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大塚ホールディングス井上眞次期社長 地球環境・女性の健康・少子高齢化に注力 志すのはアイデアを実行する「実証と創造性」

食品新聞 / 2024年11月3日 18時33分

 2025年1月1日に就任予定の大塚ホールディングスの井上眞次期社長兼CEOは10月31日、社長交代会見に臨み、ニュートラシューティカルズ(NC)事業の今後の方向性について「第4次中期経営計画で掲げた、地球環境、女性の健康、少子高齢社会という社会課題に重点的に取り組んでいく。医療事業も同様」と語る。

 NC事業では、「ポカリスエット」や「カロリーメイト」など日々の健康維持に有用とされる科学的根拠を持つ消費者製品を展開している。

 「リモート診療など医療がどんどん日常の中に入りNCに近づき、逆にNCは医療の知見が重要になってくる。大塚が過去からやってきた両事業が今一番フィットする時代になってきた」との見方のもと、社会課題という大きなフレームの中で事業を捉えている。

 地球温暖化には「ポカリスエット」で長年取り組んでいる熱中症予防対策の啓発を継続する。
 水資源削減に貢献するものとしては、デイヤフーズ社とN&S(ニュートリション エ サンテ社)のプラントベース製品を強化していく。

 女性の健康に向けは、傘下のユコラ社と新製品の開発を進め新たなソリューションの提供に引き続き取り組む。

 ユコラ社は、北米で女性の泌尿器系の健康分野に特化した製品とプラットフォームに強みを持つ米国企業。2021年7月、大塚製薬の米国子会社・ファーマバイト社がユコラ社の全株式を取得して買収した。

 ファーマバイト社は2023年に、女性の健康分野に特化した製品の製造販売を行うボナファイドヘルス社も買収。
 これによりファーマバイト社は、ユコラ社製品とエクオールを含有したサプリメント「エクエル」で構成している既存の女性向け健康食品事業を拡充した。

 井上次期社長は1983年4月に大塚製薬へ入社。MR(医薬情報担当者)として営業経験を積んだのち、診断事業部の長を務めバリューチェーン全ての機能を経験。NC事業・消費者事業もゼロから経験し、北米や欧州の海外関連会社の経営にも携わる。

 「異動や職責の追加で新たな役割が与えられる度に未知のことをゼロから学ぶ必要があった。自然と“自分はまだ気づかず知らないことが多くあるのでは”と疑うことが当たり前になり、人と対話し意見を交わしながら事業をより深く理解し課題解決していく姿勢が身についた」と振り返る。

 2020年3月に大塚製薬の社長に就いてからは「可能な限りオープンスペースに身を置き社員と面談という形ではなくフラットに話をする時間や場を作るようにしている」という。

 このような姿勢とこれまでの実績を樋口達夫社長兼CEOは高く評価。
 
 「個人の能力が素晴らしいプレイヤーと、チームを束ねて成果を出せるプレイヤーは必ずしも一致しない。社長という立場になるとやはり両方できないとダメで、その点、井上さんは十分に成果を出されている。特に人となりというのが非常に大事なポイントで、その点でも申し分ない」と樋口社長は太鼓判を押す。

 井上次期社長は、創業家3代が残した企業文化「流汗悟道」「実証」「創造性」を座右の銘とする。
 「今、私が置かれている立場や使命を考えると、実証と創造性が一番。アイデアやインベンション(発明)だけではダメで実行しなければならない」と力を込める。

 趣味は映画観賞。「趣味はあまりなく、たまに休みの日にダラダラと映画を観ている」と笑みを浮かべる。

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