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エースコック 村岡寛人社長 強みを多方面に発揮 食の貢献、至るところへ

食品新聞 / 2024年11月27日 15時20分

エースコックでは、今年3月に村岡寛人氏が社長に就任した。創立70周年の節目に、村岡寛相談役(前社長)から交代。企業スローガン「Cook happiness」を継承して、国内外に広く、おいしい幸せをつくり、届けていく。

村岡社長は入社前に、国内外のIT企業でシステム開発に携わっていた。前職でオランダに住んでいた頃、エースコックベトナム商品がスーパーに並んでいることを知り、グローバルに展開していることに気づいた。そして、隣国ドイツで開かれた食品展示会に、エースコックグループが出展。一般客として会場に訪れ、エースコックグループ社員との交流を通して即席麺ビジネスに興味を持ち、帰国を決意した。エースコックに入社後は11年にわたり、社長室をはじめ営業本部や製造本部、マーケティング本部で経験を積んできた。

入社当時は「若い人が多く活気があるが、少し古めかしい企業風土を感じた」という。前社長らと徐々に改革を行った。女性管理職を増やし、システム化を導入するなど、変革は現在も進めている。散在していた商品群をブランドごとにまとめ、それぞれの中期計画を立て、具体的な四半期目標に落とし込んで、基盤を整備。近年は「スーパーカップ」や「スープはるさめ」など主力6ブランドを軸に、差別化商品や新機軸商品にチャレンジできる体制を整えた。「今年以降、この流れをさらに加速化していく」。

新体制となった今年は創立70周年を迎えた。「振り返ると、創立からの最初の40年間は即席麺の成長とともにあった。次々と商品を生み出し、後にブランドへと成長する時代。前社長の30年間は、日本の即席麺市場は成熟期を迎えた。ブランドの定着とともに、『スープはるさめ』など新機軸商品が誕生。新しい販路を求めて海外へ進出した」。

バトンを受け継いだ次の時代へは、どう立ち向かうのか。「物価高や人口減少、地政学リスクなどがあり、先が見えない。市場では消費者ニーズの二極化が進み、コスパやタイパを求める保守的な側面がある一方、SNSでバズッた商品や健康志向品などには価格を意識せずに購入するメリハリ消費がみられる。難しい時代だが、即席麺はどちらにも対応できる余地がある。そして、定番ブランドに加え、新機軸商品によるチャレンジが必要な時代でもある。新たに掲げたビジョン『どこでもエースコック』のもと、至る所で食に貢献していく」。

現在の東京工場に代わる新たな生産・配送拠点として、26年4月に「エースコック関東工場」(埼玉県川越市)の生産開始を目指す。「既存ブランドの生産効率化と品質向上に加え、新機軸商品をより打ち出していける体制が整う」と話す。

海外事業では、エースコックベトナムがベトナムで製造販売する即席袋めん「Hao Hao(ハオハオ)」は、いまや国民食として成長。海外40か国以上にも輸出して好調が続く。

「物価高や現地企業との競争激化により市場が複雑化してきたが、人口が増え、経済成長が見込まれる魅力的な市場。『Hao Hao』も品質を強化し、支持を高めていく。№1メーカーとして他のブランドの底上げとともに、新しい訴求を打ち出し価値を高めていく」方針。

若きリーダーのもと、自社の強みを多角的に発揮しながら、新たな挑戦が始まった。

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