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勝てる傘「カテール」―透明なビニール傘は選挙から始まった?

政治山 / 2016年7月22日 17時30分

 今や世界中で愛用されているビニール傘ですが、最初に開発したのは東京都台東区にある、ホワイトローズ株式会社という日本の企業です。最近のビニール傘は、使い捨てから高級品まで多様な種類がありますが、同社は商品開発のパイオニアとしても業界をリードし、知る人ぞ知る“滑り落ちない”選挙用ビニール傘は、一部の政治家にもよく知られています。

日本で世界初のビニール傘開発

 1955年、同社が世界で最初に開発したビニール傘は透明ではなく乳白色でした。1964年の東京オリンピックの際に、来日したアメリカ人がその存在を知り、ニューヨーク(NY)での販売を持ち掛け、ビニール傘は海を越えます。雨が多いNYですぐに大人気となり、肩まで入る「鳥かご型」の透明なビニール傘が主流となりました。

 程なく台湾で競合メーカーが現れ、価格競争に敗れた同社は国内での販売に注力し、銀座などで最先端ファッションとして人気を集めました。やがて国内にも海外製の格安製品が流入し、ビニール傘は次第にファッションアイテムから使い捨て商品へと変わっていきます。

1人の都議が選挙用のビニール傘を特注

 海外の格安製品に圧されて国内メーカーが次々と撤退する中、1982年に同社を1人の都議が訪れました。「透明で、とにかく大きいビニール傘を1本作ってほしい」と選挙運動用の傘を注文しました。半径65センチの鉄製10本骨の傘が完成し、勝てる傘「カテール」と名付けられました。

選挙の際に重宝される「シンカテール」
選挙の際に重宝される「シンカテール」(ホワイトローズ社ホームページより)

雨ニモマケズ、風ニモマケズ、持ち手には滑り止め

 頑丈、かつ庶民的な透明ビニール傘は“必勝グッズ”として口コミで評判を呼び、歴代首相の元にも行き渡るようになりました。同社は改良を重ね、現在はグラスファイバー製で、強くしなやかになり、傘の中央に雨粒を通さない風穴を設けた新バージョンも登場しています。用途に応じて8本組や16本組もあります。

 選挙ではゲン担ぎも候補者が選ぶ重要な要素です。新・勝てる傘「シンカテール」は、持ち手部分がフェイクバンブー仕様で滑り落ちにくくなっており、「持てば落ちない」というお守り代わりに常備する候補者もいるようです。

皇室も御用達のブランド

 高級ビニール傘のトップランナーとして、評判は皇室にも届きました。皇后美智子さまは「園遊会が雨天だった際、自分も参加者がよく見え、また参加者からも自分がよく見えるよう」に、透明の傘を希望されたため、宮内庁が同社に注文しました。

 2010年10月28日、新たに開発された「縁結(えんゆう)」は、秋の園遊会で美智子さまを雨からお守りし、特注傘として週刊誌にも大きく報じられました。

衣装と傘が一体となったトータルコーディネートがおしゃれなエリザベス女王
衣装と傘が一体となったトータルコーディネートがおしゃれなエリザベス女王(ツイッター投稿画像より)

 一方、英国フルトン社製のビニール傘は、英国王室御用達のブランドとして知られており、欧米で好まれる丸みを帯びた「鳥かご型」が特徴です。

<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター 上村吉弘>

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