売れっ子カウンセラーから議員へ。社会起業を志す20代女性議員の挑戦。
政治山 / 2016年9月1日 11時50分
東京23区では最東端に位置し、23区内では最も区民の平均年齢が若く、合計特殊出生率も23区内で最高の江戸川区。そんな江戸川区の区議選で4,230票を得て最年少(27歳)で当選された小野塚礼佳さんにお話を伺いました。
――まずは、小野塚さんが議員になろうと思われたきっかけについて教えてください。
私は議員になる前、21歳の頃から約6年間カウンセラーの仕事をしていたのですが、東日本大震災の被災地でカウンセリングをさせていただいた際に、被災者の方とお話をしたときに行政や政治のあり方について考えたんです。
防災や減災についてもっとできることがあるんじゃないかと思いました。それをきっかけに制度や枠組みを作る側に入ってみたいと思うようになったんです。
また、以前から教育の分野に関心があったので、それも議員になろうと思う動機になりました。出生率が高く、学校も多い江戸川区で挑戦したいと思ったのもそれが理由です。
58人の立候補者のうち16番目(女性では5番目)に多い得票数で当選。
――教育分野に関心があった理由は何ですか?
小学4年生の頃に両親の離婚を契機にうつ病になった事があるのですが、その後も転校で馴染めず不登校になり、引きこもっている時期があったんです。その頃から今の教育制度に疑問を持ちはじめました。議員にならなくても、将来フリースクールなどを開いて教育に関わるつもりでいましたし、今もその気持ちは変わりません。今の社会で生きづらい人たちの居場所をつくることがしたいですね。
――ご自身の経験から教育分野に関わることになったとのことですが、カウンセラーをされていたのもその一環だったのですか?
そうですね。実は、成年してからもデートDVに遭ったり、身内がうつ病を発症し、その看護を3年ほどしていたこともあって、人の悩みに関する様々な分野を独学で学んでいたのですが、そういった体験談や自分の考え方などをブログに書いていたんです。
そうすると読者の方から相談が来るようになり、それらを解決していくうちに仕事としてオファーが来るようになって、続けていくうちに約6年間で5,000人の方をカウンセリングしていました。
――5,000人とは凄いですね!その経験は議員活動に役立っていますか?
はい。まさに政治は人間の関わりあいですから、様々な悩みを持つ多くの人たちとお話をしてきたことはとても役立っています。人の気持ちを理解することが、政治には必要不可欠なことだと思うので。
――実際に議員になってみて、イメージと違ったことはありますか?
最初はかなり違和感がありました。本当にあらゆる事がスローペースのため、改革はなかなか難しいですね。ただ、中長期的な視点で見て、皆さまからお預かりしている税金の使い道を熟考するのは当然ですので、どこまで先を見ることができるかだと思います。
――だから、ご自身で解決策を実践しようとされているのですね。
そうです。スピーディに自分たちで社会課題を解決していく場をつくろうと思い、一般社団法人日本こまつな協会という団体を立ち上げました。
――議員になった意味はありましたか?
議会は問題が集まってくる場なので、社会の問題のつながりが見えてくるんです。問題の本質がどこにあるのかということもわかりやすいので、議員にならなければ行動にまで至らなかったかもしれません。
初の議会質問では、小学校での動物飼育や特別支援教室での指導、災害時の動物救護について質問を行い、その後、動物救護マニュアルの作成が実現した。
――日本こまつな協会について教えてください。
はい。日本こまつな協会では、これから複数の事業を展開していく予定ですが、第一弾としては、宅配型の企業向け社食サービス事業を来年4月から開始します。これは主に中小企業に就業されている方の健康促進を支援しながら、軽度の発達障害をもたれている方の雇用を拡げていくことを目的の一つにしています。
マニュアル化されたデリバリー業務だと、軽度の発達障害をもたれている方とインターンの学生が一組になって実施することができるので、お互いに補い合いながら仕事を行うという社会教育にもなると考えています。
――なるほど。ご自身のテーマである「教育」にもつながりますね。
そうなんです。入口は「食」ですが、根っこには「人材教育」で社会に貢献したいという思いがあります。
――なぜ、「こまつな」なのですか?
「こまつな」は江戸川区発祥ということもあり、江戸川区の議員として同区の良いところを拡げていきたいという気持ちがあるのと、「こまつな」は栄養価も高く、「食育」の観点からも注目すべき食材だと思うので、この名称にしました。
日本こまつな協会の設立パーティでは大勢の人が集まり、江戸川区特産の小松菜ドリンクを飲み交わした。
――お話を聞いていると、単に「こまつな」を拡げるための団体では無く、社会貢献に重きをおいた活動に取り組もうとされていると感じました。今後の展開について聞かせてください。
はい。来年初旬から5社に試験導入をさせていただく予定で進めておりまして、順調にいけば1年で20社程度増やして、2年目には50社を目標にしています。他に、企業内保育所の推進に伴い、離乳食への展開を予定しているのと、超高齢化社会に向けて介護食へも広げたいですね。また子育て中のママさんパパさんへの食育講座の開講を予定しています。
これらの事業が軌道に乗った段階で、教育支援専門の法人を立てて、給付型奨学金や子どもたちへのキャリア教育事業の展開を検討しています。
このような現場で得た知見を議会活動に活かしていくモデルを作ることも目標の一つです。
――素晴らしいビジョンだと思います。ぜひ実現に向けて頑張ってください!
ありがとうございます!頑張ります!
<一般社団法人ユースデモクラシー推進機構 代表理事 仁木崇嗣)>
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