苦節3年。立憲民主党からインターネット投票の第一歩を進める法案を国会へ提出
政治山 / 2021年6月17日 10時0分
インターネット投票導入法案の提出にあたって
2018年5月16日に旧・立憲民主党の政治改革部会において、森山浩行部会長、落合貴之事務局長から指名を受けて、インターネット投票検討チームを立ち上げてから苦節3年。
新・立憲民主党にて、篠原孝政治改革部会長、後藤祐一デジタル政策PT座長など、多くの同僚・先輩方の意見提言を賜りながら、約30回の会議を経て、2021年6月11日17時に立憲民主党・国民民主党の仲間たちとともに岡田憲治衆議院事務総長へインターネット投票の導入の推進に関する法律案を提出することができました。
また、汗をかいた若手を前にという先輩方の配慮で、私、中谷一馬が筆頭提出者を務めさせていただきました。
この法案が日本のインターネット投票実現に向けた第一歩となりますが、野党案の提出を受けて、政府与党の動きも活発化することを期待したいと思いますし、私たちが政権を担うことができたならば必ずや実現したいと思っております。
インターネット投票を実現する目的この法律案は、日本国憲法の精神にのっとり、年齢、身体的な条件、地理的な制約その他の要因に基づき投票所への移動に困難を有する者を含む全ての選挙人等の投票の機会を等しく確保することが重要であることに鑑み、選挙等が健全な民主主義の根幹に関わるものであり、その公正およびこれに対する信頼が確保されなければならないことも踏まえつつ、インターネット投票の導入について、その目標時期ならびに基本方針およびインターネット投票が満たすべき条件を定めるとともに、インターネット投票導入推進会議を設置することにより、これを推進することを目的とすることと致しました。
インターネット投票基本方針と導入時期インターネット投票の導入に当たっての基本方針としては、
- 1.すべての選挙人等の投票の利便性の向上が図られるものでなければならないこと。
- 2.投票の記録の保全ならびにインターネット投票に係る情報システムの安全性および信頼性の確保等を通じて、選挙等の公正およびこれに対する信頼の確保が図られるものでなければならないこと。
- 3.投票用紙を用いる方法と併用されるものでなければならないこと。
を満たした上で、令和7年にその期日を公示される参議院議員の通常選挙から、導入することを目標としました。
その上で、在外投票および新型コロナウイルス感染症の患者または濃厚接触者などの投票については、第三に定める目標時期前にインターネット投票により行わせることができるよう検討し、速やかに必要な法制上およびその他の措置を講ずるものと致しました。
選挙人等の投票の利便性の向上に関する条件インターネット投票は、選挙人等の投票の利便性の向上に関し、
- 1.選挙等の期日の公示または告示がなされた日の翌日から当該期日の前日までの間、原則として時間を問わず、投票を行うことができること。
- 2.インターネットへの接続が可能な場所であれば、選挙人等の現在する場所のいかんを問わず、投票を行うことができること。
- 3.年齢、身体的な条件、地理的な制約その他の要因に基づき情報通信技術の利用に困難がある者がインターネット投票を簡便に利用することができる環境が整備されること。
- 4.広く利用されている通信端末機器を使用し、簡便な操作により投票を行うことができること。
- 5.投票のための通信端末機器の操作の方法その他のインターネット投票の利用の方法について十分な周知および啓発が図られること。
- 6.投票のための通信端末機器の操作の方法その他のインターネット投票の利用の方法に関する選挙人等からの問合せに対応する十分な体制が確保されること。
といった条件を満たすものでなければならないことと致しました。
選挙等の公正およびこれに対する信頼の確保に関する条件そして、民主主義の根幹を担う選挙において、一番大切な視点として、インターネット投票は、選挙等の公正およびこれに対する信頼の確保に関しては、
- 1.選挙人等が1の選挙等において2以上の投票を行うことを防止できること。
- 2.本人以外の者が投票を行うことの防止に関する次に掲げる条件
- (1)電子署名その他の確実な本人確認の手段により選挙人名簿および在外選挙人名簿または投票人名簿および在外投票人名簿の対照が行われること。
- (2)詐欺投票等に係る罰則が整備されるとともに、当該罰則に係る十分な周知および啓発が図られること。
- 3.選挙人等が自らの意思によって投票を行うことのできる環境の確保に関する次に掲げる条件
- (1)インターネット投票による投票についてはその訂正のための投票が認められるとともに、選挙人等が投票用紙を用いる方法により投票を行った場合は、当該投票が有効とされること。
- (2)投票立会人による投票の立会いに相当する措置が整備されること。
- (3)投票干渉等に係る罰則が整備されるとともに、当該罰則に係る十分な周知および啓発が図られること。
- 4.投票に関する電磁的記録を暗号化する情報通信技術、投票に関する電磁的記録が不正に作られまたは取得された場合にその旨を確実に把握することのできる情報通信技術等を導入するとともに、それらが適切に作動していることを確認するための体制を整備することにより、選挙人等の行った投票の内容を政府、地方公共団体その他の本人以外の者が知ることができないようにする等、投票の秘密が侵されないこと。
- 5.投票の記録の保全ならびにインターネット投票に係る情報システムの安全性および信頼性の確保に関する次に掲げる条件
- (1)選挙人等の投票に関する事項を電磁的記録媒体に確実に記録し、選挙等の投票または開票の後に、投票の結果を検証することができるようにすること。
- (2)予想される事故等に対するインターネット投票に係る情報システムの安全性が確保されることその他事故等への対処のための体制が整備されること。
- 6.通信端末機器の映像面の表示について、公職の候補者の間若しくは政党その他の政治団体の間、最高裁判所裁判官の間または憲法改正案に対する賛否の間の公平が確保されること。
という厳しい条件を掲げさせていただきました。
多くの有識者からの知見を集約した法案この法律案は、私自身の母校であるデジタルハリウッド大学大学院において、積み重ねさせていただいた研究がベースとなっており、杉山知之学長、本多忠房教授、池谷和浩事務局長にも様々なサポートをしていただきました。また民間の有識者として、早稲田大学の斉藤賢爾教授、VOTE FORの市ノ澤充代表、株式会社PoliPoliの伊藤和真代表、元・在エストニア日本国大使館の守田健太郎さん、ユースデモクラシー推進機構の仁木崇嗣代表、Publitechの菅原直敏代表、日本IT団体連盟の皆様方、原田ケンスケさん(立憲民主党岡山県選挙区第1区総支部長)など多くの有識者からのご知見を頂戴致しました。
献身的にご尽力をいただきました皆様方のおかげと心より感謝御礼を申し上げます。
また、法律案作成作業、ならびに事務作業にご尽力をいただいた衆議院法制局の基本法制課 仁田山義明課長、第一部第二課 吉田尚弘課長をはじめとした衆議院法制局の皆様方、立憲民主党政務調査会の横田昌三さん、岡田克樹さんをはじめとした事務局の皆様方、そして弊所の歴代の秘書としてインターネット投票の策定に携わってくれた小田浩美渋谷区議会議員、栄居学神奈川県議会議員、奈良甲介公設秘書にも心からの感謝御礼を申し上げます。
- 著者プロフィール
- 中谷 一馬 なかたに かずま / Kazuma Nakatani [ホームページ]
-
立憲民主党 衆議院議員 神奈川7区(横浜市港北区・都筑区の一部)
1983年8月30日生。貧しい母子家庭で育つ。厳しい経済環境で育ったことから、経済的な自立に焦り、中学卒業後、高校には進学せず、社会に出る。だがうまく行かず、同じような思いを持った仲間たちとグループを形成し、代表格となる。
しかし「何か違う」と思い直し、働きながら横浜平沼高校に復学。卒業後、呉竹鍼灸柔整専門学校を経て、慶應義塾大学、DHU大学院に進学。その傍ら、飲食店経営や東証一部に上場したIT企業の創業に役員として参画する中で、人の役に立つ人生を歩みたいと政界進出を決意。
元総理大臣の秘書を務めた後に、27歳で神奈川県議会における県政史上最年少議員として当選。県議会議員時代には、World Economic Forum(通称:ダボス会議)のGlobal Shapers2011に地方議員として史上初選出され、33歳以下の日本代表メンバーとして活動。また第7回マニフェスト大賞にて、その年に一番優れた政策を提言した議員に贈られる最優秀政策提言賞を受賞。
現在は、立憲民主党 青年局長(初代)、科学技術・イノベーション議員連盟 事務局長として多方面で活動中。
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