和感を感じざるを得ないと思います。いつでも、どこでも、誰でもチャンスにアクセスすることができる、という姿が望ましいと考えています。
(憲法56条2)
両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
――そのような環境を整えるために、今回の改革案で十分とお考えでしょうか。
本案では、ネット投票できるのは本会議場の記名投票に限られていますが、記名か無記名を問わずすべての議事に投票できるようにすべきですし、妊産婦に限らず病気や怪我による長期入院、インフルエンザなどの感染症に罹患した際にも、遠隔投票できるように検討すべきです。
有権者への責任を果たすという意味においても、議決権行使には最大限の配慮がなされてしかるべきでしょう。
――有権者への責任という視点からは地方議員も同様だと思いますがいかがですか。
もちろん地方議員の妊産婦にも配慮が必要です。これまではルールを作る側に女性が少なかったという現実がありますが、女性議員も少しずつ増え、いくつかの議会では臨時の託児所を設けるなどの対応・検討を行っています。国会改革を待たず、地方議会においても声を挙げてほしいと考えています。
――今後はどのようなスケジュールで進んでいくのでしょうか。
予算審議後の今国会で議論し、各党の合意を経て、早ければ次の国会からでも導入したいと考えています。女性活躍や働き方改革を進めていく中で、妊娠や出産が女性のキャリアの妨げとなってはいけません。まずは国会改革の一端を実現すべく、先頭に立って取り組んでいきます。
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