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日本丸天醤油 延賀海輝社長 目標は「小規模OEMのプロ」 年間開発数は200件超

食品新聞 / 2024年7月26日 16時21分

淡口醤油の里、兵庫県たつの市で220年以上、醤油製造に携わる。製造品目は主力の醤油のほか、ぽん酢やめんつゆ、ドレッシングなど液体調味料や粉末調味料、レトルト食品と幅広い。いろんな食品を少量から商品化する設備特徴を生かし、近年は受託生産を強化。目指すは「大規模ではないからこそ、なんでもできる会社」だ。延賀海輝社長に話を聞いた。

――OEMに注力したきっかけは。

延賀 社長に就任した2015年当時の市場はデフレで薄利多売。特に醤油市場においては、JAS規格で決まっているため差別化が難しく、商談は価格ありきが主流。収益確保を模索していた時、祖父の代からいろんな食品に広げ、製造してきたノウハウと設備に着目した。市場を見渡してみると製造受託企業は多数あるが、当社のように数百Lからの小量生産が可能で、さらに小規模工場では難しい、ある程度の衛生管理基準を満たしているところは少ない。大手外食チェーン向けの調味料は大手メーカーにしかできないだろうが、街の5~10店舗規模のうどん店向けとなれば案外造る企業がない。ここに生き残りの道を見いだした。営業活動は卸を通じて、当社のことをより多くの人に知ってもらうことから始めた。担当者が異動になるとまた最初から繰り返す。これを3年間地道に続けることにより、徐々に話が舞い込むようになった。

――昨年は年間の開発商品が200件を超えたそうですね。どういうニーズが多いのでしょうか。

延賀 コロナ禍では飲食店がリスクヘッジのための持ち帰り商品を模索。昨今では原料高のコスト抑制や人手不足への相談も多い。小売では、食品の売上構成比を高めたいドラッグストアや大手と差別化したい中堅スーパーが、利益確保や集客目的に、PBとは異なる独自製品を求めて依頼されることが多い。また同業他社で自社製造しなくなったブランドを代理製造するケースもあり、23年は前年比で数割伸びた。これまでかかわった企業から「この量でやってくれるメーカーがあるとは思わなかった」というリアクションが多く、当社を広く知っていただくことは今後も継続課題だと思う。

――受託から生産までの流れは。

延賀 製造前に契約を交わし、途中で終了してもよいが、オーダー分の引き取りや、残った包材の破棄処分は負担してもらうシステム。価格は事前見積りで出し、途中に仕様変更した場合もその都度価格を出して相談するため、齟齬は少ない。PBと比べて、気軽に始められる点が好評だ。開発チームは、相手企業を熟知する営業担当2人と、技術に優れた開発担当2人で構成。サンプルを出して、例えば「もう少しまるく」という要望があれば、開発担当が直接ヒアリングをして、だし感を強めるなど迅速に対応している。このほか中小飲食店では、栄養成分表示や原料表示のフォローも行っている。

――組織強化策は。

延賀 前職(大手企業人事部)の経験を生かして、社内で仕組みを作り込んだ。開発では担当者に偏りがないように、イントラネットで知識の体系化を図り、開発におけるノウハウを共有している。営業は少人数管理でミーティングをまめに行い、進捗状況を把握。製造においても現在約550品目を作っていることから、常に他のラインへのヘルプが必要。工程ごとに誰がどのレベルまでできるのかを掴み、衛生管理や危害化分析を含めて教育して、偏りと漏れを防いでいる。見える化することで人事評価もフェアになった。

――目指す方向性について。

延賀 「相談してもらったらなんでもできる」「少量で造らせたら当社が安い」と言えるように精度を上げていく。そのためには人材育成の強化とともに、積極的な設備投資や大企業レベルの衛生管理に近づけるように取り組みたい。

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