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長期経営ビジョン実現へ ヤマキ・城戸善浩社長に聞く(後編) 3つの軸で事業運営

食品新聞 / 2024年8月27日 8時54分

ヤマキは長期経営ビジョン「YAMAKI Vision 2035」で2035年に向けた事業運営の軸として「既存の価値提供モデルの拡大・深掘」、海外での「国内の既存価値提供モデルをカスタマイズしつつ地理的横展開」、「新たな価値提供モデルの開拓」の3つを掲げる。国内外でアクションを続け、2035年までに目指す姿「世界の鰹節屋・だし屋、ヤマキ。」の実現を目指す。事業運営の軸を城戸善浩社長に話を聞いた。

――国内での「既存価値提供モデルの拡大・深掘」について。

城戸 人口減少と高齢化に伴うマーケットのシュリンクという未来があり、加えて家庭内での調理も減っていく。国内家庭用のマーケットはシュリンクし、インバウンドを含む外食・業務用のマーケットはまだ成長していくとなると、そのシフトに対応した商品やサービスを展開していかなければならない。

一方で「割烹白だし」のような商品もある。今年で発売30年を迎え、おかげさまで現在も成長の途にある。マーケットの構造が変化していく過程で新しい味や新しい使い方が出てくる可能性はむしろ大きい。国内家庭用のマーケットについては変化に対応しながら深掘りしていくことだと思う。

当社は歴史的に簡便性の軸を事業の軸にしてきたが、近年はそこに健康軸が加わっている。減塩タイプの「お塩ひかえめめんつゆ」の販売が好調だ。「めんつゆ」は醤油に比べ、いろいろな味を入れられるし、いろいろな技術を使える。商品の価値が高まれば受容度が高まっていく。これからこういうことがどんどん起きると思われ、どんどん進めていこうと思っている。

健康軸については、現在主軸としているのは減塩だが、かつお節・だしにはまだまだ健康機能があると考えている。体感的な部分だけでは難しいため、その機序をしっかりと解き明かしていかないといけない。

また、業務用の事業領域でいえば、若い営業スタッフたちは、これまでは接点がなかった販売先にどんどん行っている。それによりパスタのだしや味のベースになったり、パンに使われるなど使用領域が拡大している。調理科学的な機能を含め、かつお節・だしにはいろいろな使い方があり、そういう部分での事業領域が広がりつつある。国内でもやることはたくさんある。

――海外での「国内の既存価値提供モデルをカスタマイズしつつ地理的横展開」について。

城戸 「世界の鰹節屋・だし屋、ヤマキ。」になっていくため、国内事業のモデルを海外に持っていく。必ずしもそのままではないかもしれない。現地の味覚や習慣と結び付きながらフュージョンしていくことが大切だと考えている。いろいろな国や地域と結び付くことで、その国や地域の風土に合ったメインストリームの味になっていく。それを目指していく。輸出ではなく、現地生産・現地販売に切り替えたのは、そういう目標があるからだ。

――国内外での「新たな価値提供モデルの開拓」について。

城戸 深掘りすること、別の場所へ行くことに加え、3つ目として情緒的な価値を掘り起こしていかないといけない。暮らし、価値観、また「コト」とも言われるが、時間といったほうがいいかもしれない。調理をする時間、調理をする自分、誰かと一緒に調理をすることなど、そういったパーソナルな価値である。料理を題材に新たな価値や暮らし、時間の使い方などがでてくると良いと考えている。

60歳以下の世代になると、かつお節を見たことのある人は限られるかもしれない。ただ、味と香りは伝わっていたりするもので、そこを結び付けていくこと、つなぎ合わせることで体系的な記憶になっていくのではないか。そういうことも次の世代に向かって価値のあること、意味のあることになるだろうと思っている。

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