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世界初 サントリーが使用済み食用油由来の原料を使用したペットボトル実用化

食品新聞 / 2024年11月3日 17時55分

 サントリーグループは、使用済み食用油(廃食油)由来のパラキシレンを使用したペットボトルの実用化に世界で初めて成功した。

 一般的に、ペットボトルの原料であるPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)は、30%がモノエチレングリコール、残り70%がテレフタル酸(パラキシレン)で構成される。

 今回、PET樹脂の70%を構成するパラキシレンを化石由来原料から廃食油由来原料に置き換えることで大幅なCO2排出量削減を見込む。

 廃食油由来のパラキシレンは、ENEOSや三菱商事などと連携して、持続可能な航空燃料(SAF)を製造するフィンランドのNESTE(ネステ)から調達する使用済み廃食油由来のバイオナフサとなる。

 使用済み廃食油由来のバイオナフサはSAFの製造過程の連産品となる。

 今回、これを国外から調達し複数社の協力を経てペットボトルを製造し「伊右衛門 焙じ茶」(280ml)「プレミアムボス ブラック」(285ml)「リプトン白の贅沢」(280ml)に導入して11月から順次ホットとコールドで販売していく。販売総数は約4500万本。

平野隆之(たかし)サステナビリティ経営推進本部部長

 最初の販売にあたり、10月28日発表したサントリーホールディングスの平野隆之(たかし)サステナビリティ経営推進本部部長は「サプライチェーンのループがしっかり回っているか注視していきたい」と語る。

 将来は、国内での使用済み廃食油由来のバイオナフサの調達を視野に入れる。
 「日本の中での廃食油の回収ルートの確立をENEOSさまと共同で検討しており、2027年以降の実用化を目指して取り組んでいる」と説明する。

 今回のリサイクル素材の活用は、ペットボトルで掲げる「サントリーグループ環境目標2030」のチャレンジ領域となる。

 同目標は、2030年までにサントリーがグローバルで使用する全てのペットボトルをリサイクル素材あるいは植物性由来素材などに切り替え、新たな化石由来原料の使用ゼロの実現を目指すもの。

 この実現に向けた一丁目一番地の施策は「ボトルtoボトル」水平リサイクルとなる。

 ボトルtoボトルは、新たに化石由来原料を使わずに何度もペットボトルとして循環を可能とする循環経済(サーキュラーエコノミー)の側面に加えてCO2排出量削減につながる取り組みとなる。

 ボトルtoボトルでは、原料調達からプリフォーム(ペットボトルのもととなる試験管状の素材)製造までの工程において、新たな化石由来原料を使用する場合と比較して約60%のCO2排出量を削減する。

 今回の廃食油由来のバイオナフサ導入によるCO2排出削減効果は試算中だが「ボトルtoボトルと同等のCO2排出量削減になるのではないかと思う」と述べる。

 日本のボトルtoボトル比率は2022年度時点で29%。

 サントリーが掲げるペットボトルの100%サステナブル化に向けては、ボトルtoボトルの不足分を植物性由来素材や今回の廃食油などで補完。

 サントリーグループのサステナブルボトル(リサイクル素材+植物由来素材など)化比率は2023年、国内飲料事業で53%、グローバルで30%に達する。

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