西郷隆盛の本当の愛犬は「洋犬」だった!【西郷隆盛よもやま話3】

サライ.jp / 2018年1月14日 17時0分

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文/矢島裕紀彦

西郷隆盛(さいごう・たかもり、1828-1877)というと、東京近辺に住んでいる人なら、まず頭に浮かぶのは、上野の銅像かもしれない。勝海舟との会談によって江戸無血開城をなしとけだという意味でも、東京の人たちは西郷さんにかなりの親しみをもっているように思われる。

高村光雲(たかむら・こううん、高村光太郎の父)の手になるあの上野の西郷像も、本人没後の作。写真も残っていないので、頭から胴まではお雇い外国人のキヨソネが描いた肖像画を参考にし、胴から下は西郷が愛用したズボンを土台にしてつくられたという。

西郷像の傍(かたわ)らに付き添う犬は、光雲の弟子の後藤貞行の制作。兎狩りの得意な桜島産の薩摩犬がモデルである。ところが、実際には西郷の愛犬は、もと徳川将軍家にいた「お虎」という名の洋犬だったらしい。制作途中で洋犬は西郷像に似つかわしくないのではないかという話が出て、急遽(きゅうきょ)、薩摩犬に代えられたのだという。

銅像制作には5年もの歳月を要した。完成したのは明治31年(1898)。除幕式に招かれた西郷未亡人の糸子は、銅像を見るなり、思わず、
「アラヨウ、宿んしはこげんなお人じゃなかったこてえ!(うちの人はこんな人ではなかったわ)」
と呟(つぶや)き、側にいた弟の西郷従道(さいごうつぐみち)があわてて注意したという逸話が残る。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

※本記事は「まいにちサライ」2015年3月14日配信分を転載したものです。

【お知らせ】
『サライ』2018年2月号は「西郷隆盛」の大特集です。「命もいらず名もいらず、官位も金もいらぬ」と言い「敬天愛人」を貫いた維新の巨星「西郷(せご)どん」の数奇な生涯を辿り、「謎」を解き明かします。

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