ニッスイ 養殖事業 短期養殖本マグロ拡大へ ブランド化・差別化図る
食品新聞 / 2024年12月2日 13時3分
ニッスイは、グループ企業のニッスイまぐろ(本社・長崎県佐世保市)において、通常の養殖に比べて養殖期間が短い「短期養殖本マグロ事業」を拡大する。2025年以降に漁獲規制の緩和が見込まれており、成魚から短期養殖した100㎏超の大型クロマグロでブランド化や差別化を図る。
養殖マグロの出荷実績に占める短期養殖の割合を現行の約20%から30年度に約55%まで高めたい考えだ。
ニッスイグループは長期ビジョン「Good Foods 2030」のもと、養殖事業で30年度に売上高1000億円(23年度846億円)、営業利益100億円(同41億円)を計画。海外・国内の双方でグローバルに多くの拠点を展開するが、谷内満執行役員水産事業副執行・養殖事業推進部管掌は「当社は養殖におけるフル・バリューチェーン(魚粉調達、飼料製造、養殖、加工、物流/流通、販売/マーケティング、サービス)を構築し、最大の強みとしている」ことを強調。成長マーケットに素早くアクセスして新たなチャンス獲得につなげるほか、為替変動・気候変動などのリスクを低減できるとする。
国内では主に3つの魚種に注力。サーモンは既存の境港、佐渡に加え、大槌・陸前高田を拠点に岩手三陸沿岸の開拓を推進していく。30年に国内サーモン事業の水揚げ重量を現行比約3倍の9000トンに引き上げる。
ブリ類は現状約1万トンから30年目標は約1万6000トンに設定。完全養殖「黒瀬ぶり」が欧州向けを中心に輸出を伸ばしているが、引き続き人工種苗の強化や沖合養殖による生産性の向上などに注力する。
グループで国内の養殖マグロ事業はニッスイまぐろが担う。既存のグループ企業、金子産業と西南水産の養殖マグロ事業を一本化して4月に発足し、10月1日から業務を開始した。統合のメリットは、近年顕著な自然環境の変化にも柔軟に対応できる体制づくり、本マグロ加工製品を金子産業唐津工場に集約し拡大、事業の一元管理による効率的な運用など。新会社は国内養殖マグロ市場でシェア約20%を有する。
今後は短期養殖本マグロ事業の拡大を目指す。通常の養殖は幼魚(0.5~3㎏)から成魚まで3~4年かかるが、短期養殖は採捕した成魚(80~120㎏)から6~9か月で出荷するため3大リスク(赤潮・台風・漁病)を軽減できることがポイント。また出荷時は通常の養殖マグロが50~70㎏に対し、短期養殖のマグロは100~150㎏と大型でブランド化や差別化も図れるという。
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