医師がすすめる老化に抗う7つの「アンチAGE(エージーイー)食事術」

サライ.jp / 2019年4月3日 6時0分

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文/中村康宏

老化に抗う7つの「アンチAGE(エージーイー)食事術」

「実は怖い「体の糖化」老化を早め病を招く糖化物質《AGEs》蓄積を防ぐには【予防医療の最前線】」では老化物質である「AGE(エージーイー)」について解説しました。この老化物質は食事と密接に関係してるのはご存知の通りです。しかし、近年はAGEはカラダにいい物質とも言われるようになりました。どちらが正しいのでしょう? AGEの知見をアップデートし、AGEと上手に付き合う「アンチAGE食事術」を解説します。
■「AGE」は負の連鎖の始まり
AGEを作る「糖化反応」は体外でも体内でも起こります。カラダの中では、糖を利用してエネルギーを産生する反応によってAGEの形成と蓄積が起こります。一方、AGEは体外から摂取する食品にも含まれます。例えば、焼く、揚げるなど食品の調理や保存の過程においてAGEは作られ、コーヒーや醤油、赤ワイン、お味噌など「茶色い食品」にはAGEが多く含まれていることが知られています(*1)。

AGEの産生・蓄積には自然な年齢に伴う変化のほか、高血糖の持続、炎症や酸化ストレス、虚血(動脈硬化など)によって進んでいくことが知られています。これらは生活習慣病の原因となるものでもあり、悪い生活習慣でAGEの蓄積が促進され、それがまた炎症反応のスイッチである“RAGE(後述)”を介してAGEをさらに形成するという「負のサイクル」を加速させます。
■ AGEは老化現象の元凶
AGEは老化物質として知られています。AGEは細胞表面の“AGE受容体(RAGE)”で認識され、それによって酸化ストレスや炎症反応を引き起こします。すると、コラーゲンや筋肉などのたんぱく質の質を低下させ、血管の硬化、骨質の劣化などを招き、体内の老化が進みます。これは心臓病やがんなど、病気の進行に関与します。また、コラーゲンの変性によるシワやたるみなどの外見上の老化も引き起こします。
■でも、AGEは“善”!? ポイントはカラダの外と内の違い!
AGEが老化の原因であるということが知られるようになりましたが、「AGEは悪!」というレッテルが貼られています。しかし、近年は「AGEは善」と結論づける報告が増えています。例えば、AGEの一つである「メラノイジン」は強力な抗酸化物質で、脂肪肝を抑制したり、腸から脂肪の吸収を抑制したり、腸内環境を整える「カラダにいい存在」として知られています(*2)。

つまり、体内に蓄積したAGEは老化現象を引き起こしますが、カラダにまだ貯まっていないAGEはカラダにいい物質でもあるのです! そんなAGEと上手に付き合う7つの食事術をご紹介します。
魚を積極的に摂る! 焼き魚もOK
オメガ3のサプリメント摂取によって、老化物質「AGE」と炎症や酸化ストレスを引き起こすスイッチである「RAGE」が減るというエビデンスがあります(*3)。

オメガ3は魚に多く含まれる脂質でお魚の良質な脂質は老化物質の処理にも効果があるのです。
お刺身で食べる魚は調理過程において加熱処理を行わないためAGEが増えることはありませんが、焼き魚はどうでしょうか? 焦げてしまい体に悪いのでしょうか?

一昔前、焼き魚のこげに「ヘテロサイクリックアミン」と呼ばれる発がん物質が含まれておりカラダに悪いのでは!? と注目されました。しかし、実際にはその含量はわずかで今では発がんリスクはほとんど問題視されておらず、むしろオメガ3脂肪酸の効能などから魚摂取の利点が注目されています(*4)。
不溶性食物繊維「キチン」を摂る
不溶性食物繊維である「キチン」は、食事中に含まれるAGEを体外へ排出する効果があるとされています。キチンは生物の外骨格に存在しており、特に甲殻類に多く含まれる物質です。キチンは食物繊維ですが、他の食物繊維と異なり“窒素”を含みます。この窒素は“アミノ基”としてその構造に組み込まれ、キチンの様々な“効果”を発揮する要因と考えられています(*4)。キチンについてはカニやエビの甲殻類がすぐに思い浮かびますが、その他、野菜、海藻、キノコ類にも多く含まれています。
ファストフードは避ける
AGEを多く含む食べ物には高カロリー、高脂肪、高温で加熱料理したものが多く、これらはファストフードに共通する特徴でもあります。「どれくらいなら食べすぎ?」という問いへ明確な指数は定義されていませんが、一般的に「15,000 AGE kU(キロユニット)以上はAGEの摂りすぎ!」と言われています。以下に、その目安(一食あたりのAGE含有量)を示しますが、ファストフードや高温調理したものはAGEが高いでことがわかります(*5)。

牛肉のハンバーガー:4876 AGE kU
マカロニチーズ:2728 AGE kU
ピザ一枚:6825 AGE kU
パンケーキ:679 AGE kU
フライドポテト: 1522 AGE kU
ドーナツ:522 AGE kU
クッキー:966 AGE kU
ステーキ:6741 AGE kU
揚げ鳥(唐揚げなど):8750 AGE kU
カリカリのベーコン:11905 AGE kU

比較対象としてAGEの低い食べ物もご紹介します。

低脂肪乳:1 AGE kU
プリン:16 AGE kU
ヨーグルト:20 AGE kU
豆腐:439 AGE kU
生サーモン:475 AGE kU
フルーツは食べすぎ注意
ブドウ糖に比べて果糖はAGEを約10倍形成しやすいことがわかっています(*4)。フルーツをたくさん食べるようにしている人は糖分の摂りすぎ以外にAGEが作られやすいことにも注意が必要です。
褐色変化の著しい食品を避ける
褐色変化のある食品はAGEがたくさん含まれることは上述の通りですが、それ以外にも問題があります。例えば、焼き過ぎの肉類は、どれだけ良好なたんぱく質であったとしてもビタミン不足や酸化ストレスなどの問題をもたらします。お肉は良質なタンパク質とビタミンなどの微量元素の宝庫ですが、200度以上の高温で調理すると食品に含まれる脂質の過酸化反応が起きます。その過程で生成された過酸化脂質は体内で酸化ストレスや炎症を引き起こしカラダに害を与えます。また、ビタミンBなどのミネラルの分解も進んでしまいます。焼肉などで焼きすぎ/食べすぎてしまうと、お肉のメリットを享受できない可能性があります。
レモンや酢でマリネする
レモンやお酢は調理の過程でAGEの生成を抑えることができます(*5)。料理する前に食材をレモン汁やお酢でマリネすることで、新しいAGE産生を半減することができるとも言われています。
朝食は抜かない
朝食を抜くと、次の食事の際に血糖が急上昇してAGEが作られやすいカラダになってしまいます。朝食に少しでも糖分を摂っておくことが、血糖の乱高下を予防するために重要です。その他、歪んだ生活習慣(喫煙習慣、運動不足、精神的ストレス、睡眠不足、甘いものを多く取るなど)は酸化ストレスの原因となり、AGE産生も増加してしまいます。生活習慣を正すことは、老化物質を貯めない・作らないための基礎になります(*4)。

以上、AGEの知見をアップデートし、AGEと上手に付き合う7つの「アンチAGE食事術」を解説しました。AGEは体内では老化物質ですが、体外では抗酸化物質でもあります。AGEは悪だから焼いたものを食べない! となると、偏った食事になってしまうので注意が必要です。ご紹介した7つの食事術を活用して、AGEと上手に付き合い病気と老化を予防しましょう。

【参考文献】
1.日本食生活学会誌 2015: 25; 237-40
2.Amino Acid 2015; 47: 1077-89
3.Iran J Kidney Dis 2016; 10: 197-204
4.Anti-Aging Medicine 2018
5.J Am Diet Assoc 2010; 110: 911–6.e12


文/中村康宏
医師。虎の門中村康宏クリニック院長。アメリカ公衆衛生学修士。関西医科大学卒業後、虎の門病院で勤務。予防の必要性を痛感し、アメリカ・ニューヨークへ留学。予防サービスが充実したクリニック等での研修を通して予防医療の最前線を学ぶ。また、米大学院で予防医療の研究に従事。同公衆衛生修士課程修了。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」にて院長。一般内科診療から健康増進・アンチエイジング医療までの幅広い医療を、予防的観点から提供している。

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