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パラダイムシフト怖くない 食品業界は環境対応業 原料高、人材など課題山積も団結し解決へ

食品新聞 / 2025年1月1日 0時5分

2025年の食品業界の幕が開いた。今年の干支は、乙巳(きのとみ)。60年周期の干支では42番目に位置し、「努力を重ね、物事を安定させていく」という意味合いを持つ年とされている。安定は誰しもが願うことだが、海外では国家間の紛争の終焉が見えない。わが国の経済もインフレ圧力が止む気配はなく、個人消費の持ち直しにはまだ時間がかかりそうだ。

高齢化社会において懸念されるのは人手不足。食品業界はコロナ期を通じたこの4年間で人件費削減、不採算店撤退、商品の見直し運営、物流などあらゆる側面でコスト削減を講じてきたが、昨今では労働力の確保が難しくなっている。ITなどの新興産業や医療系など同じく人材確保が急務とされる競合と比較すると食品業界の競争力は脆弱だ。103万円、106万円の壁など所得の問題が解消されたとしても製造業、外食産業では人手確保のハードルが上昇したままであり労働力不足は高齢者をいかに雇用するかで解決を図るよりないのではないか。

一方、食のトレンドについては食品の安全性に対する消費者意識と同時に、生活者の健康志向がいっそう高まり、機能性表示食品やオーガニック食品の需要が増加。SDGs関連では食品ロス対策や環境配慮型パッケージの導入など、サステナビリティに関する取り組みも進捗するが、インフレによって買い控えが生じている現在、商品の価値について従前よりも厳しい目が向けられる。

だがその一方で、ハレ消費は依然として堅調。普段使いの食品はコスパ、タイパを意識しても、付加価値品や外食については価値に応じた価格が通る傾向があるようだ。人口減少、消費低迷といったマイナス要因もあるが、インバウンド需要の存在感は大阪万博効果でさらに拡大。流通サービスにおけるECの存在感も増加するだろう。

業界はこれまでも健康志向の高まり、少子高齢化に伴う商品開発、食の安全・安心への対応、サステナビリティなど多様なトレンドに対応してきた。原材料価格の高騰や人手不足、デジタル化への対応などの課題解決はまだ途上だが、この2025年も、日常生活に欠かせない食料品を提供する重要な役割を担っている自負をもって健全な業界発展を望みたい。

ポストコロナが一巡した昨年は、加工食品で引き続き価格改定が実施されたが、夏以降には米価が高騰し『令和の米騒動』と揶揄された。国産野菜も多くが気候要因による播種のずれが生じた上、収穫時には高温障害などで成長不良が多発した。結果、青果も価格が上昇し生活者の家計を直撃し、購買行動が変化している。

食品新聞社は、業界専門紙として、生鮮三品、食品原料、加工食品、酒類業界の現況と価格改定せざるを得ない背景を記事で紹介し、食品全般の価値向上を後押ししながら業界の発展を促してきた。業界の発展は、安定した社会基盤のもと、社会変化が緩やかに進む中でこそ成立するものだ。エネルギーを含めた諸物価高が生活者の所得増加率と乖離している限り、不安定感が色濃く先行きの不透明感が否めない。

自動車製造業では昨年末、日産自動車とホンダの経営統合が発表された。食品業界でも流通の経営統合が活発に行われて久しいが、各産業で大手寡占化が進む中、食品製造業でも合従連衡の潮流が激しさを増しそうだ。

今年の社会変化では「2025年問題」。世代区分の代表格である団塊の世代の800万人が75歳以上の後期高齢者となる。世界でも未曾有の超高齢化社会だけに現実に沿いながら粛々と進めるよりないが、業界がフレキシブルに対応していかねばならない。

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