心の壁を減らすのは、「接する」ことと「知る」こと―ダイバーシティ&インクルージョン意識調査
政治山 / 2019年8月30日 10時0分
日本財団(笹川陽平会長)は、生活者における「ダイバーシティ&インクルージョン※」の認知や理解、および社会的マイノリティに対する意識について、10代~60代の5,216人を対象にアンケート調査を行いました。
日本財団は、障害・性・世代・言語・人種などのあらゆる多様性があふれ、誰も孤立することなく皆が支え合う社会の実現を目指し、50年にもわたる社会的マイノリティへの支援を通じて、「ダイバーシティ&インクルージョン」の意義を社会に広く認知・浸透させる取り組みを行っていますが、特に2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、日本社会においてその重要性は増しています。
今回の調査結果を受けて、日本財団特定事業部 True Colorsチームの青木透氏は、「7割を超える人が社会的マイノリティへの心の壁を意識した経験があるという現実も大切ですが、9割近い人が多様性の重要性を感じていることを前向きに捉えたいです。年代が若いほど「差別・偏見はない」と回答する人が多いことも希望と言えるかもしれません。
多様な人がそれぞれの色合いを出しながら共に生きる社会は共有できる社会像と言えそうです。そこに進んでいくには、社会的マイノリティと過ごす機会を多くつくることが必要ということもわかりました。2020年に向かって多様な背景の人と出会う機会に飛び込んでほしいと思います。私たちが始めるTrue Colors Festivalもそのような機会をたくさん生み出したいです」と述べました。
今後、日本財団では具体的な取り組みとして、様々な個性が力を合わせることでつくり上げていくパフォーミングアーツの祭典「True Colors Festival(トゥルーカラーズフェスティバル)を2019年9月より開催予定で、「すべての人が「True Colors=ありのまま」で居場所がある社会の実現を目指し、アートを通じて様々な個性と出会い、ともに協力しあうことで新たな気づきを得ることのできる機会を創出したい」としています。
※ダイバーシティ&インクルージョン:ダイバーシティ(多様性)を尊重し、異なる価値観や能力をインクルージョンする(抱合する・活かし合う)ことで、新たな価値創造につなげ、一人ひとりが活躍できる社会をめざす取り組みを指す。
調査結果の概要は以下の通り。
結果サマリー- 86.8%が多様性に富んだ社会の重要性を感じており、72.8%がダイバーシティ&インクルージョンの推進に前向き
- 95.9%が社会的マイノリティに対して日本社会に差別や偏見があると感じており、73.4%が実際に自分の中にある「心の壁」を何らかの形で意識した経験がある
- 社会的マイノリティに対する差別や偏見は10代が61.6%で最も低く、最も高い60代の72.9%と11.3ptの差。特にLGBTQに対する差別や偏見は、10代は26.7%であるのに対して60代は54.6%と27.9ptもの大差がある。
- 社会的マイノリティに対する「心の壁」の感じ方は、「会話など通常のコミュニケーションが取りづらいだろうと思った」が54.8%で最も多く、次いで「日常的な行動や仕事などできないことが多いだろうと思った」49.8%、「自分とは価値観が大きく違うだろうと思った」40.5%
- 社会的マイノリティとより多く、そして深く関わった経験のある人のほうが、そうした経験の少ない人に比べて「心の壁」を感じづらい
- 社会的マイノリティに対する「心の壁」の原因、第1位は「接し方が分からないから」43.1%、第2位は「あまり接したことがないから」42.4%、第3位は「よく知らないから」41.8%
- 「心の壁」を減らす方法の第1位は「一緒にお仕事や日常生活を共にする」が49.5%、第2位は「イベントに参加するなど、コミュニケーションをとる」が42.9%、第3位は「当事者やその家族、周辺の方々の体験談やレポートなどを読む」が23.2%
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない。
「心の壁」を減らすたった2つの解決策は、「接する」「知る」日本において「ダイバーシティ&インクルージョン」が浸透し、多様な個性を受け入れ尊重し合い、誰も孤立することなく助け合う社会を実現するためには、生活者ひとりひとりの社会的マイノリティに対する「心の壁」を減らすことが重要です。「心の壁」は、社会的マイノリティへの先入観によって自ら作り上げていることが多いと考えられます。
そうした「心の壁」を減らすためには、「接する」ことと「知る」ことが第一歩となります。日常生活でそうした機会が少ない場合には、イベントなど、社会的マイノリティに出会うことができたり、何かをともに体験できる場に参加することも有意義であると言えます。
日本財団はTrue Colors Festivalの開催を通じ、多様な個性が出会い「接する」ことで力を合わせて様々な気づきや発見が生まれ、互いのことを「知る」ことのできる場を作り出したいと考えています。そして、「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現に向け、新しい価値観が生まれる機会を創出していきます。
調査概要- 調査主体:日本財団
- 調査対象:日本在住の10代(16歳~19歳)~60代
- 調査人数:5,216人
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2019年7月26日~29日
- 本調査における社会的マイノリティ:
LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング/クィア)の人、身体障害のある人、精神障害、発達障害、知的障害のある人、日本で暮らしている外国籍の人、ミックスの人など見た目が日本人に見えない人、高齢者(おおむね75歳以上の方) - 本調査における「心の壁」:
社会的マイノリティに対して、関わりを避けたり、先入観や見た目で行動や価値観に違いがあるだろうと決めつけをしてしまう意識のはたらきのこと
【日本財団とは】
日本財団は「ソーシャルイノベーション」のハブとなり、子ども支援、障害者支援、災害復興支援などを通じて、よりよい社会づくりを目指しています。障害者支援の分野では、日本に加え世界48カ国を対象に様々な活動に取り組んできました。国内では、累計40,000台の福祉車両の提供、日本財団パラリンピックサポートセンターの設立・運営、電話リレーサービスの制度化、障害者の就労支援などを行ってきました。海外では、3,000人以上の障害者に大学進学支援を行った他、アジア地域で約500人の義肢装具士を育成し、50万本を超える義手義足を肢体障害者に提供しています。
■True Colors Festival公式サイト
URL:https://truecolors2020.jp/
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