さらなる美味品質へ 深化するサントリーのウイスキーづくり
食品新聞 / 2024年11月11日 10時59分
サントリー「山崎12年」が、9月にロンドンで開催された世界的な酒類コンペティション「第29回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」にて全部門の頂点に立った。100年にわたるウイスキーづくりへの挑戦と、徹底した「美味品質」の追求が評価された。
2023年、スコッチ、アメリカン、カナディアンなど世界を代表するウイスキーの販売が停滞するなか、ジャパニーズウイスキーは前年比2%伸長した。ジャパニーズウイスキーは、日本国内で製造し3年以上熟成させたモルト・グレーンウイスキーのみを使用した商品が、表示することができる。
ジャパニーズウイスキーへの期待もあり、国内では小規模蒸留所が増加。23年には97施設、10年前と比べて約8倍に増えた。
9月に開催されたISCにてサントリー「山崎12年」が全製品のトップである「シュプリーム・チャンピオン・スピリット」と、ジャパニーズウイスキー部門の最高賞「トロフィー」をダブル受賞した。さらにジャパニーズウイスキーの世界シェア65%を占める「角瓶」が、「ジャパニーズブレンデッドウイスキー(ノンエイジ)」部門で金賞の快挙を遂げた。同社がウイスキーづくりを始めて以来、日本のウイスキー市場を牽引してきた「角瓶」が、世界に初めて認められた。
同社ウイスキー類の出荷数は1~9月で前年比111%、ハイボール缶104%と市場を上回る実績で推移している。
(左から)大橋康弘スピリッツ本部ウイスキー部課長、有田哲也山崎蒸留所工場長、吉弘晃ブレンダー室部長サントリーは1923年に水資源に恵まれた山崎にて蒸留所建設に着手。68年には試験醸造を行うパイロットディスティラリーを設立。80年代には発酵槽や蒸留釜など大規模改修を行い、改修から10数年後の2003年には、「山崎12年」がISCにて金賞を受賞したのを皮切りに、各賞を受賞。さらなる品質向上を目指して、蒸留釜の新設や更新を行ってきた。
100周年を迎えた23年には、山崎、白州の両蒸留所にて改修を実施。山崎蒸溜所では、長期熟成の原酒づくりを可能にするフロアモルティングを新たに導入。またパイロットディスティラリーを省電力設備に改修した。
長年にわたるウイスキーづくりにおいては原酒の「つくり込み」と「つくり分け」を大切にすることで高品質で多彩な原酒を創り出してきた。
調達環境によって変動する原料のスペックや状態を細部にわたり管理して、様々な麦芽や酵母を用いて発酵。発酵槽や蒸留釜、樽材など素材や形状の異なる設備を導入して原酒をつくり込み、それらを組み合わせて多彩な原酒をつくり分けている。近年はフロアモルティングや電気炉を生かした蒸留など品質向上への取り組みを行いつつ、水素エネルギーを活用した蒸留などサスティナブルなものづくりへ挑戦。次なる100年に向けて、さらなる熟成・美味品質の向上を目指す。
「リーディングカンパニーとして『美味品質』のものづくりを行い世界へ届けながら、食事とともにウイスキーを楽しむ日本特有の文化も伝えたい」(同社)。
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