サザコーヒー農業法人設立へ パナマ由来のゲイシャ品種のコーヒー栽培 国産小麦や国産もち米玄米を仕入れ販売
食品新聞 / 2024年12月31日 10時29分
コーヒー豆の焙煎・加工を営むサザコーヒーロースター(茨城県ひたちなか市)は2025年に本格的に国内の農業事業へ参入する。
11月5日、取材に応じた鈴木太郎社長が明らかにした。
現在、サザコーヒーは、サザコーヒーロースターと分社化しており、サザコーヒーロースターはコーヒー豆の焙煎加工のほか国内の農業法人化に向けて取り組んでいる。
農業法人は、稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸、畜産など、農業を営む法人の総称。組織形態としては、会社法に基づく株式会社や合名会社と、農業協同組合法に基づく農事組合法人に大別される。
同社が目指すのは前者の組織形態であり、農業法人が農地を所有するためには農地法に定める一定の要件を満たす必要がある。
その1つが農作物の取り扱いとなる。「農作物を事業全体の75%以上扱う必要があり、国産小麦や玄米を取り扱うことに加えて、日本産のコーヒー栽培を開始する」と語る。
コーヒーの栽培については、「既にコロンビアの自社農園産のパナマ・ゲイシャ品種由来のコーヒー種子は植物検疫を経へて正規手続きで輸入されて栽培が取り組まれている。将来はコーヒー果樹を並べ収穫祭の開催や店舗でのコーヒー苗木の販売をしたい。」と意欲をのぞかせる。
コロンビアからはコロンビアの公的な証明書付きで種子の輸入は実施されている。
「コロンビアコーヒーの中にはサビ病に強い耐性を持つ品種に関する特許をFNCコロンビアコーヒー生産者連合会などが取得しており、これら知的財産権があるものを無許可で国外に持ち出し使用すると罪になる。我々の植物は我々独自で交配選抜した正規の種子を正規ルートで日本に持ち込んだことを証明しなければならない」と説明する。
そのほか、インドネシアなど東南アジアでのコーヒーの新たな取り組みも開始する。
「これからは、手薄なアジアのコーヒー産地の開拓を頑張ってみたい。昔の東南アジアの島々ではオランダ人がロマンあふれるコーヒーを栽培しジャワ島から販売していたジャワコーヒーの時代があった。インドネシアの友人の力を借りてスマトラ島やバリ島を含め広範囲にロマンを探したい。」と意欲をのぞかせる。
コーヒー以外では、問屋を通じて国産小麦や国産もち米玄米を積極的に仕入れてグループ会社のサザコーヒーに販売。サザコーヒーは国産小麦や国産米玄米を店舗メニューに活かしていく。店舗数は現在17店舗。
既に国産小麦は「サザパン」に活用されており今後は国産米玄米もコーヒー生産国レシピのカレーなどと組み合わせてサザコーヒーのメニューに増やされる。
特に鈴木太郎が気に入っている国産米は、もち米で(たろべいもち)という品種である。
これは、約400年前の江戸時代の慶長年間から栽培されている在来種の早稲糯米の一種で、戦後間もなく作られなくなったことから「幻のもち米」とも呼ばれている。
「海外のカフェを訪れるとアルコールメニューもありコーヒーは全体の一部でしかないと感じる。時代とともに食文化は変化しており、おしいいもの同士を組み合わせて食文化を豊かにしていく必要がある。コーヒー屋だからといって、コーヒーだけでいいかというと、そうでもなく、コーヒーをしっかり頑張りつつ、もっと多様性に満ちたおいしさに辿り着けるようにしたほうがいい。現況のサザコーヒーの喫茶フードメニューに満足していないところが私の中にはある」と力を込める。
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