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セブン‐イレブン「SIPストア」成功事例を水平展開 人流回復も戻りきらず定着化する在宅勤務などに着目 永松社長が意欲

食品新聞 / 2025年1月12日 18時45分

 セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)は新コンセプト店舗「SIPストア」で得られた成功事例を順次水平展開していく。

 水平展開について、24年12月18日取材に応じた永松文彦社長は「焼成パンやドーナツ、紅茶といった出来立て商品を拡大していく。加えて、納豆や豆腐といった生活デイリーや冷凍食品も広げていく」と語る。

 加盟店との共生を前提に拡大していく考えで、通常面積の直営店舗にSIPストアのエキスを入れたものをまずテストし、さらに加盟店にも拡大していく。

 この基盤となるSIPストアそのものについては「全国約2万1000店舗が拡大均衡していくためのテスト店」と位置づけている。

 この考えのもと「セブン-イレブン松戸常盤平駅前店」(千葉県松戸市)がSIPストアに選定された。SIPストアオープン後、目と鼻の先に競合スーパーが出店したことも「織り込み済みだった」という。


 競合スーパーの出店後、伸びは若干鈍化したものの10%以上の成長を維持している。

 「もちろん生鮮などは影響を受けているが、本当に短い時間で必要なものが購入できるワンストップショッピングがコンセプトであり、そういった意味では想定内の動き」とみている。

 荒利益率改善効果もみられた。

 「想像以上に出来立て商品のニーズがあり、加工食品、雑貨などの非食品の品揃え拡充によりタバコの構成比が大きく下がり、直近で荒利益率は2ポイント上昇した」と説明する。

「お店で揚げたカレーパン」

 出来立て商品でバリューチェーンを活かした商品開発の好例には「お店で揚げたカレーパン」が挙げられる。

 23年の累計販売数は76,987,667個を達成。「最も販売されている揚げたてカレーパンブランド」にギネス世界記録に認定された。

 24年9月時点で5000店舗にて販売され、平均販売数は1日当たり約25個、日販でプラス0.4%、荒利益でプラス0.2%の効果を出現。これらの成功事例をもとに24年下期(2月期)には全体に拡大していく。

 コーヒー、紅茶、スムージーの出来立てドリンクも好調。

 スムージーは昨夏、一時的に供給がタイトになったことから供給体制を整え、今夏に新商品を予定する。

 紅茶は現在、新たに北海道を加えて約70店舗でテスト展開。「導入店舗ではコーヒーとほぼ同数が売れることから、今後焼成パンやドーナツととともに展開していく」との考えを明らかにする。

 市場環境については、人流回復したものの、オフィス勤務へと戻り切らず定着化した在宅勤務などイエナカニーズに勝算を見込む。

 「全体的な傾向としては、やはり、生活防衛意識と価格感度が高まり、よりリーズナブルな商品の売上げが伸びる傾向がある。もう一つはコロナ禍で仕事の仕方が変わり在宅勤務が増え、かつてと比べると人の動き自体が少なくなり自宅周辺での消費が高まっている」との見方を示す。

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