ナッツに引けを取らない健康機能性を持つピーナッツ その価値発信と量から質への転換が業界の課題 日本ピーナッツ協会
食品新聞 / 2024年6月14日 13時34分
日本ピーナッツ協会の鈴木隆一理事長(でん六社長)は5月15日に開催された通常総会で「ピーナッツがナッツに引けを取らない健康機能性を有する上に、安価でおいしく、お菓子や料理の食材としても魅力的なことから、こうした情報を広く発信して人々の関心を高め、需要を喚起していきたい」と呼びかけた。
ピーナッツ(落花生)は、マメ科の植物でナッツではない。
ピーナッツ業界では、円安による仕入れコスト増や経費の上昇を十分に価格転嫁できておらず、ビタミンEが含まれるといった健康機能性の価値発信と量から質への転換が課題とされる。
日本ピーナッツ協会の鈴木隆一理事長価値浸透を妨げている要因の一つには、おつまみイメージの浸透が考えられる。
田畑繁専務理事(タバタ会長)は「昔からあって、あまりにも身近な商材だけに消費者にとって全く目新しく映らず、あえて落花生に目を向けようとはしない」と語る。
おつまみに偏ったイメージからの脱却には、既に行われているチョコレート・アイスクリームへのトッピングやカレー・ラーメンスープの隠し味としての用途の訴求強化や新商品の開発が挙げられる。
ただし加工度のアップは付加価値化には直結しない。
「落花生の場合、単に加工度を上げると落花生そのものの個性が失われかねない。本来はそのまま食べるもので、そのあたりが少し難しいところ」と田畑専務理事は説明する。
同協会の活動としては、昨年に引き続き食品・食材の通販サイト「cotta(コッタ)」でピーナッツの情報をユーザーに発信する
。
国内流通量の8割強を占める輸入品が減少傾向にあり国産比率が高まる中、同協会としては全国落花生協会などの他団体との連携も強化する。
国産は、千葉と茨城が一大産地。そのほか、北海道(帯広)や山形でも栽培に挑む動きもあり、わずかではあるものの産地は広がりつつあるという。
国産の作付け面積は22年産の豊作の反動で、23年は減少したものの品質は良好とされる。
ピーナッツの品種は、バージニアピーナッツ(大粒落花生)とスパニッシュピーナッツ(小粒落花生)に大別される。
輸入品は近年、大粒・小粒の原料落花生とバタピーを主とする製品落花生ともに減少傾向にある。
「非常に厳しい状況が続いているが、まだまだ需要があると思っている」と落花生輸入商社協議会の酒井淳也会長(三昌貿易社長)は語る。
2023年4月から24年3月末までの1年間のピーナッツ関連商品の販売個数は微減、販売金額については微増と推定される。これについて鈴木理事長は「販売面では消費者のピーナッツ商品への支持が根強いものがあり、全体としては堅調に推移したとみている」と述べる。
品目別では、低価格帯の加工豆菓子や徳用の混菓(他カテゴリー菓子とのアソート品)などが伸長したとみられる。
この要因については「物価高により消費者の節約志向が定着したことと、ナッツや珍味に比べて安価なピーナッツ製品への購買意欲が高まったためと考えられる。商品の値上げ時期が遅かったことや値上げ幅が小さかったことも影響している可能性がある」との見方を示す。
ピーナッツ業界では同業他社が多く競争は厳しいとされ、収益性の向上も今後の課題。
「昨年のピーナッツ業界を振り返ると、原材料価格の高騰や物流費の上昇などで大変厳しい経営を強いられ、それに対して値上げなどで対応したが、コストアップ分をカバーできていない状況」と訴える。
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