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元学生起業家の挑戦、人工知能とつくる未来の政治

政治山 / 2016年7月20日 11時50分

 東京都庁が位置する東京都新宿区。約34万人の住民数に比し、昼間人口が約78万人という東京有数の人口集積地です。企業数については約1万2000社と東京23区内で第5位の規模になります(2014年・帝国データバンク調べ)。そんな新宿区の区議会において最年少(27歳)で当選した伊藤陽平さんにお話を伺いました。

伊藤陽平 新宿区議会議員
新宿区議会議員の伊藤陽平さん

「選挙とか、議員同士の交流とか、あんまり興味ないんですよね。」

【仁木】 伊藤さんとは議員になる前からの付き合いですが、いわゆる「政治家らしさ」って皆無ですよね。

【伊藤】 そうですね。僕は、選挙とか、議員同士の交流とかあんまり興味ないんですよ。議員になると様々な催事の招待状をいただきます。多くの方に名前と顔を覚えていただくためにも顔を出すのは良いとは思いますが、僕はそういう時間があれば情報収集や調査などに使いたいし、常に新しいことをやって世の中に価値を生み出すべきだと思っています。

【仁木】 やはり政治家というより、経営者ですね。学生時代に起業されたのでしたっけ?

【伊藤】 はい。21歳の時にWeb制作やシステム開発を行う会社を起業しました。

【仁木】 どうして議員になろうと思ったのですか?

【伊藤】 今思えばすごい気まぐれだったのですが、最初のきっかけは、区が発信しているTwitterで、委員の公募をしているのを知ったんです。それを見て応募し、区政について意見を述べる公募委員になったのが始まりです。そこで地方行政の現状を知ったのですが、費用対効果が考えられていないという、とんでもない状態だったんです。若い委員もおらず、20代の意見が入る余地なんてこれっぽっちもありませんでした。自分たちの税金がこんな使い方をされてるんだと、憤りの気持ちが大きかったです。

【仁木】 なるほど。会社経営をしていると、税金の負担感が大きいですよね。

【伊藤】 タックスイーターばかりが政治に群がっていて、タックスぺイヤーや若者の代弁者が極めて少ないことに危機感を覚えています。とはいえ、議会の中で一人の力には限界があるので、ブログやメディアなどを積極的に活用し、情報公開に努めています。

【仁木】 伊藤さんは毎日ブログを更新してらっしゃいますよね。本当に凄いと思います。

【伊藤】 若い世代は仕事や育児、学業などが忙しかったり、わざわざ議員に会いに来ることもないと思います。ネットで意見交換をする環境を作りたかったので、ブログも大事な有権者とのコミュニケーションの場になっています。

伊藤陽平 新宿区議会議員
ブログで毎日情報発信を続けることで各メディアからも注目され、テレビ局からの取材も受けることに

「ベンチャーキャピタル」を知らない産業振興課

【仁木】 伊藤さんが議員になってから1年が経ちましたが、議会活動の中で印象的なことは何かありましたか?

【伊藤】 僕は、すでに行政主導で解決できる課題は少なく、地域の発展は民間の力を引き出して、イノベーションを推進していくしかないと考えているのですが、議会でベンチャーキャピタルと提携すべきじゃないか、という趣旨の質問をしたんです。建設的な議論をしたいという目的だったのですが、当局からの答弁は「ちょっとベンチャーキャピタルというのがどのようなものかというのはわからない(平成27年9月決算特別委員会答弁)」というものだったのです。これでは、議論にすらならない(笑)。

【仁木】 新宿区はベンチャー企業もかなりの数がありますよね。

【伊藤】 はい。しかも区はインキュベーション施設を保有しています。ベンチャーキャピタルの用語を知っているかどうかよりも、彼らの手法やその実情を知らずに、最適なインキュベーションやその振興ができるのか疑問です。

【仁木】 今までの産業振興政策は中小企業や商店街だけを見ていれば良かったのでしょうが、時代の流れについていけていないのかもしれないですね。最近のコンピュータテクノロジーの進歩はすさまじいですからね。

伊藤陽平 新宿区議会議員
電話やネットを使って独自に綿密な調査研究を行い、鋭い質問を議会に投げかける

「コンピュータと政治」が大きなテーマ。「AI議員に俺はなる!」

【仁木】 コンピュータテクノロジーといえば、インターネットを政治に役立たせる取り組みは既にいくつかありますが、伊藤さんはさらに進んで、AI(人口知能)を政治に役立たせようとされていると聞きました。具体的にどういうことをされようと考えているのですか?

【伊藤】 まだ今は情報収集や、簡単なプログラムを書いてみたり、人工知能関連の勉強をしている「宣言段階」なのですが(笑)、米国では人口知能で政治家のスピーチを作る研究も行われているようですし、完全に議員活動が人口知能に置き換わるまでは時間がかかるとしても、ビックデータ解析を利用した質問作成は今の技術でもできると思っています。日本語版が発表されたIBMのWatsonを実験的に利用していますが、議会活動に活かせないか検討しています。

【仁木】 近い将来、様々な仕事が人工知能に置き換えられるといった話も耳にしますが、議員という仕事も、人工知能の方が優れたアウトプットを出すと言われないようにしないといけませんね。

【伊藤】 そうですね。いずれ人工知能以下の議員が淘汰されていく時代がくるかもしれませんし、あるいは、人工知能にどのようなプログラムをインプットするのかを選択するだけの仕事になるかもしれません。

【仁木】 議員もテクノロジーについて一定の見識を持つことが必要不可欠な時代が来るわけですね。デジタルネイティブ議員の出番ですね!

【伊藤】 はい。しかも、私は議会では自由なポジションなので、今すぐにでも「コンピュータが作った質問です!」と言ってそのまま議会で発表することができるため、任期中に「AI議員」として具体的な行動を起こしていきたいと考えています。

【仁木】 それは楽しみですね!期待しています!

【伊藤】 ありがとうございます!まだまだ技術力も知識もこれからなので、これを読まれて興味を持っていただいた専門家の方がいれば、お仕事としてご協力いただきたいので是非ご連絡ください!

【仁木】 どんな機会も活用されようとする姿勢、さすが経営者ですね(笑)!

<一般社団法人ユースデモクラシー推進機構 代表理事 仁木崇嗣>

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