東京で約30年ぶりに開催! 過去最多のクリムト作品が一堂に会す展覧会【クリムト展 ウィーンと日本 1900】

サライ.jp / 2019年5月3日 15時0分

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取材・文/池田充枝

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》1901年  ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館  (C)Belvedere,Vienna,Photo:Jonannes Stoll

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》1901年 
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 (C)Belvedere,Vienna,Photo:Jonannes Stoll

世紀末ウィーンを代表する画家、グスタフ・クリムト(1862-1918)。ウィーン郊外に生まれ、工芸美術学校に学んだクリムトは、初期にはアカデミックな作風で才能を認められ、劇場の壁画装飾などで名を馳せました。

しかし1897年に保守的なウィーンの画壇から離脱し、「ウィーン分離派」を結成すると、初代会長として分離派会館を中心に多くの展覧会を開催しながら、新しい造形表現を追求。同時代の芸術家らとともに、絵画、彫刻、建築、工芸の融合をめざす総合芸術を志し、次世代の画家たちにも多大な影響を与えました。

クリムト作品の魅力は、華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせもつ独自の様式にあると言えます。金箔やガラスなど、ビザンティンや中世の美術に通じる素材が多用された絵画は、精緻な工芸品のような輝きを放ちます。とりわけ女性像を得意としたクリムトですが、生涯にわたり数多くの風景画を手掛けたことでも知られます。

グスタフ・クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》1913/1914年 豊田市美術館

グスタフ・クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》1913/1914年 豊田市美術館

東京では約30年ぶりとなる待望のクリムトの大規模展が開かれています。(7月10日まで)

本展は、クリムト没後100年(2018年)、日本オーストリア友好150周年(2019年)を記念した展覧会で、過去最多、25点以上のクリムトの油彩画を中心に、全長34メートルに及ぶ壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の複製など見どころ満載となっています。

グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-1902年) ウィーン、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館  (C)Belvedere,Vienna

グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-1902年)ウィーン、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 (C)Belvedere,Vienna

グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-1902年) ウィーン、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館  (C)Belvedere,Vienna

グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-1902年)ウィーン、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 (C)Belvedere,Vienna

本展の見どころを、東京都美術館、学芸員 小林明子さんにうかがいました。

「今回の展覧会は、クリムト作品のコレクションで知られるベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の全面協力のもとに開催されるものです。同館が所蔵する《ユディトI》は、クリムトの代名詞ともいえる『黄金様式』の時代の代表作です。この作品において、クリムトは油彩画にはじめて金箔を用いました。絢爛な輝きとあいまって、恍惚としたユディトが匂い立つような官能性を放つ作品です。

クリムトは何より、美しい女性を描く画家として知られますが、実は風景画家としての一面もありました。《アッター湖畔のカンマー城III》には、クリムトが夏のたびに避暑に訪れた湖水地方の風景が短い筆触で表されています。木々や建物がクローズアップされ、平面的に構成された構図は、望遠鏡を用いて描かれたと考えられます。モザイクのように施された色彩がもたらす装飾性もまた、クリムト作品の魅力といえるでしょう。

グスタフ・クリムト《アッター湖畔のカンマー城Ⅲ》1909/10年  ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館  (C)Belvedere,Vienna,Photo:Jonannes Stoll

グスタフ・クリムト《アッター湖畔のカンマー城Ⅲ》1909/10年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 (C)Belvedere,Vienna,Photo:Jonannes Stoll

19世紀後半のヨーロッパでジャポニスムが広がりをみせるなか、ウィーンでも日本ブームが起こり、万国博覧会などを通じて工芸品や浮世絵が数多く紹介されました。クリムトの金の表現や構図にも日本からの影響が見られます。本展では日本の美術品とともにクリムト作品を展示し、世紀末ウィーンと日本との関係を明らかにします。

東京では約30年ぶりの開催となる今回のクリムト展では、クリムトが初期から晩年までに手がけたさまざまなジャンルの作品をご覧いただけます。《ベートーヴェン・フリーズ》の精巧な複製のほか、同時代のウィーンで活動した画家たちの作品もあわせ、ウィーン世紀末美術の精華をご堪能いただければ幸いです。」

グスタフ・クリムト《赤子(ゆりかご)》1917年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー  National Gallery of Art, Washington, Gift of Otto and Franciska Kallir with the help of the Carol and Edwin Gaines Fullinwider Fund, 1978.41.1

グスタフ・クリムト《赤子(ゆりかご)》1917年
ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Gift of Otto and Franciska Kallir with the help of the Carol and Edwin Gaines Fullinwider Fund, 1978.41.1

過去最多のクリムト作品が一堂に会す見逃せない展覧会です。会場でじっくりご堪能ください。

【開催要項】
クリムト展 ウィーンと日本 1900
会期:2019年4月23日(火)~7月10日(水)
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://klimt2019.jp
美術館サイト:https://www.tobikan.jp/
開室時間:9時30分から17時30分まで、金曜日は18時まで(入室は閉室30分前まで)
休室日:5月7日(火)・20日(月)・27日(月)、6月3日(月)・17日(月)、7月1日(月)
巡回:豊田市美術館(7月23日~10月14日)

取材・文/池田充枝

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